オフィス改革でリモートワークなども推進
もう一つ、注目したいのが「オフィス改革」の取り組みである。
4月に行われた第一弾の働き方改革では、フレックス制度のコアタイム撤廃、および在宅勤務の整備などが盛り込まれていた。そして11月から開始される第二弾の施策は、フリーアドレス制やサテライトオフィスの導入など、フレキシブルな働き方をより推進していく。
サテライトオフィスとは、企業の本拠地と離れた場所に設けたオフィスのことだ。ソフトバンクは2017年7月、ワークスペースを提供する米国発のメガベンチャー「WeWork」に出資し、合弁会社「WeWork Japan」を設立している。今回の発表は、同社がWeWorkのようなワークスペース利用拡大を促進させるねらいもありそうだ。
2018年には、東京にもWeWork のオフィスが誕生。第一弾は赤坂アークヒルズにオープン予定
コワーキングスペースは、単に好きな場所で働く、自宅ではないので集中できる、というだけではなく、さまざまな利用者との交流によって、刺激を受けるなどのメリットがある。オフィスも洗練された印象だ。
米NYのWeWorkオフィスのイメージ(出典:WeWork プレスキット)
WeWorkは2018年の日本進出が予定されており、ソフトバンクから44億ドルの出資が行われている。オフィスで設備投資するよりも経済的なメリットがあるという面も含め、ソフトバンクがWeWorkとどのように連携していくのかも注目だ。
ソフトバンクはあえてフリーアドレス制を導入し、「時間や場所にとらわれない働き方」を推進していきたい考えだ。従業員も、このスタイルに慣れていく必要があるだろう。
ソフトバンクは時価総額10.5兆円を超え、トヨタとNTTの次にランクインする国内有数の大企業だ。通信業界だけでなく、太陽光や野球球団運営など、多角的な運営を行っている。さらにグローバルに目を向ければ、世界の最先端技術に投資する「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」による優良企業への出資が目立つ。
事業の利益構造としても、もはや投資会社となったソフトバンク。副業解禁やオフィス改革によって、従業員に快適かつ適切な環境を与えることで、買収以外の道でイノベーションを取り込もうとしている。