資本主義と価値主義を選ぶことができる時代
この流れは、今40代以上の人にはなかなか受け入れがたいことだろう。しかし時代は確実に移り変わりつつある。
モノを買いたいという欲望の代わりに新たに現れた承認欲求。私たちはそれにふりまわされ、同時にそこに活路を見出しつつある。
昨年末にブロックチェーンが不本意非正規を救うという記事を書いた。メタップスの佐藤社長が執筆し、箕輪編集者が編んだベストセラー「お金2.0」を読めば、それが妄想でないことがわかるだろう。「お金2.0」は、価値主義時代にお金のための労働から解放され、本当に好きなことだけをみなが追い求める時代に入りつつあることを示唆している。
「好きなことで、生きていく」は何も選ばれし一部のイノベーターだけの話ではない。誰にでも開かれている世界である。もちろん既存の資本主義で生きたければ資本主義のルールの中で生きれば良いだろう。選べる時代が訪れている。
しかし価値主義の時代はこれまでとはルールが異なる。そこでは共感を制するものが勝利する。いかに多くの共感を惹きつける個人になれるかが問われている。価値主義の時代は「個人の時代」だ。それを理解しなければならないだろう。
「何が好き?」が問われている
では、価値主義時代に必要なスキルとはいったいどんなものだろうか。筆者は「何が好きか」をつきつめて、好きなことにコミットすることだと考えている。
価値主義時代の生き方のお手本として、作家のはあちゅう氏をインフルエンサーのゆうこす氏を見てみよう。
作家のはあちゅう氏は新刊『自分を仕事にする生き方』で、周囲から異常がられても好きなことにコミットし、情報発信を続けることで新時代の仕事につながると語っている。また、インフルエンサーのゆうこす氏も新刊『SNSで夢を叶える』で、好きを発信することで批判者がそもそも寄り付かない、といったノウハウを公開している。
彼らはソーシャル時代にネットとファンからの好意を糧に成り上がっていくスペシャリストであり、時代の最先端な労働観を持っているため特筆すべき存在だ。
投げ銭や自分の時価総額といった新しいサービスにより、価値主義という新しい経済圏で生きる人は今後も増えるに違いない。
そこでは、「何が好きか」が徹底的に問われる。自分が狂おしいほど好きなものは何か。もしそれが旧来型の社会で認められない「寝て暮らしたい」という欲求でも構わない。
我慢が美徳とされる時代は終わった。好きなことを見直し、嫌なことから距離を置くこと。たとえサラリーマンであっても自営業や個人事業主であっても、好きなことを中心に仕事し、得意をのばしていくこと。
価値主義の時代が来るからこそ、何を自分がもっとも求めているか、が大切ではないだろうか。そして、それこそが働き方を変えていく第一歩といえる。資本主義で生きるにしても、価値主義の世界に挑戦するにしても、「何が好き・嫌いか」をクリアにすることは最重要事項だ。
インターネット上には、たとえ変わった価値観を持っていても、どこかに共感してくれ、価値を見出してくれる人がいる。だからこそ、「あなたが誰であり、どんな内面を持ち、どう振る舞っているか」つまり「生き方」が問われているのだ。