IoTニーズ対応で注目の「LPWA(ロー・パワー・ワイド・エリア)」市場、2018年は規格淘汰が進む

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IDC Japan は5日、国内LPWA(ロー・パワー・ワイド・エリア)市場に関する分析結果を発表した。それによると、セルラー系LPWAやSigfoxと、LoRaWANで市場へのアプローチが大きく異なることがわかった。また今後複数のLPWA規格が主流になる可能性が高く、主流になれなかった規格は早い段階で淘汰されるという。2018年は、LPWA規格間競争の勝敗が見え始める重要な年となりそうだ。
IoTニーズ対応で注目の「LPWA(ロー・パワー・ワイド・エリア)」市場、2018年は規格淘汰が進む

IoTに特化した広域無線ネットワーク「LPWA」とは

近年普及が加速しているIoTは、あらゆるものとインターネットをつなぎ相互に情報をやりとりするしくみである。従来のインターネット通信とは異なり、データサイズが小さいながら、高頻度に通信が行われ、そのデバイスは低消費電力であることが求められる。

そこでIoTに特化したシンプルな広域ネットワーク技術であるLPWA(Low Power Wide Area)が注目されている。

低コスト低消費電力など、従来の無線ネットワークでは満たすことが難しかったIoTニーズに対応できる画期的なソリューションとして期待を集めているのだ。

2018年はLPWAサービスがほぼ出揃い、LPWAデバイスの量産が拡大するなど市場の進展が見込まれることから、LPWA規格間競争の勝敗が見え始める重要な年になるという。


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3つの市場でサプライヤーの戦略に違い

IDC Japan によると、国内LPWAサプライヤーのターゲット市場は、全国カバレッジ市場、エリアカバレッジ市場、草の根市場の3つに分類されており、どの市場を第一のターゲットと考えるかで事業者の戦略が異なることがわかった。

(1)全国カバレッジ市場
全国で利用される同種かつ多数のモノやサービスに当初から組み込まれるか、そのようなモノに後付けされるIoT広域ネットワークの市場。全国にサービスを展開する大手モバイル通信事業者のLPWA(以下、セルラー系LPWA)やSigfoxの主なターゲット。

(2)エリアカバレッジ市場
限定されたエリア内でのLPWA展開ニーズに応え、特定都市の都市インフラや民間の土地や施設用インフラとしてIoTネットワークが展開される市場。LoRaWANの主なターゲット。

(3)草の根市場
上記2つよりも小規模かつ限定的な用途でIoTへの取り組みが行われる市場。スタートアップを含むIoTに関する何らかのアイデアを持つさまざまな企業が、小規模にIoTへの取り組みを開始しIoTネットワークを活用する市場。規格によらない。


出典:プレスリリース

LPWAは非常に安価であることに加えて価格面での競争も厳しいと予測され、大手通信事業者にとって安価なLPWAサービスの提供は、収益面よりも案件獲得面のメリットが大きいと同社は分析している。

2018年はLPWAデバイスの量産、規格淘汰が進む

現在市場には多くのLPWA規格が存在する。末端のデバイスにLPWAのどの規格が適合するかは、エリアやモノ、設置場所の特性によって異なるため、より安価で安定した通信を行うために複数の規格をハイブリッドに組み合わせるケースが多いという。

そのため、複数の規格が主流になる可能性が高いと考えられている。一方、今後、LPWAデバイスが量産フェーズに入り、デバイスメーカーによる規格の選別が進むことで、比較的早い段階で規格の淘汰が始まると同社はみている。

このような規格間競争では、技術的優位性とエコシステム構築が重要となる。現在、セルラー系LPWAは、カバレッジの広さやこれまでの実績に基づくパートナー企業からの信頼などの点において、一定の優位性が見込まれるが、他にもいくつかの規格が主流になる可能性があるといわれている。

IoT市場の活性化がLPWA市場を押し上げる

2017年のIoT市場規模は4,850億円、2020年には1兆3,800億円へと急拡大するといわれている。

多くのIoTプロジェクトでは末端のセンサーから得られるデータをクラウドに送信する「データ取得」が大きな課題の一つとなっており、低コスト、低消費電力などの優れた特性を持つLPWAは、データ取得のハードルを下げる技術として期待されている。

またIoTに取り組むサプライヤーには、企業のIoTへの関心を高める、LPWAやIoTプラットフォームなどでデータ取得のコストを下げる、水平展開できるソリューション事例を増やすといった、市場に好循環を作り出すための努力が求められると、同社は指摘している。

IoTの成長には切り離して考えることができないLPWA。両市場の好循環は、あらゆる産業に影響を与える可能性があり、今後も注目したい。