2017年保険業界5つの主要トレンド、経営幹部の75%が「AIで変革が進む」と回答のワケ

アクセンチュアは、最新レポート「Technology Vision for Insurance 2017(テクノロジービジョン 2017 保険業界向け)」を発表した。顧客体験の向上と従業員の能力向上のためにAI技術への投資は今後も拡大していく模様。

2017年保険業界5つの主要トレンド、経営幹部の75%が「AIで変革が進む」と回答のワケ

「テクノロジービジョン 2017 保険業界向け」は、テクノロジー分野の有識者や業界の専門家へのインタビュー、および世界31か国550人を超える保険業界の経営幹部を対象とした調査に基づいて作成された。

同社レポートでは、保険業界を特徴づける次の5つの主要トレンドを解説している。

  1. AIは新しいユーザーインターフェース
  2. 無限の可能性を持つエコシステム
  3. 人材のマーケットプレイス
  4. “ひと”のためのデザイン
  5. 未踏の領域へ

この調査で興味深いのは、保険会社の経営幹部の75%、日本では67%が今後3年間で「AIにより保険業界全体が大きく変わる」、もしくは「完全に変容するだろう」と発表したことだ。

今後3年間で、自社がAIによって「完全に変容する」と考える経営幹部は32%、日本では35%を占めており、「大きく変わる」との回答も39%、日本では23%にも上っている。

保険会社の経営幹部の多くは、AIによって情報収集と顧客とのコミュニケーションの方法が大きく変わると考えているという。

それを裏付けるデータもある。68%(日本では61%)の回答者が、顧客とのコミュニケーション向上にむけて、AIなどを使ったインテリジェント・バーチャル・アシスタントを全社もしくは特定の事業分野で現在使用していると回答している。AIは、保険業界のコミュニケーション活動を行う役割として導入が浸透しつつあるというわけだ。

多くの保険会社では、「個人に合わせて最適化されたパーソナライズなサービスの自動化」「請求処理の高速化」「一人ひとりのリスクに基づく査定」によって顧客体験を高めるために必要な、保険代理店や営業職員・従業員の能力向上にむけてAIへの投資を進めている。

一方で、データ品質やプライバシー保護、既存IT基盤との互換性といった課題も浮かび上がり、多くの保険会社が既存技術とAIの統合に苦慮していることも明らかになった。

AI技術の利用、顧客体験の向上へ 業界全体で利用拡大

アクセンチュアの金融サービス本部保険グループ統括マネジング・ディレクターの林 岳郎氏は、今後の保険業界におけるAI技術のあり方について次のように述べている。

「AIやロボットは、従来はバックオフィスの業務支援や効率化、コスト削減を目的に活用されていたが、最近では顧客対応の領域まで活用の幅を広げている。(中略)顧客とのコミュニケーションをデザインするうえでは、『AIが“ひと”の業務を代替する』のではなく、『顧客対応を最適化するためにAIと“ひと”がコラボレーションする』という発想が必要となってくるだろう」
(出典:アクセンチュア調査レポート)

「販売・サービス方法の強化」「請求処理の高速化の促進」「一人ひとりのリスクに基づく正確な査定業務」を可能にするAI技術によって、顧客体験の向上にむけた新たな機会が保険代理店、営業職員、そして保険会社の従業員にもたらされるという。

ユーザーインターフェースにAIを組み込むメリットを問う質問では、経営幹部の55%、日本では48%の回答者が「データ分析の改善と顧客理解の強化」を挙げている。

また、AI導入による恩恵について前述の林岳郎氏は次のように述べている。

「多くの保険会社は、AIがデジタル化された社会での成功のカギを握っていると認識しています。しかし、AIの導入で成功が約束される訳ではありません。AI技術は日々進化しており、保険会社は単にデータ品質やプライバシー保護の問題に対処するだけでなく、既存のIT基盤をAIの機能や技術と互換性のある基盤へと進化させる必要があるでしょう。

人間味のあるAIで人材強化を図り、さらにその機能を効果的に統合させた保険会社のみ、顧客エンゲージメントの深化、ブランド・ロイヤルティの強化、より持続可能な利益が促進され、AI活用の恩恵を得ることとなるでしょう」
(出典:アクセンチュア調査レポート)