「AI採用」メリットとデメリット、企業の事例にみる採用フロー見直しポイント4つ

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記事の情報は2018-02-15時点のものです。

ソフトバンクなど大手を中心に導入が進むAI採用。現段階では採用効率をあげるために書類選考での活用が多いですが、AI採用の本質的な目的は採用業務の効率化だけではなく人材資源の戦略的活用にあります。そのために募集⇒選考⇒内定⇒入社までの採用フローに沿って採用業務を見直すことが重要です。
「AI採用」メリットとデメリット、企業の事例にみる採用フロー見直しポイント4つ

進むAI採用と人事管理システムの役割

昨今、AIを採用フローに導入した「AI採用」が話題となっています。その活用範囲はいまのところ、エントリーシートや履歴書などの応募書類のスクリーニングに限定されていますが、多くのメリットが指摘されています。

AI活用のメリット事例
・従来は学歴をみて合否を判断しがちだったため、これまで拾いきれていなかった人材を合理的に書類合格させることができるようになった
・繁忙期になると、人事の採用担当者が書類の通読に膨大な時間を費やさざるを得なかったが、業務効率化が進んだ
・書類を見る人により合否判定の判断基準にバラつきがあったが、過去の成功事例を参照して一定の基準で書類をスクリーニングすることができるようになった

AI採用を有効に活用していくために重要となるのが、社内に存在する過去の人事データです。社員の学歴、職歴、保有資格、経験などから導かれる成功事例に、採用のキーワードが隠されています。

従来のような属人的な把握では情報の抜け落ちが多く、複合的なキーワードに気が付くことも難しいので、成功事例の把握には、人事管理システムが便利です。人事管理システムがあると、教育担当者や上司に対象社員の正確な人事情報を簡単に共有することができるので、採用後の人材活用、人材育成にも活用していくことができるのです。

ではここからは、AI採用でスクリーニングできた候補者と対峙する際に留意すべきポイントを採用フローに沿って4つ紹介します。

許容できる残業時間、企業と学生では20時間も乖離

残業に対して、今の学生の目線は非常にシビアです。「これからはそういう時代(残業が当たり前の時代)じゃないよね」という人事担当役員も増えているものの、許容してほしい残業時間を尋ねると、学生が考える許容できる残業時間とは20時間近い差があることもあります。

求人サイトをみると平均残業時間30時間という記載の企業が圧倒的に多く、ここには「30時間くらいなら許容範囲でしょう」という企業側の本音が垣間見える気がしますが、学生側も理由もなく残業を拒絶しているわけではありません。

実際に学生に話を聞くと、「残業の必要性がわからない」と感じている学生も多いようです。もっと自分のため、家族のため、自己研鑽のために時間を使いたい、時間を無駄にしたくないという考えを持つ人も多く、時間に対しての意識はむしろ高いことがうかがえます。

学生に限らず、早くからインターネット上の多くの情報や広告にふれてきた世代の求職者たちは、情報の信ぴょう性には非常にシビア。求人原稿に多い「モデル給与」や「平均残業」といった言葉には疑心暗鬼の目を向けがちです。

どういった場合に残業が発生するのか、実際の残業時間はどれくらいなのかなど、学生がもっとも気にかける「残業時間」については、募集の段階でできるだけリアルな数値を話し合うことが大切です。

固定残業代を含む給料は詳細の明示

2018年1月から募集年齢を問わず、固定残業代の詳細明示義務が課せられています。固定残業代制を採用している場合には、募集時に以下の明示を行いましょう。

(1)固定残業代を除いた基本給の額
(2)固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
(3)固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨

「健康状態良好」の落とし穴

応募者の健康状態を判断するために一般的によく使われているのは、履歴書の「健康状態良好」の記載や、入社時に提出する健康診断結果です。しかし、この2つだけでは不十分です。

前職の退職理由となった病気の話や、今後悪化する可能性のある持病についての話は、面接ではなかなか出て来づらいものですが、選考時にこれらを話し合っておくことは非常に重要なのです。

なぜなら、どこまでが「健康状態良好」と言えるのか、自己申告の基準が曖昧なので、いざ入社し、体調を崩してから「実は、聞かれなかったので言ってなかったのですが…」と病歴の話がでてもおかしくはないからです。

そうならないために、一次面接の段階で健康状態をアンケート方式の書面で確認することができればベターでしょう。確認すべき項目は以下のとおり。

・今現在は健康状態が良好であっても、再発する可能性のある病気の既往歴がないか
・治療中または寛解状態にある持病がないか
・日常生活に支障のあるアレルギーはないか
・強い副作用のある薬を常用しているか

これら就業上の配慮を検討しなくてはならない事項をあらかじめ把握することで、人事異動や仕事の采配において最適な判断をすることが可能になるのです。