日本企業が「第四次産業革命」の波に乗り遅れないために必要なこと

デロイトトーマツグループは25日、デロイトグローバルが実施した「第四次産業革命への対応準備調査」について、日本企業の調査結果を発表。日本企業は商品開発への意欲は高いものの、市場変革・開拓への意識が乏しく、機会活用にも自信がないなど、準備不足が明らかになった。

日本企業が「第四次産業革命」の波に乗り遅れないために必要なこと

調査は、フォーブス・インサイトがデロイトグローバルの協力の下、2017年8月にアメリカ、アジアおよびヨーロッパの19か国の役員1,603名を対象に行ったもの。うち日本からの回答は100名。すべての回答者は、10億米ドル以上の収益を上げている企業で、10業種にわたるという。

第四次産業革命は着実に進んでいる

「第四次産業革命」は世界経済フォーラムの年次総会である「ダボス会議」でも2016年以降毎年主要なテーマとなっている。ドイツでは各国に先駆けて、製造業のデジタル化・コンピューター化を目指す国家的プロジェクト「インダストリー4.0」を実施していることは有名な話だ。

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IoT、AI、コグニティブ、アナリティクスなどの、よりスマートなデジタルテクノロジーが、新製品やサービス、仕事の効率化のみならず、新しいタイプの仕事やまったく新しいビジネスモデルといった豊富な機会を創出する兆しがみているのだが、その一方で、世界的に見ても第四次産業革命による機会をフルに活用しうる企業は、現時点においてごく一握りのようだ。

今回発表された「第四次産業革命への対応準備調査」では、従来からのビジネスの延長線上で第四次産業革命を捉える姿勢が表れていることが明らかとなったのだ。特に日本企業はその傾向が顕著で、「第四次産業革命を自社が市場変革、開拓する機会と捉えていない」。

逆にいうと、日本企業のこうした傾向を逆手に取って、第四次革命を自社がマーケットをリードし変革していく好機だと捉えることができるかどうかに、経営者の手腕が問われているのではないだろうか。

日本企業の主な調査結果

● 第四次産業革命の機会を十分に活用することに「大変自信がある」はわずか(日本:3%、全世界:14%)

● 第四次産業革命に期待する割合は高い(日本:91%、全世界:87%)

● 市場、教育、環境などの社会的課題に大きな影響を及ぼすと考える経営者は少数

● 第四次産業革命を自社が市場変革、開拓する機会と捉えていない

● 最新技術を競争上の差別化要因と考えていない

出典:デロイト トーマツ プレスリリース 「この1年でもっとも頻繁に議論をしたテーマ(最大5つ選択可)(%)」に対する回答

最新技術を活用することで、ビジネスと社会ニーズの関係を見直し、顧客、人材、市場、社会へと恩恵をもたらす変革をリードできる。これが第四次産業革命のキモである。日本企業が変わるためには何が必要なのだろうか。

最新技術を競争上の差別化要因だと捉えられることが鍵

「最新技術は競争上の主要な差別化要因と考えるか」という質問に対しては、日本の経営幹部の回答は「強くそう思う」5%、「そう思う」17%となり、全世界の回答(「強くそう思う」20%、「そう思う」37%)と比べてかなり低い。

第四次産業革命に備えるために、必要な投資に対する意欲の高さについても、日本の経営幹部の78%は「どちらでもない」と様子見の姿勢。このままではグローバル市場での成長に大きく水をあけられかねない。

日本では高齢化や働き方改革を背景として、ロボットなどの自律的なテクノロジーが人に代わるものとして語られがちだが、その枠にとらわれず最新テクノロジーの活用を競合優位性を図るための戦略として位置づけ、投資について前向きに検討べきではないだろうか。

保守的な日本の価値観を転換できるか

IoTやAIの普及については、セキュリティ上の脆弱性や法律の未整備などの課題も残る。またプライバシー保護に対する不安も背景にあり、シェアリング・エコノミーも日本は他国よりも認知度や利用意向が低く法規制も厳しい。

しかし第四次産業革命の経済効果は計り知れない。日本の企業はこの調査結果をふまえ、技術を戦略的に活用する意識を高めていく必要があるのではないだろうか。