国はフリーランスの最低報酬導入よりもセクハラ・パワハラ対策を

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増え続けるフリーランスの労働環境を保護するため国、特に厚生労働省がフリーランスの仕事ごとに最低額を設けるよう労働法で保護する方針が明らかとなった。企業に所属しないがゆえに、労働法制の対象にならず、最低時給の適用がないフリーランスに配慮してのものだ。しかしこの問題は、増え続けるフリーランスと働き方の解決になるだろうか。その前にやるべきことはセクハラ・パワハラ対策ではないだろうか。
国はフリーランスの最低報酬導入よりもセクハラ・パワハラ対策を

増え続けるフリーランス

2020年には、アメリカの労働者のうち半数の7,800万人が、フリーランスになると試算されている。そして日本でも、現在1,000万人のフリーランスがいるとのことだ。これらはどちらも、Upworkやランサーズといったフリーランス向けプラットフォームの調査であり、若干の偏向が入っているものの、フリーランスが増えていることは体感でわかるのではないだろうか。

もともと、フリーランスは高い専門性を持ち、複数のプロジェクトをかけもちしてバリバリ稼ぐ人種だ。会社勤務という働き方に適応できない人や、会社からの評価が物足りない人などが選択するケースが多いとされる。

最近はパソコンとタブレット、インターネットで完結する仕事が増えたことで、ますますフリーランスと呼ばれる人たちが増えた。しかしその一方で、増えているのがトラブルだ。支払い遅延、不当に安い報酬、収入が不安定であることなどがネックとなっていた。

雇われる生き方の限界

増え続けるフリーランスの背景には、雇われるという生き方の限界が訪れているのではないだろうか。特に日本においては、一旦キャリアを中断するともとの待遇に復帰するのが非常に困難だ。

結婚・出産・育児・介護だけでなく、留学や進学などでの退職、また、少し疲れてしまったなどの理由でキャリアが断念されると、次の就職でとても不利になる。

これはひとえに雇用の流動化がなされていないがゆえの弊害だが、フリーランスで働く人たちは、社会が変わるのよりも自分が変わるほうが早いと考えて転身した人たちだろう。つまり、雇われる生き方の限界が来ているのだと思われる。

フリーランスに起こる報酬の問題

フリーランスになって収入が増えたという人は多い。しかしその一方で、不当に報酬が低く設定され、買い叩かれている人達がいるのも事実だ。

2016年末には、インターネット上でキュレーション「WELQ」の問題が起こったが、それら記事を書いていた人たちは、7,000文字で5,000円といった、極端に低報酬で働くフリーランスだった。

また、日経新聞の調査によれば、収入が不安定であることがフリーランスを続ける上での懸念事項だという答えもある。今回の最低報酬設定は、最低時給の流れをフリーランスにも応用したもので、労働法制を適用するよう動くものだ。

低報酬にはメリットもある

誤解を招くようだがこの低報酬の問題は、デメリットばかりではない。フリーランスの低報酬問題には、人を買い叩いているといった批判が多いが、今や「素人革命」の時代だ。

デザイナー、ライター、漫画家、写真家など、従来は限られたプロフェッショナルだけが高報酬で仕事を請け負っていたものが、低報酬かつ素人、というアマチュアも市場に参加できるようになったのだ。

これは価格破壊というよりはマーケットの拡大で、市場が拡大して多様性を持つことは、プロにとってもアマチュアにとっても喜ばしいことだ。100円のライター仕事を最初に受けなければ、ライターになることすら叶わなかった、という人はいるだろう。そこからプロライター並の報酬を得ている人も存在するので、チャンスとして低報酬の案件を最初に受けることは悪くない戦略だ。

プロにとっても、アマチュアと差別化でき、その結果より高い報酬を得るチャンスにつながることだろう。安い値段でアマチュアフリーランスが受注していることを苦々しく思っているかもしれないが、これはその職業に就くのを、限られた会社への就職やコネではなく、マーケットの力に頼るということになる。これは非常に健全な市場原理ではないだろうか。


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