ドラクエ、FFだけじゃない、絶好調スクウェア・エニックス収益構造を徹底図解

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記事の情報は2017-12-04時点のものです。

前年同期比24%増の売上高1320億円、営業利益は132%増の258億円と、2017年上半期決算を叩き出し、10年来最高の株価 (2017/11/16終値 5140円、1年で約2000円上昇) に達するスクウェア・エニックス。絶好調の理由を探る。

すでにドラクエを超えた「スマホゲー」

そして、2017年上期決算で特徴的なことは、「ドラクエ11」を含む家庭用ゲームソフトの売上高が381億円であることに対し、スマホ向けのゲームの売上高が464億円と大きく上回っていることだ。

四半期単位でみると、大型タイトルの投入があるかないかで家庭用ゲームソフトの売上高と営業利益は100億円単位で大きくぶれる。

これに対して、スマホ向けゲームは幅広いタイトルを投入して、売上が伸びるものだけを残すというアプローチが功を奏して、安定的に利益を稼ぎ続けている。

一般的なイメージとは異なり、スクウェア・エニックスは「ドラクエ11」や「ファイナルファンタジー15」といった家庭用タイトルに頼らなくても、十分な利益を創出できる体質にすっかり変わっているのだ。

とはいえ、スマホゲーム業界の生き残りは熾烈である。「パズル&ドラゴンズ」、通称パズドラを大ヒットさせたガンホー・オンライン・エンターテイメントは、パズドラ以後ヒットに恵まれず株価は最盛期の1/5まで沈んでいる。

そんな中、なぜスクウェア・エニックスは成功し続けているのか。その秘訣はブランド力だ。

現在では、「ドラクエ」「ファイナルファンタジー」といった家庭用ゲームタイトルは、「単体のゲームとしての利益貢献」以上に、「スマホゲームで有利に集客をする」ことに価値を発揮している。

実際、決算説明会で使われた資料に掲載されている主力スマホゲーム12タイトルのうち、実9タイトルが家庭用ゲームのタイトルを用いた作品で、そのうち2作品はドラクエ、4作品はファイナルファンタジーが冠されている。

ばくち要素の大きい家庭用ゲームでブランドを創出・維持し、そのブランドをスマホゲームに活用して安定的に稼ぎ続ける。この歯車ががっちり噛み合って、現在のスクウェア・エニックスの好況がある。