革新は「手首」に起こる?2021年に3億台出荷のウェアラブルデバイス最新動向

IDC Japan(以下、IDC)は2日、 2021年までのウェアラブルデバイスの世界・国内出荷台数予測を発表した。

革新は「手首」に起こる?2021年に3億台出荷のウェアラブルデバイス最新動向

IDCは、2021年までのウェアラブルデバイス国内・世界出荷台数予測を発表した。

IDCが発行する「Worldwide Quarterly Wearable Device Tracker」のデータ予測によると、2017年には1億2,170万台(2016年は1億440万台)と予測されるウェアラブルデバイスの出荷台数は、2021年には2億2,950万台に成長すると見込まれている。

2017年~2021年の年間平均成長率(CAGR: Compound Annual Growth Rate)は17.2%と二桁成長が続くと期待されている。

製品タイプ別ウェアラブルデバイスの動向

「腕時計型」や「リストバンド型」などの手首装着型以外のウェアラブルは、現在その市場規模は小さいものの、「靴・衣類型」と「耳掛け型」が急速に伸びると同社は予測している。

パーソナルアシスタント機能を内蔵した「靴・衣類型」および「耳掛け型デバイス」は、ユーザーの心拍などをトラッキングして医師などに伝えるという非常に有力なソリューションを提供していて、ユースケースも数多く存在している。

腕時計型

  • スマートウォッチ
    Apple Watch・Samsung Gear・およびAndroid Wear上でサードパーティー製のアプリが実行可能なもの
  • ベーシック型
    サードパーティー製のアプリを実行できないもの。
(例) ハイブリッドウォッチ・フィットネス/GPS時計および子供向け時計
    2021年までウェアラブル市場の大部分を占めると予測

AppleとAndroid Wear搭載機種は市場の主導権を握ると考えられますが、FitbitのJavaベースの独自のOS、GarminのConnect IQなどの独自のOSを搭載する新規参入者が登場するものとみられる。

そして、ベーシック型は従来の時計にウェアラブル技術を追加することによって、スマートウォッチを上回ると見込まれているようだ。

全体として、腕時計は多様なモデルが投入されることにより、多様なユーザー体験を提供することで、好みの異なる多様な消費者にこの商品カテゴリーをアピールすることになり、これが市場拡大と毎年の出荷量の拡大につながると考えられているという。

リストバンド型

リストバンド型は、2021年までのCAGRは1.9%にとどまるものと見込まれている。
そして、市場がマーケットリーダーに統合されるにつれて成長が減速し、小規模なベンダーは戦略の見直しを図ることになると考えられているようだ。

競争圧力に加え、平均小売価格の低下およびマーケットリーダーの製品群と差別化できないユーザー体験の問題がこの市場に存在している。

それでも、リストバンドというカテゴリーはほとんどのユーザーにとって受けいれやすい使用価値を提供するため、今後も市場で一定の地位を占め続けると同社は想定している。

靴・衣類型

靴・衣類型は、「腕時計型」や「リストバンド型」からは遠く引き離され、1桁の市場シェアを獲得しているにすぎないが、成長という観点では市場全体を上回るようだ。

衣服内に埋め込まれた、フィットネスのパフォーマンスと疲労度をトラッキングする機能を備えたフィットネス志向の衣類は、現在プロとセミプロのチームや選手のために使われている。これらは今後の量産を推進することになるとのこと。

「靴・衣類型」ウェアラブルデバイスの機能の多くは、他のウェアラブル機器でのユーザー体験と同様のものをもたらすため、プロユースに続いて消費者の関心が盛り上がることになるだろう。

耳掛け型

Bluetoothヘッドセットを除く耳掛け型は、「靴・衣類型」同様1桁の市場シェアを獲得しているにすぎないが、ウェアラブルデバイスの各カテゴリーの中では最も高い成長率を実現すると予測している。

「耳掛け型」デバイスはユーザーがオーディオ機器を通じてデータを取り扱うため、他のデバイスとは異なる価値提案を行っている。

オーディオ再生機能は全ての耳掛け型で共通した機能であるが、このウェアラブルデバイスではユーザーはフィットネストラッキング機能やそれに基づいたアドバイス機能、リアルタイム翻訳といった機能も体験することができるようになるようだ。

その他

「宝飾タイプ」「クリップオンデバイス」「非AR/VRアイウェア」など他の製品カテゴリーに当てはまらないものがその他に分類される。

これらは特定のユーザーをターゲットにし、ほんの一部のベンダーが製品を提供している。このカテゴリーの市場シェアの合計は2%未満にとどまる見込みだという。

それでも、このカテゴリーの製品の技術革新からもたらされた技術はユニークなインサイトをもたらすことになるため、他の製品への応用という意味で、継続的な観察が必要となると同社は述べている。

ウェアラブル市場、今後も成長加速見込み 腕時計型がけん引

IDCのウェアラブルデバイスチームのリサーチマネージャー、レイモン・リャマス氏は、ウェアラブル市場の動向について以下のように述べている。

「ウェアラブル市場における最も革新的な開発が手首に起こることが期待される」

また、ウェアラブル端末の有用性やデザインについて以下のようにも述べている。

「人間の手首は、ユーザーがアプリケーションを用いてデータを収集、表示、インタラクションするには理想的であり、通知に応答したり、他の人やデバイスと通信したりするなどのタスクを実行するための部位でもある。
スタイルやデザイン、対象となるユーザーセグメントや各種機能といったユーザーの目を引く各種要素と、『手首に装着するデバイス』としてのサイズ感は良好なバランスを維持しており、機能優先やデザイン優先に走るあまりユーザーエクスペリエンスを損なう状態にはなっていない」

IDC Mobile Device Trackerのシニアリサーチアナリスト、ジテシュ・ウブラニ氏は、ウェアラブル市場の成長が加速する理由について以下のように述べている。

「ウェアラブル市場の成長を加速させるその他の要因としては、センサーとアルゴリズムの機能が向上した携帯電話との接続も改善されることが含まれる。これらの技術はトラッキング精度を向上させるだけでなく、企業が新しいチャネルや新しい顧客にむけてウェアラブル製品を販売することをも可能にするだろう」

また、「Worldwide Quarterly Wearable Device Tracker」では、日本国内のウェアラブルデバイスの出荷予測も掲載している。国内市場の2021年の年間出荷台数は128.6万台になるという。タイプ別で見ると、腕時計型が市場の約半数を占め、堅調な成長をするだろうと同社は予測している。

IDCのPC・携帯端末&クライアントソリューションのシニアマーケットアナリストである菅原 啓氏は、国内でのウェアラブル端末の今後の製品価値について以下のように述べている。

「『スマートウォッチ』という言葉が人口に膾炙しつつあることからも分かるとおり、国内市場は腕時計型が市場をリードする状況が続くものとみられる。
だが、従来のアウトドア愛好家やアマチュアアスリート以外の幅広い層にウェアラブルデバイスの存在とそれがもたらすユーザー体験の可能性の認知を高めるためにも、さまざまなデバイスを通じてそのベネフィットを伝え、コンシューマーレベルでのデジタルトランスフォーメーションを進めていく必要があるだろう」


今回の発表の詳細は、IDCが発行する「Worldwide Quarterly Wearable Device Tracker」に記載されている。