駒澤大学 井上智洋 准教授に聞く、ビジネスパーソンは「AI」をどう学び、活かすべきか?

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AI(人工知能)が近年、急速に進化していますが、今後どこまで進化するのでしょうか。巷間言われているように私たちの仕事の多くはAIに取って代わられるのでしょうか。『人工知能と経済の未来2030年雇用大崩壊』『ヘリコプターマネー』などの著者であり、AIが社会や経済、仕事、そして働き方に与える影響について、マクロ経済学の視点から分析をしている駒澤大学経済学部准教授・井上智洋氏にお話をお聞きしました。

データ不要、自ら学習することで進化する時代へ

ーー特化型AIと言われているものも徐々に汎用的になっていて、そこがグラデーションのように広がっているということですね。ほかにも注目されているものはありますか?

井上氏:コンピュータ囲碁プログラムのAlphaGo Zero(アルファ碁ゼロ)は無茶苦茶強いです。これまでのアルファ碁は過去の棋譜を読み込ませることで強くなってきましたが、アルファ碁ゼロは、棋譜を読み込ませることなく、プログラム同士を対局させるだけで強くなっています。

これまでは人工知能とビッグデータが一緒に語られることが多く、AIはビッグデータを読み込ませることで進化してきましたが、データが不要になったという点では画期的な進化です。これまではデータがないから人工知能を導入できないという話がありましたが、あまりデータがなくてもできるということになった、というわけです

ーー過去の棋譜や定石抜きで強くなったということですか。

井上氏:言わばデータなしにプログラムだけで強くなったということです。アルファ碁に関しては韓国や中国のトップ棋士に勝ったことで、「もういいでしょう」と思っていたのですが、棋譜なし、つまりデータなしで強くなれるかということで開発を進めていたのでしょう。


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ーーデータを与えずに強くなるところまでやりたかったということでしょうか。

井上氏:チェスや囲碁、将棋でもすでに人間が勝てないところまで来ています。

ーーお話をお聞きしているとゲームなどではAIは新たな段階に入りつつあることがよくわかりますが、ゲームや自動運転以外でAIの今の活用事例と今後の活用事例についてお話いただけますか。

井上氏:AIが一番得意なのは画像認識で、かなり実用化されています。私が通っているスポーツジムには受付に人がいなくて、登録されている会員の顔画像と一致するかどうかを判別して、会員以外が入ると警備会社に通報されます。夜8時になると受付にも事務所にも人がいなくなりますが、無人のジムが運営できるのは画像認識が発達したからです。

ロンドンでは画像認識がテロ防止に使われています。防犯カメラの画像をAIが常に分析していて、だれかが路上にカバンを置いて10メートル20メートル離れると自動的に警察に通知します。カバンに爆弾が仕掛けられているかもしれないからです。

これは、東京大学の松尾豊先生の受け売りですが、画像認識の実用化は機械が「目を持つ」ようになったということを意味します。そして、生物と同様に機械も目を持つことによって爆発的に進化すると考えられています。ビデオカメラやセンサーなどはそこに何が映っているかまでは教えてくれませんが、AIを使うとそれができるようになります。そこまで含めて「目」と言っています。

目を持つロボットは、不規則な環境の中でも自分でケースバイケースの判断をして作業ができるようになります。そうするとロボットは、これまでのように工場の中で固定された位置に置かれて定型的な作業を行うだけでなく、サービス業や農業などの分野でも使えるようになるわけです。

ーーAIの進化によって工場だけでなくサービス業なども変わるということですが、次回にお話をお聞かせください。

インタビュー後編はこちら。


駒澤大学経済学部准教授 井上 智洋氏:公式プロフィール。井上 智洋氏は(株)日本綜合経営協会の専属講師です。講演依頼などお問い合わせはこちら

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