一億総活躍を実現するのは、「女性の自信改革」だ

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多くの企業が「女性活躍推進」に取り組む中、これまで女性社員のマネジメントをしてくることがなかった人は、女性社員・管理職をどう増やしていくべきなのかが全く検討がつかないことも多いのではないだろうか。女性社員をマネジメントするうえで経営層が知っておくべきことがある。それは、「女性の自信のなさ」である。女性社員の離職を食い止め、企業の倒産リスクを引き下げるために、いまこそ「女性の自信改革」を断行してはいかがだろうか。
一億総活躍を実現するのは、「女性の自信改革」だ

女性活躍が「働き方改革」だけでは進まないワケ

前回、「無意識のバイアス」についての記事で、社内における女性役員比率が高いことがいかに重要であるかについて、数値でいくつも例を挙げた。企業の業績向上に貢献するだけでなく、役員における女性比率が高まると、企業がリスクを取りすぎることを防ぐこともできる。

また女性役員比率が高い企業は、倒産の確率を20%引き下げることができるという研究もある。女性活躍は人手不足を解消するだけのものではなく、直接企業の業績を上昇させ、倒産リスクを減少させるのだ。

これからの時代、女性社員をマネジメントできることは、企業としても、上司としても、非常に重要な要素となってくるだろう。女性社員を育成することは、女性管理職・役員を増やす方法としても効果的であるからだ。

女性管理職を増やすためにやるべきこと、と言うと、「働き方改革」をキーワードとして思いつく人も多いかもしれない。働き方改革を通じて、長時間を減らすことで、ワーキングマザーも時間的制限がなく、管理職に就くことが可能になる。

女性が働く上で、確かに働き方改革は重要だ。が、しかし、もう一つ大きなキーワードを忘れてはならないがちだ。それはが、「自信」だ。

女性社員マネジメントの上で経営層が知っておくべき、女性の自信のなさ

実際に、大手保険会社では、女性に「管理職にならないか」、と打診した際に断られた理由として2つの理由が挙げられたという。一つは、「長時間労働は不可能だから」、もう一つは「私にはまだ早いと思うから」だった。これらの2つの理由は、ほぼ半数ずつの割合でできたと言う。

これは、一社で起きている話ではなく、グローバルな研究結果でもわかっている。World Economic Forumの調査によると、女性が管理職にならない内面的な理由の一つとして、女性自身の自信のなさが挙げられているのだ。

つまり、働き方改革だけではカバーできない部分があり、女性自身の自信という問題を解決していかなければ、女性の管理職を増やして行くスピードはとても遅くなってしまうのだ。

一方で、男性からすると、もしかしたらこの自信のなさは中々理解できないものかもしれない。なぜなら、統計的にみても男女には大きな自信の差があることがわかっているからだ。まずは、男女における自信の差を知り、女性社員のマネジメント、女性管理職の増加に生かしてほしい。

男性の根拠なき自信と、女性の自信のなさ

さて、どれくらい男女には自信の差があるのだろうか。性別における自信の差は、非常に多くの研究結果が出ている。

例えば、MBAの学生に対して、自分にふさわしい年収はどれくらいかを尋ねた研究では、男性は平均で660万円程度と答えるのに対して、女性は平均で530万円程度と答える。そこには、130万円の差があり、つまり、女性は自分の価値を20%程度低く見積もっている。

ヒューレット・パッカード社の社内調査によると、転職や昇進の際に、男性は応募要件の6割を満たしていれば、手を挙げて応募するのに対し、女性は10割(つまり全ての応募要件)を満たしていないと手を挙げないことも明らかになっている。

社内だけでなく、政治家やCEOに自分は向いていると思うか、という質問に対しても、男性は女性の6倍も「向いている」と答えている。政治家やCEOに向いていると答えてしまう男性は、もはや根拠があるのかどうかも不明だが、男女で差があることは明らかだろう。

「自信」のついての男女差が生まれる2つの理由

この男女における自信において、差が出てくるのには、大きく2つの理由がある。

一つは、男女で脳の構造が少し異なっているからである。マギル大学の研究でわかっているのは、セロトニンと呼ばれる不安などをコントロールするホルモンが、女性は男性よりも52%少ないことだ。それに加えて、脳には「心配中枢」と呼ばれることも多い「帯状回」という部位があり、女性の方が男性比べて大きいそうだ。

もちろん、これらの脳の構造の違いはメリット・デメリットがある。けれど、自信という側面から見ると脳の構造が男女の自信の差の原因となっている。

二つ目の理由は、男女の幼少期の経験だ。読者のみなさんもお気づきだとは思うが、幼少期の精神年齢は女子の方が高い。女子は早い段階から感情のシグナルを受け取り、大人の顔色を見ながら行動し、行儀をよくしていたり、いい子でいたりすると褒められるということを学習する。繰り返し学習することで、いい子でいる自分を認められたいと思うようになり、周りの目を機にするようになる。

そして、結果的に、失敗してしまいそうなこと、うまくできなさそうなこと、つまりリスクを取ることを避けるようになってしまうのだという。幼少期から高校生になるまでの間に、女性の自信は男性より3.5倍低くなっている。

このような理由で、男女には自信の差がある。女性が男性のように自信があるわけではない、ということを理解することは、女性社員を理解し、マネジメントをする上で極めて重要だろう。

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女性の同僚に自信を持ってもらうためには

では、女性社員に自信を持ってもらうためには、どうすれば良いのか? 女性社員に自信を持ってもらうために、上司としてできることはいくつかある。

自分自身の成果を認識させる

まず一つ目は、女性社員に対して自分たちの成果を認識させ、そのことについてもっと自ら言及するように促すことだ。2011年にカタリストが行った研究では、「自分の成果を上司や周りの人に伝えて、もっと知ってもらう」ことによって、自信がつき、より成長し、社内での給料も増加した。7女性は傾向として、自分の成果に対して周りから褒められても、それを率直に受け止めない傾向がある。

たとえば、「この前の提案書、すごくよかった」と褒められても、「ありがとうございます」の代わりに、「いや、チームの皆が良いアイディアを出してくれたからです」と言ってしまう。英語では「Credit-defaulter」という俗語まであるくらいだ。だからこそ、自分がやったことに対しては、きちんと相応の評価を受け止めるように女性に教えることも大切だ。

行動を起こさせる

そして二つ目は、行動を起こさせるように促すことだ。
言葉で女性に対して伝えるよりも、行動を起こさせるように仕向ける。例えば「管理職に向いているから、絶対手を挙げて応募してみるべきだ」とか、「この提案なら、きっと取れるから、プレゼンしてみたら?」など。女性に必要なのは、背中を後一押ししてもらうことだ。

褒めるときは具体的に

そして三つ目は、具体的に褒めること。女性に対して、どれだけの価値があるのか、どれだけ感謝しているかなどを伝えても効果がないという研究がある。効果がないというよりは、むしろ逆効果で、女性の自信は落ち込んでしまう。

では、どうするのか。

褒めるときは、具体的にどのポイントが良かったのか、を伝えることが大切だ。例えば、「今日のプレゼン良かったね」ではなく、「今日のプレゼンの●●のスライドの説明が、クライアントに刺さっていたね」のように伝えるのだ。