ジンズのワーキングスペース「Think Lab(シンク・ラボ)」が世界一集中できるワケ

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昨年12月、世界一集中できるワークスペースが飯田橋グラン・ブームに誕生した。アイウェアブランドJINSなどを展開するジンズが開発した「Think Lab(シンク・ラボ)」だ。この会員制ワークスペースの開発者であり、メガネ型ウェアラブルデバイス「JINS MEME(ジンズ・ミーム)」グループマネージャーをつとめる井上一鷹氏にお話を伺った。
ジンズのワーキングスペース「Think Lab(シンク・ラボ)」が世界一集中できるワケ

いま「集中難民」が溢れている

ドアをくぐり、少し暗い一本道を進む。アロマのいい香りが漂う。数メートル先を抜けるとたくさんの植物が茂った空間へと辿り着く。眼に飛び込む開けた窓からの光がまぶしい。眼下には日本武道館や皇居が一望できる。壮観だ。

神社仏閣の構造に着想し、ストレスとリラックスが融合したという「世界一集中できるワークスペース」だ。

「Think Lab(シンク・ラボ)」入り口 神社仏閣では「鳥居」にあたる


ワークスペースへと続く廊下


ワークスペース入り口 「手水」にあたる

なぜ、メガネ屋であるジンズが「世界一集中できるワークスペース」を開発するに至ったのか。「Think Lab(シンク・ラボ)」の開発者である、「JINS MEME」グループマネージャー井上一鷹氏にお話を伺った。

「JINS MEME」グループマネージャー井上一鷹氏

昨今の働き方改革では生産性の向上にばかり目が向けられがちだが、定型業務の効率化を図るべきか、知的生産性に目を向けるべきかは、その組織の業種やビジネスモデルによって変わるはずだ。

生産性向上を目的とした情報共有やコミュニケーションが、実は知的生産性を下げる原因となっているのではないか。井上氏は「集中できない」時代であることに警鐘を鳴らす。

「今はWi-Fiの環境が整っていて、どこにいてもコミュニケーションが取れます。けれど、コミュニケーションを優先した結果、集中できない環境になっていますよね。アンケートで集中するのにどこに行きますか? と聞くとカフェだと答えます。しかし、カフェは集中できるように作られているわけではありません。実は集中難民が多く生まれているんです」(井上氏)

「Think Lab」オープンにあたりジンズが公表した数値では、カフェどころかオフィスが一番集中できない、という事実が明らかにされている。

提供:ジンズ 「オフィスでは集中できていない」

ワークスペースとして大半の人がもっとも長い時間を過ごすであろうオフィスは、カフェや図書館、移動中の新幹線の中と比べてすら「集中できない」場所なのだ。

提供:ジンズ 「オフィスがもっとも集中できない場所」

誰もがうっすらと感じていたであろう、この「オフィスでは集中できない」説。ジンズが見事に数値化できたのは、メガネ型ウェアラブルデバイス「JINS MEME(ジンズ・ミーム)」の貢献による。

メガネ型ウェアラブルデバイス「JINS MEME(ジンズ・ミーム)」とは

「JINS MEME(ジンズ・ミーム)」とは、「3点式眼電位センサー」「加速度センサー」「ジャイロセンサー」をメガネに搭載することにより、心と身体の変化を捉え、リラックスしている状態か、集中している状態かを知ることができるメガネ型ウェアラブルデバイスだ。「Think Lab」オープンの約2年前、2015年に発売された。

「JINS MEME」(コーポレートサイトより)

もともとは、ジンズ社長の田中仁氏が「頭のよくなるメガネはできないか?」という無理難題を脳科学の専門家である東北大学の川島隆太教授に相談したことに始まる。

そのようなメガネは難しいとしても、「下着の次に着用時間の長いメガネで、人の眼の動きから感情のデータが取れると面白いのでは」という話から、「JINS MEME」が開発されることとなった。

企業での活用が進みデータ解析を行ったところ、ジンズのオフィス環境を含めて現在のオフィス環境はコミュニケーションに特化しており、集中に向いていないことを突きつけられたという。

「ジンズは、“Magnify Life”をビジョンを掲げ、アイディアを通して人々の生活を豊かにしていくことを目標としています。おかげさまで日本国内でのメガネの販売本数はNO1です。しかし、それで満足するのではなく、常に新しいメガネの価値を模索し続けなければなりません」(井上氏)

メガネの形は数百年間ほとんど変わっていない。けれどもテクノロジーを活用してメガネの価値そのものを再定義した。その結果としてジンズは「Think Lab」という新たな事業の"芽"をつかんだといえる。

第4次産業革命の波への乗り遅れが懸念される日本において、見習うべきところは多いのではないだろうか。