ソフトバンクが信用スコアで狙う「次世代社会インフラ」構築とは

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ソフトバンクは2016年、みずほとともにJスコアを設立しAIレンディングを提供している。続いてソフトバンク・テクノロジーは、決済ソリューション事業のインサイト社と連携して信用情報プラットフォームを構築した。ソフトバンクが狙う「次世代社会インフラ構築」について考察をまとめた。
ソフトバンクが信用スコアで狙う「次世代社会インフラ」構築とは

個人の信用スコア、各国の事情と背景

決済のデジタル化が進むにつれて個人取引の追跡が容易になったことから、「信用スコア」で個人の信用を可視化する動きが出てきている。融資やローンの可否判断の際に審査コストが削減できることは、信用スコア活用の大きなメリットだ。こういった個人の信用スコア可視化が広く普及しているのはアメリカ、中国である。

アメリカでは3つの信用機関がFICOという計算システムを用いてそれぞれ算出している。クレジットカード、消費者ローン、住宅ローン、携帯電話料金支払いなどから算出するFICOスコアはソーシャル・セキュリティー・ナンバー(アメリカ版マイナンバー)に紐づけられている。このスコアは就職試験や入居審査に使われるため、アメリカで生活するためには重要な物差しとなっているという。

中国では信用機関ではなく、モバイル決済サービス「アリペイ」の提供する芝麻信用(ジーマ信用)と呼ばれる信用スコアが社会インフラになりつつある。支払い履歴、学歴、職歴、友人関係、住宅や車の保有の有無などをもとに算出し、一定スコア以上になると空港で専用レーンを使用できたり、シンガポールのビザ申請手続きが簡単になったりと、公共機関でも優遇措置があるのだ。

さらには、お見合い仲介サービスや合コンの設定でも「〇〇点以上の人」と人集めの基準とするなど、もはや個人を評価する偏差値として定着している。急増中の無人コンビニでは代金を支払わずに商品を持ち出すとジーマ信用のスコアに影響するようにもなっており、スコアは犯罪の抑止力になっている。

一方でこうした信用スコアは、プライバシーの保護の侵害にもなりかねない。日本でも個人情報保護法の条例から実現が難しいとされてきたのだが、マイナンバーで本人確認ができるようになったため、実現可能性が囁かれている。

しかし信用スコア導入には課題もある。現時点での課題は「安全性」だ。信用スコアは個人情報をもとに算出される。現時点では管理団体によって情報が集中して管理されているのでサイバー攻撃によって個人情報が流出するリスクがある。実際にアメリカの信用情報機関大手のひとつであるEquifax社ではアメリカ人口の約半分にあたる最大1億4,300万人の個人情報が流出した。

ソフトバンク、信用情報の社会インフラを狙う

ソフトバンクも信用スコアについて注目している。2016年にはみずほ銀行とともにJスコア社を設立し、銀行ローンでも消費者金融でもない「第3のローン」による市場開拓に乗り出した。

「Jスコア」とは

Jスコア社はAIによる査定を行い、融資するサービス「AIレンディング」を提供する。融資を希望する人が申し込み時に約150の質問に答えると回答内容からAIが信用スコア「Jスコア」を算出し、スコアに応じた融資条件が決まるというものだ。

AIスコアは質問事項の他にみずほ銀行の口座情報やソフトバンクの通信料支払情報などが加味される。また、融資者の可能性を重視するため、たとえば海外留学や資格取得のための講義受講など自己投資が目的である場合はスコアが高くなるという。

アプリ自体は無料で使用することができ、年齢、職業など基本情報を入力してたった2分程度でスコアが算出される。その後趣味など個人情報を入れていくとさらにスコアがアップする仕組みだ。スコアの履歴を見ることもでき、スコアを育てる仕組みも用意されている。

このAIスコアは融資サービスの一環なのだが、自分のスコアを知るためだけにこのサービスを利用している人も多い。毎日の4,000アクセスの7割は今までは借入をしてこなかった20代~30代、平均年収800万円の富裕層が占める。信用スコアの可視化が若い世代の富裕層に支持されたとみていいだろう。

今後はJスコアを多方面で活用するプラットフォームとして展開する想定だ。保険や証券の契約で信用情報として応用し、旅行や買い物で優遇措置を提供する。まさにこれがソフトバンクの狙うところであり、ジーマ信用のように社会インフラに成長することを目指しているのではないだろうか。