従業員の健康をどう守る?働き方改革の実情ーニッセイ「福利厚生アンケート調査」

日本生命保険相互会社は1月26日、ニッセイ「福利厚生アンケート調査」報告書を発行した。それによると、働き方改革が進む一方で、従業員の健康管理やメンタルヘルスなどの対策はまだ十分でないことが判明した。

従業員の健康をどう守る?働き方改革の実情ーニッセイ「福利厚生アンケート調査」

進む働き方改革、健康管理やメンタルヘルスについての実情は?

厚労省のデータ改ざん問題などで議論が紛糾しているが、そもそも安倍首相が最重要法案として掲げる「働き方改革」。

少子・高齢化による労働力人口の減少、AIなどのIT技術の進展など、経営環境が大きく変化している中で、企業・団体にとって、多様な人材が活躍し、従業員・職員が満足して働ける環境の整備は非常に重要な経営課題となっているのだ。

果たしてその実情はどうなっているのか。この調査は、働き方改革、従業員の健康管理などの取組について、898の企業・団体の現状と課題をまとめたもの。それによると、労働時間の削減や育児・介護支援について、法整備に伴う具体的な取組が進む一方、従業員の健康管理やメンタルヘルスについての実効的な対策はまだ十分になされていないという現状が判明した。

出典 プレスリリース

具体的にみると、まず、特に対応の必要性が高いと認識されている取組みの上位3位は「労働時間の削減」 女性の従業員・職員の管理職登用の促進」「介護と仕事の両立支援」で、「従業員・職員の副業・兼業に対する支援」は最下位となった。

また、 正規・非正規の従業員・職員の待遇差について、「通勤交通費」「休憩室」「更衣室」は差がないが、さまざまな要素が組み合わされて決定される「基本給」「賞与」 「 家族手当」には差があるという企業・団体が多かった。

非正規の従業員・職員に対する制度・施策の改善は6割弱が未検討、また、正規の従業員・職員に対する適用内容の縮小、もしくは制度・施策そのものの縮小は9割弱が未検討で、多くの企業で具体的な検討が進んでいない状況がうかがえるとしている。


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従業員の健康管理の取り組みは進むが十分に行き届かず

また、従業員の健康に配慮した安全な職場環境を整える「健康経営R」(特定非営利活動法人 健康経営研究会の登録商標)の取組みが進められている。しかし、この調査からは十分に行き届いておらず、特に正社員と非正社員に対する対応に差がある企業が多いことがわかった。

休業・休職者数をみてみると「 1.0 %未満」が約4割以上を占め、次に「 1.0~ 2.0%未満」が 26.5 %と続いた。その内容は、「育児休業」が 0.88 %、「メンタルヘルス不調による休職」が 0.28 %、「がん治療による休職」が 0.04 %、「介護休業」が 0.02 %となっている。がん治療や介護を理由として休業・休職を行う従業員・職員が少ないのが現状だ。


出典 プレスリリース

メンタルヘルスへの対応、企業規模による差が顕著

しかし、「健康経営R」はまだ行き届いていないといえる反面、従業員数が多くなるほど実施率は顕著に高くなっている。たとえば、メンタルヘルス対策は2016年度のストレスチェックの義務化もあり、従業員規模に関わらず何らかの対応を行っている傾向がうかがえる 。また 、 従業員規模が大きくなるほど取組みが進む傾向があり、特に3,000名以上では顕著であるという。

そして、非正規従業員・職員に対するストレスチェック実施は65.4%の企業・団体が「全員に実施している」状況だ。規模別には10,000人以上の企業・団体では、 43.7%と低く、正社員との対応を分けている傾向がある。

従業員の健康状態をデータ化

「健康経営R」の取り組みで特筆すべきは、健康保険組合などの保険者が取組むデータヘルス計画について、7割強でいずれかのデータが共有化されていることである。特に「定期健診などの集計データ」は規模に関係なく高い率で共有化されている。

出典 プレスリリース

一方、「問診・保健指導」「健診・特定健診」「保健指導・特定保健指導」の各集計データは大企業では共有化が進んでいるものの 、 規模が小さくなるほど共有化が進んでいない 。データヘルス計画への企業 ・ 団体の関与は、「詳細は把握していない」 「わからない」が過半数を占め、限定的であることが浮き彫りとなった。

両立支援対策について

傷病の通院・治療と仕事との両立支援策は、約半数の企業・団体で「年次有給休暇の積立制度」について取組み、 1/3程度で「相談窓口の設置」が続いた。

ところが、「特に実施していない」も1/3程度あり、とりわけ500人未満の規模が突出している。両立支援策のなかでも特にがん検診の受診促進取組みについては、「オプション健診としてのがん検診組み込み」が45.8%にのぼっているとしている。

また、介護支援ついても、実施率が35.2%に留まっている。全体でも8割が「実施していない」という状況だ。2025年には団塊の世代が75歳となる。これを迎えるにあたって、実態を把握し、それを踏まえた効果的な介護支援が展開されることが期待されると、この調査は締めくくっている。