男性が育休取得して仕事と育児を両立するメリットは「マネジメント力向上」である

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記事の情報は2017-12-19時点のものです。

厚生労働省は2020年までに男性の育児休暇取得率13%の目標を掲げている。各界の著名人男性が育児休暇を取るニュースも増えたが男性の育休取得率は3.16%にとどまる。男性の育児休暇取得に「メリット」感がないのだろう。今回は「育児休暇の経験がビジネススキルを飛躍的に伸ばす」という事実に焦点を当てた。

育児と経営マネジメントの共通点まとめ

育児生活とは、非常にミニマルな経営活動である。それを実地でやることによって見えたのは、「現場のための戦略」を立てることで、経営活動がうまくいくということだ。

育児"現場"への直接的支援を実行するスケジュールが崩れたら、即座に母子のストレスにつながる、ということは先に述べたとおりだ。

母子のストレスが高まれば、夫婦間の諍いに発展したり、睡眠不足からくる不機嫌、体調悪化を発生する。症状が悪化すると産後鬱のリスクが発生し、離婚の危機に発展することもある。

当事者たちのストレス耐性が高かったり、期待値調整が働いていれば、リスクは顕在化しないだろう。が、多くの家庭がそうではないのは周知の通りである。

企業経営も同じことではないか。

決算時に、株主に正々堂々たる成果を報告するためには、健全にして十分なる現場でのパフォーマンス発揮、これ以外にどんな奇策も存在しない。(それができていないがゆえに、粉飾だ虚偽報告だとニュースは後を絶たない)

経営も育児も、「現場ファースト」が大事

こういってしまえば当たり前なのだが、世の企業を観察すると、その逆のことが多い。

経営が上位で、現場はそこにステップアップするための階段である、という価値観。中期経営計画を達成するために、現場の犠牲は当たり前だという発想。

戦略が外れても、そのしわ寄せは経営ではなく現場に押し付けられ、数字は誤魔化され、経営陣は一向に教訓から学ぶということをしない。そんなことだから、中期経営計画は狂い続け、離職率は高止まりし、働き方改革は形骸化する。発想を逆転すべきだ。

現場が働きやすくなるために、現場が成果をあげやすくするために、いついかなる物資が、人間が、資金が、情報システムが必要なのか。それは自社開発か、クラウドサービスの活用か。何が内製であるべきで、何は外部リソースを活用すべきなのか。自社のコア・コンピタンスとは一体なにか。中長期的に何をどう組み立てるのか。

これを徹底的に考え、実行することが経営の本質である。

育児生活においても、企業経営においても、「現場ファースト」であるべきだ。

グーグルの個人ファースト経営が最近話題であるが、筆者はこれにとても深く共感するものの一人である。それは、グーグルで働いたことがなくとも、男性が育児休暇を取得すれば家庭で体得できるのだ。

もし育児に取り組む機会を持つ人であれば、ぜひこうした視点で取り組んでほしいと思う。企業経営者は、男性育休を「利益創出機会の逸失」ではなく、「マネジメント能力向上研修が、プログラム作成も講師招聘もなしで実現できる機会」としてとらえてみてはいかがだろうか。