「週5で8時間の働き方が当たり前という考え方が、変わらない」働き方改革の課題 Sansan日比谷尚武

公開日:
業務委託としてSansan株式会社で働きながら様々な活動をしている日比谷さん。前回は「コネクタ」としての働き方についてお伺いしましたが、今回は日比谷さんが最近力を入れている「at Will Work」という団体についてインタビュー内容をまとめました
「週5で8時間の働き方が当たり前という考え方が、変わらない」働き方改革の課題 Sansan日比谷尚武

業務委託としてSansan株式会社で働きながら様々な活動をしている日比谷さん。

前回は「コネクタ」としての働き方についてお伺いしましたが、今回は日比谷さんが最近力を入れている「at Will Work」という団体についてインタビュー内容をまとめました。

「at Will Work」とは?
そして、働き方改革の課題とはいったい何なのでしょうか。


ゲスト:日比谷尚武

Sansan株式会社 コネクタ/EightエバンジェリストSansan 名刺総研 所長

インタビューアー:古橋 智史

スマートキャンプ株式会社 代表取締役BtoBビジネスマッチングプラットフォーム「ボクシル」の開発・運営。

「at Will Work」の理事にジョインした理由

古橋:
今、Sansanでコネクタとして活動する以外にも多く活動されていると思いますが、具体的にはどのような活動をされていらっしゃいますか?

日比谷:
いくつか並行してあるのですが、最近時間を割いているのは「at Will Work」 という、"働き方を選択できる社会"を実現することを目的として、新しい働き方を推進する会社とか個人を世の中に発信していく団体にいます。

at Will Work|"働き方"を選択できる社会へ
※外部サイトへ飛びます

古橋:
具体的には、イベントとかカンファレンスとかセミナーが中心になるわけですか?

日比谷:
それだけではないのですが、最近では、先週、大きいカンファレンスがあってそのイベントが大きい山ですね。

古橋:
具体的には「at Will Work」とはどのような団体なんですか?

日比谷:
元Googleの藤本さんという女性が、1年ほど前に立ち上げた社団法人なんですよ。

その頃、僕はSansanで働き方改革に関する行政の動向をウォッチしていました。
関係各所にヒアリングをして走り回ってる中でこの団体に出会ったのがきっかけです。

そこで意気投合し、ちょうど11月末に辞めるという話をしたら、「ちょうど広報も強化したいので、一緒にやらないか」と誘っていただいた形ですね。

古橋:
なるほど。at Will Workにはどのような属性の会員の方がいらっしゃるんでしょうか?

日比谷:
今のところ理事5人と、協賛会員が20〜30社ほどです。

古橋:
協賛会員は大企業もベンチャーもいらっしゃるんですか?

日比谷:
はい。会員の幅は広いです。

古橋:
最近、働き方改革を推進している団体は増えていると思います。
例えば、ワーキングママ、ワーキングパパ、いろいろありますよね。
日比谷さんもお忙しいので、1つしか入れないと思うんですけど、なぜ「at Will Work」にジョインしようと思ったんですか。

日比谷:
働き方改革に関するスタンスに共感したということは大きいですね。
特に、「at Will Work」は、特定の主義・主張とか特定のワーキングスタイルを推し進めるのではなく、「働き方の多様性を持った社会にしたい」ということを言っているんです。

これが彼らの言葉で言うと「at will(意志)」になるんですが、それぞれビジネスマン個人の意志で望むような働き方ができるのがat Will Workです。

時短勤務、リモートワーク、パラレルワーク、一社に専念して勤めるなど、様々な働き方をを選択できる世の中にするために、実践している個人、法人の活動を発信していくことをメインで行っています。

古橋:
それらを発信していくことで、「働き方の多様性を認める」という価値観を浸透させていくことが、共感ポイントとして一番大きいってことですよね。

日比谷:
僕自身には、そこまでポリティカルな部分に積極的に活動する必要はないと考えてはいるのですが、「自分のキャリアは自分で選ぶ」という個人主義のスタンスには共感したので一緒に活動させてもらってます。

これからパラレルワークに必要なこと

古橋:
これからパラレルワークをしたい人って増えてると思ってて、弊社もパラレルワークを推奨はしています。
ただ一方で、弊社はまだまだスタートアップなので1つの仕事にコミットしたほうがいいとも思っているんです。
なので私自身は絶対やらないと決めているんですけど(笑)

すごく悩ましいところだと思うんですが、パラレルワークをできる人とできない人がいると思っています。

最近だと、インターンでも将来複数の仕事をやりたいと言ってくる子がいるんです。

私の考え方だと、「何を言ってるんだ?複数仕事をすることは目的ではないんじゃないか」と思ってたんですけど、それは古い考えなのかもしれないとも思い始めています。

日比谷さんはどう思われますか?

日比谷:
僕も多分、考え方が古いんですが、基本的には1つに集中した方がいいと思います。
もちろん”at Will”なので、複数で好きに働いていいとは思いますが……

古橋:
それでは日比谷さんにとって、「どういうステップを踏めばいいのか」というのはありますか?
それこそ”at Will” なので何とも言えないとは思いますけど……

日比谷:
NTTグループで新卒の時に、火消しの部隊にいたことがあって、割とタフに働いていたんですよね。

具体的には、問題が起きたプロジェクトについて、1週間缶詰になって解決するようなチームに所属していました。
もちろん大変だったんですが、仕事自体はすごく面白くて、問題対応をしていくうちに、腕も磨かれたなと思っています。
そのあと転職して経営に参画していたWebサービス開発のベンチャーも体力勝負っていうところもあったので(笑)

クライアントのWebサービスがローンチ直後に止まって、軟禁されながらもエンジニアさんたちと3日間缶詰になって徹夜で直すとか……
私は「面白いな」と思ってしまう性格ですけどね。(笑)
もちろんその働き方が全員にできるわけではないと思いますが。

古橋:
ですが、1つのことにコミットして、ある意味「死の壁」を乗り越えたからこそ、今があるというのはありますよね。

働きやすさが見直される今、今後の人材はどうなっていくのか?

古橋:
色々な方のお話を伺っていると、パラレルワークや、働き方の多様化を掲げている人の過去の働き方というのはカオスな方が多い印象があります。
私自身もそうですが(笑)

今後はその働き方のカオスが見直されてるじゃないですか?
これから社会に出る人はそのカオスがなくなっていくと思うんです。徹夜とかできないし。
そうなったときの未来はどうなると思いますか?

日比谷:
自分がやりたくてやってることのストレスで心折れたり潰れたりする方は少ないですよね。

先日、セミナーで招いた先生は、ストレスを味方にする方法というのを話していました。
ストレスとかプレッシャーは、それを糧(かて)に成長するいいチャンスでもあるし、ネガティブに受け止めるとダメージを負いますよね。
その人の受け止め方次第だよという話だったんですが、半分きれいごとでもあるなと思いました。

本当に自分の成長とかやりがいにつながることなら、自分の意志がある上では、好きなだけやったらいいんじゃない?と思いますけどね。

古橋:
エイベックスの松浦さんもいってました。
そういう世界観もあると思うんです。
でもそういう発言をすると今だと炎上してしまいますし、凄くやりにくくなってるなと思います。

日比谷:
「それでも面白いからいいんです」という人は骨太にそのまま続けていればいいと思います。
ただ、ここで成長に差がついてしまうのは間違いないですけどね。

古橋:
ですよね。
私もここからは明確な格差が出るんじゃないかと思っています。
あまりがむしゃらに働きたくなくて、勤務時間内でやる事だけする働き方がいい人と、やりがいを感じながら、どんどん活躍していく働き方がいい人と。

その格差を埋める方法をat Will Workと絡めてどう思われますか?

日比谷:
本来的には「自分で危機感を感じて、将来自分があるべき像に対してギャップをどう埋めるか」だと思います。
危機感を感じた上で、時間内でやる事だけやる働き方がいい人であればそれでいいと思います。

そもそも、将来を考えた上での今の働き方の大切さに気づいていなくて、なんとなく「今のままの働き方でいいや」という人が多いと思います。

例えば、労働寿命が伸びるとか、社会保障がもう少し下がるとか。
自分たちが生きていく上で、将来、必ず向き合う事になる問題だと思います。

僕も正直、リアリティのあることは今は言えません。
その問題に向き合うために自分は今、何をすべきか。
そもそも、そういうことに問題意識を持つことができるかという話なんです。

それを考えた上で、「今のところは働いてお金を貯めよう。」「物価の安いところに移住しよう。」など、将来の問題への向き合い方、解決の方法は人それぞれだと思います。
そもそもの危機感を感じる必要はあると思います。
at Will Work はそんなことを考える材料や機会を提供できたらいいな、と思っています。

古橋:
素晴らしいですね。

日比谷:
私自身もまだまだ探している最中ですけどね。
この先、自分の生き方に対して既に手を打とうとしてる人は何をしようとしてるのか。
それを知るためには「at Will Work」はいい環境だな、と思っています。

古橋:
僕も大学の体育会系出身で、いまだに現役の大学生が就活の相談をしに来ますが、働き方に関しての考え方というのは画一的で変わらないなと思っています。

「前は大企業にいて、辞めて起業した」ということを一応は話しているんですが、迷わず大企業に入ってしまうし、全然変わらない価値観というのがありますよね。

学校では「働き方の多様化」について絶対教えてくれないだろうな、と思います。
大学のキャリアセンターからすると、内定率や、内定先の企業名が大事という方針はずっと変わっていませんし、大手志向が逆に強くなってるなと感じています。
まだまだ大手でなんとなく働いている方がが安定だと思っている学生が多いんですよね。

まあ、私も最初は大企業に入ったんですけどね。

日比谷:
最初はどちらに入ったんですか?

古橋:
みずほ銀行です。

日比谷:
堅い(笑)
何年間ですか?

古橋:
1年です。
これはヤバいと思って。

日比谷:
気がついたんですね(笑)
まあ、学生が大手志向になってしまうのも、このままだと危険だという事を知らされてないからでしょうね。

古橋:
学生にも発信する場があってもいいのかと思います。

日比谷:
大事ですよね。
キャリアセンターの職員と「これからの働き方」の話していると意識のギャップがすごくて。
民間の需要はそうではないという事を、早く大学や、学生に伝えないといけないなと思っています。

働き方改革元年の今、改革する上での一番の課題とは。

古橋:
今年は「働き方改革元年」と言われていますが、何が最も課題だと思いますか?

日比谷:
働き方の多様性に対する意識のばらつきですね。
画一的に週5で8時間の働き方が当たり前という考え方が、変わらないなと思っていて。
その働き方を前提にして、仕組みとか制度が機能していないままに残ってしまっているので、新しい制度を入れても定着しないし、活用されていないなと思っています。

企業や人によってはそんな決まりは関係ないと軽々飛び越えている人と、週5で8時間以上は働くことが許せない人。
両方の働き方を認め合っていないことが問題だと思います。
それを、at Will Workの活動を通じて変えていけたらいいな、と思っています。

古橋:
どうしても今は黎明期なので、日比谷さん自身がロールモデルになっていくみたいに考えているんですか?

日比谷:
うーん。
僕はそんな高尚なことは考えてはいないです。
結局、自分が働きたいように働いているだけなので(笑)

でも参考になるんだったらそれは嬉しいですが。

古橋:
今後、日比谷さん自身が、何かチームを作ろうとかは考えていないんですか?

日比谷:
今のところは考えていなくて、暖かくなるくらいまではいろんなところに顔出して手伝ったりしようかなと。
その先は、何に決めるかは決まっていないですけど何かに決めます。

Sansanのコネクタとしての活動は、続けていこうと思ってます。嫌われない限り。(笑)

でもキーワードとしては社会課題を解決するようなチームとか、世の中に新しい価値を作る組織を応援できたら面白いので、それに今までの知見とか人脈が提供できたらいいな、と思っています。

インタビュー編集後記

現状の画一的な働き方の考え方に課題を感じている日比谷さん。
おっしゃる通り、週5で8時間というのはもはや当たり前ですが、「改革」と銘打つなら、その時間に縛られた働き方を変えるべきなのかもしれません。

それぞれの人が持つ「理想とする働き方」も互いに理解し合える世の中にするところからですね。

そういう意味で「at Will Work」は今後に期待です。

次回は日比谷さんに働き方改革を軸として、ご自身が使っているツールなどをお伺いした内容でお送りします。

過去の「働き方改革元年〜これからの働き方」インタビュー

・第一弾:株式会社HARES 代表取締役社長 / 複業研究家 西村創一朗氏

・第二弾:Sansan株式会社 コネクタ 日比谷尚武氏