ドラクエ、FFだけじゃない、絶好調スクウェア・エニックス収益構造を徹底図解

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記事の情報は2017-12-04時点のものです。

前年同期比24%増の売上高1320億円、営業利益は132%増の258億円と、2017年上半期決算を叩き出し、10年来最高の株価 (2017/11/16終値 5140円、1年で約2000円上昇) に達するスクウェア・エニックス。絶好調の理由を探る。

ドラゴンクエスト11が絶好調

2017年7月末から8月にかけて、筆者の周囲では「久々にやり込んだ」「PS4ごと買った」「レベル99まで上げたので卒業」などのツイートが相次いだ。

いずれも2017年7月29日に発売された「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて」(以下、ドラクエ11) をやり込んだ知人のツイートである。彼らはみな「ゲームが大好きで常にやり込んでいる」というゲーマーではなく、「ドラクエだけはプレイする」というライトユーザーだった。

今回の上半期決算の対象期間は、2017年4月1日から9月30日であるため、7月29日に発売された「ドラクエ11」の数字が含まれている。ここで前作「ドラクエ10」が発売された2012年上半期の決算と比較してみよう。


2012年上半期の決算は、「ドラクエ10」が発売されたにも関わらず赤字。理由は明確で、「ドラクエ10」は、「ドラクエ1~9、ならびドラクエ11」のような「売り切り型」のゲームではなく、月額課金がメインのオンラインゲームですぐに利益貢献しなかったためだ。

オンラインゲームの「ドラクエ10」は、ゲームソフト自体は安価に販売されるため、発売した決算期に一気に売上が立つことはない。むしろ、遊び続けてもらうことによる月額課金がメインの収入だ。

このため、ゲーム自体も「弱い主人公を強くして、最後に魔王を倒してゲームクリア」というこれまでのタイプのものではなく、次々と新しい目的が登場してゲームを(そして月額課金を)終わらせない仕組みとなる。

結論からいうと「ドラクエ10」はマニア受けはしたものの、ライトユーザーからは総じて不評だった。ゲーム自体の面白さもあるが、それ以上に、ドラクエファンのユーザーのほとんどが「魔王を倒したら終わる」、これまでの売り切り型のゲームを望んでいたのだ。

「ドラクエ11」では、これまでと同様の売り切り型に回帰し、ライトユーザーを取り込むことに成功。結果、前作の3倍の売上本数に達している。