睡眠不足で経済損失15兆円? AIやIoT技術を活用した「睡眠解析」の実証実験に吉野家が参加

ニューロスペースは11⽇、AIやIoT技術を国内で初めて活⽤した「睡眠解析プラットフォームβ版」をスタートさせた。同時に、リアルテックファンドから資⾦を調達し、SleepTech(スリープテック)を加速させるねらい。

睡眠不足で経済損失15兆円? AIやIoT技術を活用した「睡眠解析」の実証実験に吉野家が参加

(出典:プレスリリース)

ニューロスペースは、睡眠改善プログラム事業を展開する企業。同社が提供開始した睡眠解析プラットフォームは、個⼈毎の睡眠データを⾼精度に計測。そして、AIを活⽤した独⾃の解析技術から導き出した個⼈別の睡眠解析結果と最適ソリューションそして改善データを提供するシステム基盤だ。

社員の健康増進・⽣産性向上を志向する企業や睡眠ビジネス参⼊を検討する企業にプラットフォームを開放し、APIを通じて、睡眠改善データやソリューションを経営の改善や⾃社サービス・IoT対応製品に組み込むことが可能になるという。

同社によれば、睡眠に悩む⼈⼝は国内で3000万⼈以上、その経済損失額は15兆円(GDP の約3%)にのぼる。また、「24時間サービス従事者」「昼夜勤シフト勤務者」「時差ボケに悩まされる勤務者」の疾患発症リスクは、⼀般勤務者にくらべ2倍〜4倍になっているようだ。

睡眠不⾜が⽇本社会に及ぼす影響は多⼤で、社会問題化している。このような状況下で、社員の睡眠に関する悩みを解消し、⽣産性向上や業績向上を図る企業が増加している。

同時に多くの企業が睡眠ビジネスへの参⼊を検討するなど、睡眠に関する市場規模は国内だけでも5兆円と⾔われている。

ニューロスペースはこれまでも、国内⼤⼿企業向けに睡眠改善プログラムを提供し、社員の睡眠問題を改善することで、企業の健康経営推進に貢献してきた。

プログラム提供により培ったノウハウと今回調達した資⾦を活⽤し、ニューロスペースはSleepTech(スリープテック)事業を加速させ、AI・IoT技術を国内で初めて活⽤した睡眠解析プラットフォームの実⽤化に向けた開発を進めるとともに、実証実験を開始する。

吉野家との実証実験、モバイルアプリ配布で睡眠ソリューションの提供へ

今回の実証実験には、吉野家の参画が決定している。

同プラットフォームの実証実験として、吉野家のシフト勤務者を対象に、同社開発の新規睡眠計測デバイスおよびその計測データから睡眠ソリューションを提⽰するモバイルアプリを配布する。

1か⽉におよぶ睡眠計測と改善⾏動のレコメンデーション、シフト調整などを通じて、本プラットフォームの有効性の実証とブラッシュアップを⾏っていくという。

また、今回の実証実験について吉野家 代表取締役 河村 泰貴氏は以下のようにコメントしている。

2016年3⽉から飲⾷業特有の不規則な勤務体系による従業員の睡眠に関する悩みを解決するため、当社グループの㈱吉野家と㈱アークミールにおいて睡眠に関する従業員研修や当社専⽤の「睡眠相談窓⼝」サイトも開設し、睡眠の質を⾼めるためのさまざまな取り組みをニューロスペース様と進めてまいりました。
今回、この実証実験に参加し、従業員1⼈ひとりに合った最適な「睡眠」を⾒つけ、従業員の「健康」につなげていきます。

今後はお客様に向けて睡眠の質を⾼めるメニュー等の開発でも共同研究していきたいと考えております。

睡眠解析プラットフォームの詳細

特許出願中である睡眠解析プラットフォームは以下3つの要素から構成されるという。

  • 個々⼈の睡眠状態を従来⽐で⼤幅に⾼精度化し計測するデバイス
  • 取得された睡眠データに個⼈差を加味し、評価するAI アルゴリズム
  • 得られた睡眠評価から、⾏動⾯・環境⾯で個々⼈に最適な睡眠改善ソリューションを提案する機能

1. ⾼精度の新規睡眠計測デバイス

既存の体動を指標にした睡眠計測デバイスは、測定が簡易な⼀⽅、睡眠ステージ判定(覚醒、ノンレム睡眠、レム睡眠)の精度に限界があることが知られている。

また、脳波を⽤いた⼿法で⾼精度のデータを得るためには、特殊な測定環境が必要とされ、その解析⼿法も未だ⽬視での判定が標準とされている。

よって従来の⼿法では、正しい睡眠ソリューションを簡便にかつスピーディーに提供することが不可能となっているという。

同社は最先端科学をベースとした独⾃の睡眠センシング技術を確⽴することで、それらの問題を克服した睡眠計測デバイスを開発していく予定。

2. 個⼈差を鑑みた睡眠解析アルゴリズム

これまでの睡眠評価サービスの多くは、万⼈に共通する表層的な解析アルゴリズムであり、複雑な⽣活スタイルや時差などに悩む⼈々に最適な睡眠ソリューションを提供することに限界があったという。

ニューロスペースは、⼀⼈ひとりの睡眠データの個⼈差をAIを活⽤して解析し、正しい睡眠評価と最適なソリューションアルゴリズムや、これらのアルゴリズムと上記新規睡眠計測デバイスを同時に開発。

あらゆる業種・職種の睡眠データを⼤量に蓄積することによって、睡眠解析の信頼性を向上させ、より容易に、かつ本質的な解析を⾏うことができるデファクトスタンダードの構築を⽬指す。

また、技術開発についてはニューロスペース取締役兼最⾼技術責任者である佐藤 牧⼈氏が開発をリードする。同氏は、⽂部科学省のWPI(世界トップレベル研究拠点形成プログラム)において基礎から臨床までを網羅する世界にも例のない睡眠研究拠点として筑波⼤学に設⽴された、国際統合睡眠医科学研究機構出身だ。

3. 睡眠ソリューションAPI

ニューロスペースはこれまで健康経営を掲げる⼤⼿上場企業を中⼼とした数⼗社に対して、睡眠改善プログラムを提供し、多くの企業の健康向上・⽣産性向上に貢献してきた。DeNAでは被験者の66%が睡眠改善するなど効果が見られたという。

あらゆる業界、職種、シフトごとの睡眠ビッグデータと、あらゆる睡眠問題に対してどのソリューションが最適かというアルゴリズムの提供が当社の実績をベースにした特徴であり、睡眠評価から個々⼈に最適な睡眠改善⾏動を提案する機能を実装していくとのこと。

特に睡眠ビジネス参⼊を検討する企業はAPI提供を受けることで、睡眠改善データとソリューションアルゴリズムを⾃社サービス・IoT対応製品に組み込むことが可能となります。

リアルテックファンドから約1億円の資金調達 スリープテック事業を加速させるねらい

また、同社のSleepTech(スリープテック)事業の加速を⽬的に、ユーグレナ、SMBC⽇興リバネスキャピタル(以下、リアルテックファンド)から第三者割当増資による約1億円の資⾦調達を実施した。

同時に、国⽴研究開発法⼈新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の平成29年度研究開発型ベンチャー⽀援事業に採択されたという。