富士通に学ぶ「副業社員」と企業が良好な関係を築くために必要なこと

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記事の情報は2018-03-04時点のものです。

個人的な社外活動を会社での本業に変えてしまう、という新しい働き方に富士通でチャレンジしているのはグラフィックカタリスト・ビオトープの中心人物タムラカイ氏と、タムラ氏のよき理解者であり立役者でもある上司の内田弘樹氏だ。従業員の副業を容認する企業が増えつつあるいま、副業社員と企業が双方にメリットがあるよう良好な関係を築くためのヒントを伺った。

新しい働き方をデザインしよう

タムラ氏と内田氏はいま、自分たちがやっている仕事を「働き方をデザインしている」という。

「ほかのメンバーからも、趣味とか得意なことを『会社の仕事としてやりたい』と言われたときに、『こんな道があるよ』と提示できるような会社にしたいんです。もちろん、それには面倒なこともあります。でも、それを投げだしては何も開けはしません」(内田氏)

確かに、新しい働き方には既存の制度で対応できないことが頻出する。労災や税金、権利関係まで、諸制度を変えていかなければならない。

「就業規則や人事考課についても、すでにあるルールを自分のケースに転用できないか調べて具体案を持って相談するようにしています。僕より下の世代にも新しい働き方を提示できて、彼らにとって少しでもプラスに働くなら嬉しいです」(タムラ氏)

タムラ氏がよい前例となり制度が整えば、それに続きたいと願う次世代は自社へのエンゲージメントがぐんと高まるはずだ。採用や離職率にも寄与するだろう。決して自己実現だけをわがままに考えているのではない、企業価値向上に対するタムラ氏のひたむきな想いがひしひしと伝わってくる。

内田氏は静かに語る。「この先の見えない時代では過去の成功パターンややり方に囚われず進化しないと、これからは組織がなりたたないのではないでしょうか」

働き方改革、副業、多様性と叫ばれる昨今だが、ベンチャーやスタートアップとは違って大企業では、既存の規定が邪魔をすることが少なくない。

いま企業に求められているのは、タムラ氏と内田氏のように、企業と個人の関係性と働き方をデザインし、多様な人材を容認する組織へと企業をリードしていく推進力なのではないだろうか。

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