ソフトバンク副業解禁、背景にあったのは「社内起業不発」の事情だ

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記事の情報は2017-10-16時点のものです。

ソフトバンクは、2017年11月から新たな働き方改革を開始する。発表された内容には「副業の許可」や「社外活動によるイノベーション創出」といった言葉が並ぶ。投資を成功させるソフトバンクには、働き方改革の背景に社内起業が育たない課題があった。
ソフトバンク副業解禁、背景にあったのは「社内起業不発」の事情だ

働き方改革の取り組みとして「副業を認めた」ソフトバンク

2017年11月から開始される、ソフトバンクの新たな働き方改革が明らかとなった。今回発表された主な取り組みは次の4つだ。

  • オフィス改革(グループアドレス制、サテライトオフィスの導入)
  • 副業の許可、社外活動によるイノベーション創出
  • 生産性向上に関するスキルアップ研修
  • マネジメント意識改革

注目したいのは、2つ目の項目に「副業の許可」や「社外活動によるイノベーション創出」といった言葉が並んでいる点だ。ソフトバンクでは、従来あった就業規則における副業禁止の項目を撤廃し、会社の許可を得れば副業が可能になるのだ。


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ソフトバンク副業解禁の背景


ソフトバンク、副業解禁の背景には「新規事業問題」

ソフトバンクが副業を解禁したのはなぜか。同社発表によれば、「副業解禁によって、本業に影響のない範囲でかつ社員のスキルアップや成長につなげてもらうため」だという。

社外活動を推進し、副業や他社交流の場で得た知見やノウハウを蓄積する。そして、将来の新規事業や既存事業の活性化などイノベーションの創出につなげていくことを社員に奨励しているわけである。

ソフトバンクといえば、社内でイノベーションを創出すべく、これまでもさまざまな施策を行ってきたことは有名だ。その一つが、2011年に立ち上げた新規事業提案制度「イノベンチャー」である。

イノベンチャーでは、社内からベンチャー企業を輩出し、本社事業とのコラボレーションや他業界への開拓を試みてきた。

しかし、イノベンチャーの取り組みは、成功しているとは言えない状況にある。提案制度を取りまとめるグループ子会社「SBイノベンチャー」のWebサイトによれば、2017年3月1日時点での応募件数は約6100件集まったものの、事業にまで結びついたのは0.2%の12件。そのうち、会社化された提案は3件にとどまっている。

設立年月 社名 事業内容 備考
2014年10月 M-SOLUTIONS 電子コミックアプリ「ハートコミックス」運営 ※2015年、Jコミックテラスに事業引継
2016年11月 hugmo(ハグモー) 保育クラウドサービス「hugmo」運営 -
2016年11月 OpenStreet IoTを活用した自転車シェアリングサービス開発 -

イノベンチャーでの提案から会社化された企業の一部

ソフトバンクでは、2010年に発表した「ソフトバンク 新30年ビジョン」で、グループ会社を5000社まで増やす目標を掲げてきた。

今回の副業解禁の理由を突き詰めると、これまで副業を禁止し、社内起業を推奨してきたソフトバンクが、社員にダブルワークを推奨し始めた理由が浮かび上がる。イノベーション創出は、社内起業の仕組みだけでは到底実現できない、というわけだ。