高島屋「職住近接」の働き方改革、サテライトオフィスに学ぶポイントとは

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高島屋をはじめサテライトオフィスを設置する企業が増えている。働き方改革の一環として、「職住近接」の観点から従業員が通いやすい場所にワークスペースを設け、子育てや介護などさまざまな事情を持つ従業員が通いやすい環境を整備することが狙いだ。高島屋の「職住近接」がなぜ功を奏しているのか、オフィスの役割とは、考察をまとめた。
高島屋「職住近接」の働き方改革、サテライトオフィスに学ぶポイントとは

高島屋のサテライトオフィス「職住近接」背景にある課題

国内大手百貨店の高島屋は、都内を中心に名古屋、大阪など全国にサテライトオフィスを設置することを発表した。東京都内に12か所、全国計20か所にサテライトオフィスを展開する。

あわせて在宅勤務制度を導入し、場所にとらわれない働き方ができる環境を整備している。横浜店には企業内保育所も設置した。

高島屋では、育児や介護に携わる従業員が増えていることを踏まえ、仕事をしたくても両立が難しい「ワーク・ライフ・コンフリクト」の解消に取り組んでいるのだ。

「人材は大切な財産であり、効率的な働き方やインフラなどの仕組みで支えたい」と木本茂社長がいうように、「職住近接」の仕組みを提供することで人材を確保する狙いだ。

都心の店舗はいまだ健在な訪日外国人の買い物需要により売上好調な高島屋だが、地方には赤字を抱えている店舗も少なくない。

そんななか、高島屋はあえて地域共生のために店舗を閉鎖せず、従業員の雇用を守る方針を打ち出した。

雇用を守るには店舗を黒字化しなければならない。そこで赤字店舗の売り場を家具メーカー大手のニトリや地方自治体に譲渡して効率化を進めた。

その結果、高島屋では営業赤字を抱える店舗数は前年度の7から2に減少。いまだ赤字の2店舗についてもすでに黒字化のめどがたっている。

高島屋は、ワーク・ライフ・バランスのアクションプランとして「次世代育成の視点を踏まえた地域への貢献」を掲げている。地域で雇用を創出し、人材を育てることで地域を活性化させ、地域の消費を増やしていくことを目指す。

サテライトオフィス活用による「職住近接」の仕組みは単なる人材の確保だけでなく、地域活性化の面からも重要なポイントだといえる。

WeWorkの台頭で分散化が進むオフィス

高島屋など企業によるサテライトオフィス設置だけではなく、近ごろでは地域活性化をキーワードとしたビジネスモデルは数多く登場している。コワーキングスペースをグローバルに展開する「WeWork(ウィーワーク)」もそのひとつだ。

WeWorkの魅力は物理的な場所貸しだけではなく、世界19か国178地域に展開するネットワークを背景としたコミュニティを提供していることにある。世界中のメンバーと交流するアプリを提供し、地域にはコミュニティディレクターを配置してメンバーの交流を促進する。

もともとはスタートアップやフリーランスが利用していたが、最近ではマイクロソフトやセールスフォースなど大手企業とも提携している。インスタ映えするアーティスティックな空間で規模を問わずさまざまな企業が交流することでイノベーションが生まれている。

WeWorkはコワーキングスペースの不動産を所有しているわけではなく、地域のオーナーが抱える遊休資産を借り上げて運用しているのだが、全コワーキングスペースの稼働率は90%を越えている。

人が集まり、物件の価値が高まるため、その地域の活性化にも貢献しているのだ。同社日本代表のクリス・ヒルズ氏はこう述べている。

「デザイナーや建築家に巨額のお金を払って建てたオフィスをもつのではなく、そこにあるチャンスやニーズに応じて柔軟にオフィスを構えるという未来がくる」

都心の巨大なオフィスはもはや必要とされず、人の住む地域に寄り添うように分散していくだろう。

ちなみにWeWorkは、WeLive事業も開始しており、WeWorkとWeLiveが併設されている。グローバルに見ても、高島屋が唱える「職住近接」により地域に貢献するという潮流は確かに存在しているといえる。