文書電子化で事業拡大する「スキャンマン」、面倒な雑務をいかにして効率化したか

柳谷智宣のホットベンチャー・ケーススタディは、注目ベンチャーのクラウドサービスを利用するユーザー企業の事例を紹介する連載です。第2回は、B2B向けのスキャン事業を手がけるSCANMANの代表取締役社長である杉本勝男さんにインタビューしました。

文書電子化で事業拡大する「スキャンマン」、面倒な雑務をいかにして効率化したか

オンサイトのスキャンに勝機あり! B2CからB2Bに事業ドメインを転換

ーー御社の事業を教えてください。

派遣型のスキャン代行サービスを行っています。お客さまのオフィスに出向いて、ドキュメントスキャナなどを使い、その場でスキャンするという、シンプルなサービスです。


スキャンマン 代表取締役社長 杉本勝男さん

ーーお客さまの所にスキャナを持って行くのですか?

我々の特徴なのが、そのオンサイトで作業するところです。スキャン業界、というと競合はたくさんあるのですが、基本は書類を郵送してもらい、自社でスキャンします。我々は、スキャンする人を送るので、そもそもプロセスが違います。オンサイトでのスキャンをするライバル会社というのは、今のところないですね。

ーー最初からこのビジネスモデルだったのですか?

いえ、最初は4〜5年ほど前に自炊(注1)が流行ったときに自炊代行サービスとして始めました。「郵送で送るのは面倒だろう」ということで、お客さまのところに行ってスキャンしました。

手作業なので時間がかかり、書籍の数が数十冊あると、1日作業になることもあります。そうすると、知らない人が丸一日、家の中でガッチャン、ガッチャンとスキャン作業をするというのは、結構心理的に負担が大きいんです。

(注1)書籍をスキャンでデジタル化する行為のこと

「これはうまくいかないかな」と思っていたのですが、法人からは想定していなかった依頼があったんです。法人は、個人と比べた場合、部屋(オフィス)に来られることに対する心理的抵抗が少ないのです。

空いている会議室などがあれば、作業スペースの問題もない。なにより、機密書類などを外部に持ち出さなくていいという安心感もあるうえ、電子帳簿保存法とか、ペーパーレス化の機運があって、派遣型のスキャンというサービスのニーズが高まっていたのです。


顧客のオフィスに出向き、スキャン業務を行う

ーー法人向けとしての御社の強みはほかにありますか?

いろいろなサービスと連携していることです。名刺であればSansanの名刺管理サービス「Eight」とか、レシートや領収証であればfreeeのクラウド会計サービス「freee」弥生の「弥生会計」、契約書などは「CloudSign」や「Agree」というサービスと連携できます。手書きの文書をスキャンする際は、手書き文字を高精度にOCR処理できる「Intelligent OCR」というサービスもあります。

業務の拡大に従って雑務が増加し、大きな負担に

ーー自社にCasterBizを導入するようになった経緯を教えてください。

スキャンマンを立ち上げたのは、2012年夏ごろです。当時はB2C向けにサービスを開始し、2013年2月ごろにB2Bにピボットしました。サービスの名前はそのままです。最初は私ひとりでやっており、2013年でも2、3人でした。それが2014年に入って、一気に20人くらいに増えたのです。

それまでは何とか自分がエクセルで処理していたのですが、20人の月末勤怠管理をするのがすごく面倒くさくなってきました。業務報告と勤怠管理はGoogleスプレッドシートで処理していたのですが、月末の請求処理にとても時間が取られてしまうのです。

そんな悩みを抱えているときに、Sansanさんと協業して、名刺管理サービスの「Eight」と連携したスキャンサービスのキャンペーンを実施しました。これがヒットしたことで毎日5、6件を回らなくてはいけなくなり忙しくなったんです。それで、雑務を外注に出したいと考えるようになりました。

ーー数ある業務代行サービスの中で、CasterBizを選んだ理由は何ですか?

キャスターの代表取締役である中川祥太さんと知り合いだったんです。2014年9月にキャスターさんがサービスをスタートしたんですが、内容を聞いてぴったりだなと思いました。

人材リソースの確保って、今はすごく大変です。それにバックオフィスの人員を補充するのは何十万円もかかるうえに、面倒ですし、リスクも発生します。そこをCasterBizにお願いすれば、手ごろな価格でスムーズに人手を確保できそうだと感じました。そこで、すぐに契約をしたんです。

ーーCasterBizの導入はスムーズに行えましたか?

ヒアリングシートを書いた覚えがあります。そこでお願いしたい業務などを依頼しました。社内には、CasterBizを導入したから、ルーティンワークや雑務はどんどん投げるように、と告知をしました。やりとりは、すでに導入していたチャットワークを利用しました。

社内の評判はとてもよかったです。CasterBizの担当者に雑務をお願いしても、嫌な顔をしないんです。アルバイトに頼むと、やっておきますよと言いつつも、嫌そうな顔をしていることがあります。そうなると、頼みづらいので笑


CasterBizとのやりとりには、ビジネスチャットの「チャットワーク」を利用

ーー業務を依頼するのは、新人に引き継ぐくらいの手間なのでは?

業務によっては「Teachme Biz」でマニュアル化しているので、それをチャットワークで送るだけで済みます。細かい作業はチャットで伝えていますね。

実際にスタートした後は、業務報告と勤怠管理に加えて、申し込みの処理もお願いしました。ホームページなどからメールで申し込みが来ます。それをエクセルに入力する作業が発生するのです。CasterBizにお願いすることで、それまでできなかった住所とGoogleマップの紐付けもできるようになりました。

この二つはずっとお願いしています。ほかの仕事もいろいろと振ることがあるのですが、ていねいに伝えるようにしていますし、CasterBizに投げるためのマニュアルを作ったりすることもあります。

ほかには、請求業務もお願いしています。我々のビジネスは前払いができないんです。実際に伺ってスキャンしないと、枚数が確定しないからです。

でも、後払いだと、督促したり入金管理したりと手間がかかります。そこで、我々はネットプロテクションズのNP後払いというサービスを導入しています。そこを丸ごとお願いできるのが楽なのですが、そこに相手方の会社名や名前、住所、電話番号などを登録する必要があるのです。そこをCasterBizにお願いしてます。

ヘビーに活用してすでに時間いっぱいまで使い倒している

ーーCasterBizを使ってみてどうでしたか?

アルバイトは基本的に直行直帰なので、勤怠管理を打たないとどうしようもありません。そんなところも、CasterBizがチェックして、催促をしてくれるので、とても手間が省けています。

そのほかにも、どんどん業務を投げていますが。CasterBizは本当にちゃんとこなしてくれるので、もう毎日お願いしています。現在はCasterBiz Premium(12か月契約)プランですが、1か月30時間でもちょっと足りない月も出てきているくらいです。


CasterBizをこれでもかと使い倒している様子を話してくれました

ーー今後の展望を教えてください。

バックオフィスの業務は、なるべくCasterBizに投げたいですね。経費の精算とか、入金管理といった経理管理の処理が重いので、そこをお任せしたいです。後は、例えばオフィスの移転に関する業務や、社員を採用したときに必要になる書類の手配など、頻繁に発生するわけではない業務もお願いしたいです。

現在は50名体制ですが、どんどん事業を拡大し、年内には100名くらいに、来年には200名くらいまで増やす予定です。

記事中で紹介したサービス

キャスターの「CasterBiz」は、ビジネスで発生する業務を依頼できるサービスです。チャットで作業内容を指示し、全国にいる優秀なアシスタントにリモートで作業してもらいます。人材の採用・管理コストが不要で、ハイレベルなスキルを手ごろな価格で活用できるメリットがあります。

1か月に30時間まで利用でき、稼働時間帯は9〜18時。価格はRegular(6か月契約)プランで、月額9万6000円(税抜)です。

フリーライターである筆者もCasterBizを契約して活用しており、日常のお客さまな業務から、執筆活動に関する作業、外国とのやりとりなどをお願いしています。

インタビュー後記

インタビューはスキャンマンのオフィスの下の階にある、「プロハ」というコミュニティスペースで行いました。確かに、オフィスの近くにコワーキングスペースがあるならいろいろと便利だな、と勉強になりました。

杉本さんのお話を聞いていて、レッドオーシャンに見えていたスキャン事業の中に、オンサイトというブルーオーシャンを見つけたことに膝を打ちました。これはtoCの時から変わらないので、さすがの着眼点です。

後は、スキャンマンが数え切れないほどのウェブサービスを活用していることがわかりました。CasterBizはもちろん、スキャンマンと連携している「Eight」「freee」「弥生会計」「CloudSign」「Agree」「Intelligent OCR」だけではありません。

原稿にも出てきた、マニュアル作成には「Teachme Biz」、入金管理には「NP後払い」、そしてバックオフィス支援業務には「Bizer」や日程調整には「Cu-hacker」、飲食店の予約には「ペコッター」などを利用しているとのことです。余計な作業はすべてアウトソースして、本業に全力を傾けたい、という杉本さんの熱意が感じられました。

著者紹介:柳谷智宣
ライター歴は19年目で、ベンチャー企業のサービスをビジネス目線で紹介する記事を多数手がける。執筆業以外に、飲食店「原価BAR」を運営するハイテンションや海底熟成ウイスキー販売会社であるトゥールビヨンなども経営している。連載記事は、ASCII.JPの「スタートアップ DIVE!」など。