「アライアンス2022」とは何か?ルノー日産三菱はEV戦略でトヨタを超えられるか

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ルノー、日産自動車、三菱自動車は、年間のシナジーを100億ユーロへと倍増させる新6か年計画「アライアンス2022」を発表した。さらなる協業とプラットフォーム・パワートレイン・新技術の共有で、急速にEV化が進む大淘汰時代を生き残ることができるか。

「アライアンス2022」とは何か?ルノー日産三菱はEV戦略でトヨタを超えられるか

日産自動車のカルロス・ゴーン会長は、2022年に年間販売台数を1400万台以上、売上高を2016年比で3割以上を目指す戦略的計画「アライアンス2022」を発表しました。

年間シナジー1.3兆円を狙う「アライアンス2022」

「アライアンス2022」とは、ルノー・日産自動車(以下、日産)・三菱自動車工業(以下、三菱自工)の3社のアライアンスによる新6か年計画です。

アライアンスの始まりは1999年。経営不振が続き倒産寸前だった日産がルノーと資本提携して部品の共有化や共同購買によるコストダウンを図り、これ以降、現在に至るまでシナジー効果による経営の効率化を進めて来ました。

2017年上半期には、ルノー・日産・三菱自工の合計販売台数は、前年比7%増の527万台、EVでは50万台以上を記録し、世界で最も販売台数の多い自動車グループとなっています。

「アライアンス2022」は、ルノー・日産アライアンスの成功実績から、2017年に三菱自工を加えた3社で年間シナジー倍増を狙うパートナーシップです。

共用プラットフォームやパワートレイン、次世代EV、自動運転、コネクテッド技術において協業を加速させ、年間のシナジーを1.3兆円(100億ユーロ)へと倍増させると宣言。年間販売台数は1400万台以上に、売上高は2,400億ドルに達すると見込んでいるとのことです。

「アライアンス2022」の背景にあるEV化の激流

このようなアライアンスを組む背景にあるのは、EV技術や自動運転技術によるディープ・インパクト。自動車業界は世界的に大変革期を迎えています。

CO2削減のため自動車業界ではEV技術を進化させてきましたが、2017年7月、フランスとイギリスが相次いで「2040年をめどにガソリン車とディーゼル車の新車販売を全面禁止する」ことを発表したのです。

欧州の自動車産業第1位のドイツでさえも、法的効力はまだ発生していないものの議会で同様の決議がなされ、脱石油の流れは加速度的に進んでいます。

実際、ノルウェーではすでに新車販売の4割が電気自動車(EV)になっていますし、インドや中国でもガソリン車・ディーゼル車の販売禁止の動きは活発化しています。

日本の政策は世界的な自動車のEV化ブームに乗り遅れたと言わざるを得ない状況ですが、グローバルを舞台とする日系自動車会社にとってはEV技術の開発は待ったなしです。

EV技術の進化によっては部品事情も異なってくるため、欧州では、すでにサプライヤーの方が自動車会社よりも特許公開件数が多くなるなど、サプライヤーの逆支配構造となるケースが発生。今以上に開発や販売の競争が激しくなるでしょう。

また、自動運転技術が進化すれば、自動車は単なるインフラと化して付加価値を大きく低下させる可能性があり、自動車会社のメイン事業は、モビリティサービスプロバイダ事業へと変化していくと予測されています。

さらに、EVと自動運転双方の市場では、異業種からの参入も相次いでいるため、今後、特定の自動車会社が必ずしも優位性を保てるとは限りません。

ルノー・日産・三菱自工の新6か年計画「アライアンス2022」は、まさに生き残りを賭けた戦略なのです。

2022年までに新たに12車種の100%EVを発売予定

「アライアンス2022」で掲げられた目標を抜粋して紹介します。

・共通プラットフォームの使用を増やし、4つのプラットフォームで900万台以上の車両を生産
・共通パワートレーンの使用を全販売車両の3/4(75%)まで拡大(現在は1/3)
・次世代の電気自動車、自動運転、コネクテッド技術における協業を加速しさらなるシナジーを創出
・電気自動車(EV)用の共通プラットフォームおよび共用部品を活用し、100%EVを新たに12車種投入
・自動運転(AD)技術を40車種へ段階的に搭載
・無人運転車両による配車サービス事業への参画、公共交通およびカーシェアリング向けの車両を提供

これらのなかでも、異業種からの参入・追い上げが著しい 「EVの領域」でリーダーの地位を強化できるかどうかは、3社の命運を左右しかねない中核です。量販型EVを手頃な価格で提供していくことができなければ、No.1ポジションからの転落は不可避でしょう。

新しいEV専用の共通プラットフォームを実用化し、2022年までにEVの70%を共有プラットフォームベースを図ります。共用部品の活用も強化します。

「航続距離600メートルを達成」「バッテリーコストを30%削減」「15分の急速充電で走行可能な距離を230kmに拡大」など具体的な目標数値も定められました。

2022年までに、ゼロ・エミッションEV(ピュアEV)を新たに12車種販売して商品ラインアップを大幅に拡大することで、日本、米国、中国および欧州といった重要市場において全ての主要セグメントを網羅することを目指します。