不本意非正規296万人の救世主はブロックチェーンだ

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正社員になりたいと願いながらも、さまざまな原因や理由によってそれが叶わず非正規で働く不本意非正規とは? 不本意非正規雇用の人数は減少しつつあるとはいえ296万にも達する。今回は、ブロックチェーンが非正規の働き方をどう変えるのかに焦点を当てた。
不本意非正規296万人の救世主はブロックチェーンだ

非正規雇用も、人手不足で軒並み賃上げ

2017年末、非正規の雇用状況をみてみると、派遣会社は事務系派遣社員の賃上げをする見通しだ。

株式会社リクルートジョブスの派遣スタッフ募集時平均時給調査によると、三大都市圏では時給1,652円となっている。月間160時間で雇用されても26万4,320円、年収約317万円となる。

これは三大首都圏の数字だが、年収300万円前後で首都圏においてギリギリの生活、といったところか。いくらスキルの必要ない事務系派遣だからといって、年収300万円の暮らしは厳しいのではないだろうか。

いつのまにか「年収300万もあれば上出来」の時代になってしまったが、このままの年収で良いと思う人は少ないだろう。

見捨てられる「不本意非正規」295万人の問題

総務省の労働力調査によると、非正規雇用者のうち、正社員として働くことを希望するがチャンスが見つからない「不本意非正規」は15.6%だった。その割合はじょじょに減少しているとされるが、総数にして297万人。見逃せない数字だ。データによるとこの不本意非正規は、各年代にまんべんなく存在する。

不本意非正規が発生する原因は、本人の就活努力や日々のスキルアップ不足の他にも、日本の硬直した雇用環境がある、と筆者はみている。

雇用の流動性が少ない日本企業では、出産や育児、そして介護や留学といった事情で会社組織を離職すると、二度と元の待遇に戻れない。未だ新卒一括採用は活況で、年齢を重ねるほどそのリスクは上昇する。

政府は「介護離職ゼロ」を掲げているが、介護離職者は推計10万人いるとされ、その人達が介護が終わったあと、親の年金も途絶えてキャリアに復帰できないといったケースは、いまや社会問題だ。

戦後のベビーブームに生まれた世代が75歳の後期高齢者となる「2025年問題」も待ち構えている。介護離職を考えたことがある管理職は約半数にのぼるという調査データもあり、ミドル以上の年齢になった管理職経験者が不本意非正規に「転落」する未来もそう遠くないように思われる。

背景に、改正労働契約法が生み出した新たな問題

2012年の改正労働法により、有期雇用の人は5年間勤務すれば無期雇用に転換できるという法律が誕生したが、これは筋が悪い。

この改正労働法は5年での雇い止めと、その結果「誰でもできる仕事」を非正規に与えて、正社員と派遣社員でスキルの格差が開くという新たな問題がうまれることとなった。

5年雇った時点で無期雇用に転換しなければならないのであれば、最初からスキルのない仕事を与え、雇い止めの時点で「スキルが足りていないから」ということにすればよい。そうすれば正当な理由になってしまうのだ。

そして2018年は5年で雇い止めの区切りの年で、非正規雇用の扱いは大企業の人事労務担当者を中心に悩みの種となっている。

雇われたときより5年歳を取り、なおかつ誰にでもできる仕事しかしてこなかった人たちが大量発生することとなる。(予測よりは少ないとの見通しはあるが、2017年12月現在でも「雇い止め」にあった派遣社員の方のインタビューなどが巷で話題だ。)

「不本意非正規」自己責任はどこまで

果たしてどこまでが自己責任なのだろうか。

学校を出た年がたまたま不景気と重なった、ブラック企業に入社してしまい辞めた、結婚・出産・介護、持病などで一旦現場を離れた、そんな人に世間は厳しい。

「転職先を決めずに会社を辞めたほうが悪い」

筆者も元不本意非正規である。仕事はいくら探してもみつからなかった。そのようなことは何度も言われた。

不景気でも就職に成功し、キャリアを構築する人もいる。よってそれらの特別な人を理由に、不本意非正規は自己責任を押し付けられがちだ。しかしどこまでが自己責任なのだろうか?

特に年齢の壁が大きい

非正規雇用の人間が正社員の仕事を見つけようと思った時にまず立ちはだかるのが、年齢の壁だ。多くが「長期キャリア形成のため」という理由で年齢制限を設けている。

これは企業側が新卒雇用に強くこだわっていることと、スキルで雇わず年齢で雇用するという雇用形態、年齢で決まる賃金形態などの弊害ではないだろうか。

雇用の流動化は救いにはならない

いま働き方改革が喧伝され正社員を早く帰らせるため非正規労働者を採用する傾向がある。同時に、前述のとおり人手不足で非正規労働者も賃金がやや上昇し、以前よりは生活が楽になりつつあるだろう。

そして雇用の流動化が期待されている。終身雇用を撤廃して転職が自由な社会になったとき、果たして何が起こるだろうか。

先程見た通り、「スキル不要」の仕事ばかりしてきて仕事にあぶれる元非正規雇用者の姿だ。そこでまた「自己責任」は繰り返されるだろう。

雇用形態、賃金形態の見直しも含めた雇用の流動化が図られても、2018年以降に同一労働同一賃金が成立したとしても、「不本意非正規」の救いにはならない、というのが筆者の見立てだ。