「働きがい」と働きやすさをバランスよく配慮、働き方改革の成功セオリーとは

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記事の情報は2017-11-20時点のものです。

経営戦略として働き方改革を成功させるためには、「働きやすさ」だけではなく働き手のモチベーションをUPさせる「働きがい」をバランスよく実現することが必要です。働き方改革成功の秘訣をFeelWorks代表取締役社長の前川孝雄氏に語っていただきました。

目指すは、働きがいもあふれる「ワークハッピー企業」

私は、「働きがい」とは、「働」という文字に象徴されるように、「人のために動く喜びを感じられること」だと考えています。

自分が懸命に働くことで、誰かの役に立ち、喜んでいただける。さまざまな人に感謝され、「よりよい世の中をつくることに貢献している」と実感できる。

仲間と一緒に失敗を乗り越えたり、成果を喜びあえる。また、子どもたちに胸を張って自分の仕事を誇れる。こうしたことが「働きがい」へとつながります。

そして、これらは全て、職場・チームでの人と人との関係性の中で、コミュニケーションを通じて得られるものなのです。

いま私たちが目指すべきは、「働きがい」のために「働きやすさ」が配慮されている企業なのではないでしょうか。

私は、こうした企業を「ワークハッピー企業」と名付けています。

「ワークハッピー企業」では、経営者や管理職は、社員一人ひとりの働き方の改善(働きやすさ)には配慮しますが、かといって求める仕事の価値や目標レベルは下げません。そのぶん社員に裁量を任せ、自律的な働き方と仕事の創意工夫を求めるのです。

その結果、多様な価値観や制約を抱える社員も、それぞれに目的意識を持ち、自分の持ち味や強みを活かして役割を果たします。そして、努力や成果を周りから認められながら充実感を持って働くことができるのです。

「働きやすさ」も「働きがい」もない「ブラック企業」は論外ですが、働きにくい労働条件を顧みない「ワーカホリック企業」も、労働条件ばかりを配慮する「ぬるま湯企業」も、将来的には「ワークハッピー企業」を目指していくべきというのが、私の考えです 。

 「働きやすさ」は「働きがい」のための補助輪です。

「働きやすさ」だけに焦点を当てるのではなく「働きがい」を追求しながら、これを後押しするために「働きやすさ」を整備し、「職場への満足度」を高めていく。

そのことによって、結果として、企業の生産性向上やイノベーションを達成することが可能になってゆく。この好循環をうむ組織づくりこそ、経営戦略としての真の「働き方改革」だ、といえるのではないでしょうか。


*図表の出典:『「働きがいあふれる」チームのつくり方』前川孝雄.2016.KKベストセラーズ

著者プロフィール

前川 孝雄
株式会社FeelWorks 代表取締役社長/株式会社働きがい創造研究所 代表取締役会長/青山学院大学 兼任講師

兵庫県明石市出身。大阪府立大学、早稲田大学ビジネススクール卒業。リクルートで「リクナビ」「ケイコとマナブ」などの編集長を歴任後、2008年に人材育成コンサルティングなどを行う FeelWorks を設立。これまで、独自に開発した「上司力研修」や「人を活かす経営者ゼミ」などで300社以上の「人が育つ現場」づくりを支援。2011年から青山学院大学でも教鞭を執る。2017年には初のグループ企業・働きがい創造研究所を設立。著書に『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『上司の9割は部下の成長に無関心-「人が育つ現場」を取り戻す処方箋』(PHP研究所)、『ダイバーシティの教科書』(総合法令出版)など多数。最新刊は『5人のプロに聞いた! 一生モノの学ぶ技術・働く技術』(有斐閣)