システム会社にとっては大きなビジネスチャンス
みずほ「構造改革」の最終結果が出るのは10年後だが、うまくいけばそれを待たずに成果が見えてくるようになるだろう。そうなると、日本のほぼすべての金融機関が「みずほ流」を真似て、一気に構造改革に舵を切る。ここに大きなビジネスチャンスがある。
「ロボティクス」「ブロックチェーン」「ビッグデータ」「AI」がどの程度収益向上、コスト削減に貢献したかが見えてくれば、金融機関内で担当者が上司に稟議を上げて通せる可能性も高まるからだ。これにより生まれるビジネスチャンスは、みずほ一行の比ではない。
また、従来は富士通、NEC、日立、日本IBM、NTTデータといった「ITゼネコン」が寡占し、その下に多くの下請け企業が紐づくという世界だった金融機関向けシステム販売ビジネスが、大きく変わる兆しがある。
たとえば、みずほは「デジタルイノベーション」と称して、ベンチャー含む他企業との直接の取り組み、ならびにグループ内のベンチャーキャピタル「みずほキャピタル」を通じて出資を募り、ベンチャーの製品・サービス・技術をうまく取り込もうとしている。
世界的な潮流に目を向けると、金融機関によるFintechベンチャー買収は着実に増加している。本記事執筆中の2017年12月にも、米金融大手のJPモルガンが従業員100名強のFintechベンチャー、WePayを3億ドルから4億ドル (330億から440億円) で買収を完了したとの発表が舞い込んだ。
この動きが日本でも起こると考えれば、ベンチャーにとって金融機関は「顧客」「提携先」「ベンチャーキャピタル」、そして「イグジット先(会社の売却先)」にもなるはずだ。非常にエキサイティングな話である。
このように、みずほの構造改革は、日本のすべての金融機関、そして多くのFintechベンチャーに大きな変化をもらたす可能性が高い。
炎上劇で失われた10年を、みずほがこの先10年で取り戻せるのか。みずほが果たして、金融業界の変革をリードして行くのか。期待をこめて注視したい。