経団連が見直し検討、日本企業がプレミアムフライデーに「踊らされた」ワケ

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2017年9月11日、経団連の榊原定征会長は「プレミアムフライデー」見直しの必要性について言及した。しかし現状の月末金曜日を月初に振り替えることが本質的な課題解決とはいえない。日本企業は、プレミアムフライデーに踊らされたように思える。
経団連が見直し検討、日本企業がプレミアムフライデーに「踊らされた」ワケ

日本企業が踊らされた「プレミアムフライデー狂想曲」

プレミアムフライデーが、早くも岐路を迎えている。去る9月11日、経団連の榊原定征会長は月末の金曜日の仕事を早めに切り上げて消費を促す「プレミアムフライデー」について、見直しを検討する考えを明らかにしたのだ。

月末は月のなかでも最も忙しいことを考慮して、月初の金曜日に変更することを検討しているという。

これを批判する意見は早くも噴出しているが、今回の発表のなかで、「地方には浸透していない」という表現があったことについては、大いに着目すべきである。

そもそも、プレミアムフライデーは地方だけでなく、都心でも一切浸透していない。一生懸命展開した肝煎りのプロジェクトが大失敗したことを公式に認めるわけにはいかなかった、大本営の苦悩が伺える。

恐ろしいのは、この喜劇的な騒動を繰り広げているのが、経団連と経産省という、我が国の経済を仕切る総本山たる組織のトップであるということである。

戦略で失敗し、戦力を逐次投入して各個撃破される。それをオブラートに一生懸命包んでも隠しきれない大本営発表。

プレミアムフライデーの公式サイトを見てみると、この国をあげたキャンペーンにおける実施事例が掲載されている。掲載実績が24件というのもお粗末な印象ではあるが、そのうち21件が遊園地や飲食業等のキャンペーン告知である。

それらにしても、「お願いされて、お付き合いで掲載しました」といった感じで、特に画期的な企画はない。

ちなみに、そのなかで唯一、気を吐くのがソフトバンクであった。コアタイムを撤廃するスーパーフレックス制度から始まり、在宅勤務の拡大、支援金の給付と、これでもかというコンテンツの嵐である。

筆者も、ちょっとソフトバンクで働きたくなってしまった。他のコンテンツのパッとしなさが、一層ソフトバンクの事例を引き立てている。

そんなソフトバンクにならって、本稿ではこのプロジェクトへの批判ではなく「提案・提言」を考えることにしたい。

よく考えてみると、働き方を変えて、消費を活性化させたい、との動機も目的も、なんらおかしなことではないのだ。ただそのやり方がまずいだけなのである。

プレミアムフライデー、どんな制度だったら成功したのか

プレミアムフライデーが批判されているポイントは以下の3点だ。

(1)最も業務が忙しい月末に早上がりを推奨されても、現実的に実施できない
(2)キャンペーン開始直後に、月末金曜日が年度末最終日と重なって企画者の見識と事前調査能力が疑われた
(3)飲食業等のサービス提供者側は休むことができない、しょせん大企業目線、殿様商売目線の企画である

ここにあるのは、現場の実情を理解も考慮もしていない、押し付けがましいキャンペーンだ、という感覚である。「パンがないならケーキを食べればいいじゃない」的なセンスを感じる。

「お金が足りないなら、貯蓄させればいいじゃない」「消費する時間が足りないなら、消費する時間を増やしたらいいじゃない」という発想の貧困さ、単純さ。

そして、いま検討が進んでいるのが「では月初にしようか」ということであるが、これは「非・現場主義」をさらに主張する施策となってしまうであろう。

実際に、「月末忙しいのは締めのある現場だが、それを集計、決算する経理財務側は月初のほうが忙しい」と、早くも追加批判が発生している。

では第二金曜日ならいいのかというと、それはそれで「休めない人」からの批判にさらされるだろう。「月曜の午前半休のほうがずっとマシ」という意見もあるが、それにしても必ず、メリットにあやかれない人が発生する。

強制的な早上がりをいつに設定しようが、そこには必ず「あの人は休んでも、私は休めない」式の批判が生まれるのが、現代社会なのである。

この不公平感が生まれる深層心理を理解しないことには、このキャンペーンは成功することはできない。