ドラクエ、FFだけじゃない、絶好調スクウェア・エニックス収益構造を徹底図解

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記事の情報は2017-12-04時点のものです。

前年同期比24%増の売上高1320億円、営業利益は132%増の258億円と、2017年上半期決算を叩き出し、10年来最高の株価 (2017/11/16終値 5140円、1年で約2000円上昇) に達するスクウェア・エニックス。絶好調の理由を探る。

アジア市場を成長させられるか

絶好調に見えるスクウェア・エニックスだが、一つだけ死角がある。それはアジアだ。2017年上半期は、日本と欧米でバランスよく稼いでいるが、アジアでは販売が振るわない。

地球の総人口は2015年では73億人だが、これが2030年には85億人に到達する。そして、アジアの人口は2015年の44億人から2030年には49億人に増加し、実に世界人口の半数を占める見通しだ。

これとは逆に、日本の人口は2015年現在1億2700万人だが、2030年には1億1600万人へと減少する。ビジネスは拡大する市場で行わなければ、先細りとなる。アジア開拓は必須である。

スクウェア・エニックスも、これまで手をこまねいていたわけではない。アジアのビジネス開拓にはすでに取り掛かっており、中国とインドネシアに子会社を設立している。

特に、一人あたり平均GDPが8500ドルを超えた"中進国"である中国には注目したい。この数字には平均GDPをはるかに上回る富裕層が多数含まれており、高所得層が多い国でビジネスが化けやすいスクウェア・エニックスと相性がよい。

ただ中国は、テンセント(Tencent)、網易(NetEase)、完美世界(Perfect World)のトップ3ゲーム会社が非常に強いため、成功するのは容易ではないだろう。2013年に設立したインドネシア法人は早くも清算中となっており、アジアにおけるビジネス開拓は難航していると推察される。

実は筆者は、数年前にスクウェア・エニックスの海外事業開発の面接を受けている。残念ながら不採用だったが、一次面接に、エニックス創業者で現名誉会長の福嶋康博氏がいきなり登場し面食らったことはよく覚えている。言い換えると、創業者が面接に出てくるほど、真剣に人材を探しているということである。

現在、アジアにおける唯一の拠点となっている中国を伸ばすことができるのか。または他のアジア諸国の開拓に再び取り組むのか。

決算数字が好調なうちに、成長のための投資を十分に行えるかどうかが、今後の成長の分岐点となるのは間違いない。