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意外と古い「RPAの歴史」
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は知的労働者(デジタルレイバー)とも呼ばれる技術のことで、ソフトウェアのロボットが事務処理を肩代わりすることを指す。最近話題になっている単語ではあるが、意外に歴史は古い。
RPA製品のパイオニア的存在である「Blue Prism」を開発したイギリスのBlue Prism社は2001年に設立されているし、NTTデータが開発した国産RPA製品「WinActor」も2010年に開発した技術をベースとしている。
そもそもの業務の自動化への取り組みは、およそ100年以上前までさかのぼる。工作機械の進化は工場において劇的な効率化をもたらした。今では工場でロボットが作業しているのも珍しくない。
こうした工場の効率化の長い歴史には及ばないが、事務作業の効率化も長い間取り組まれてきたことはRPA製品の歴史を見てもわかる。Excelのマクロ機能を利用した簡易的な自動化も多くの企業で採用されている。
2017年から2018年にかけて、RPAの主要メーカーであるBlue Prism社、アメリカAutomation Anywhere社が相次いで日本法人を設立した。それだけ日本においてRPA市場が盛り上がっているといえるのだが、それはなぜなのか。
いま保険業界でRPAが注目されているワケ
これは近年の働き方改革がクローズアップされたことにより、ホワイトカラーの生産性の低さという課題が浮き彫りになったことが大きい。工場を持つ製造業の生産性は向上しているが、サービス産業など製造業以外の産業では生産性向上が進んでいないというデータもある。加えて、少子高齢化が進行したことにより、人手不足という問題が深刻になっているのだ。
2018年の財務省の調査によると、人手不足を認識している企業が71%と1年前より4%増加した。各企業は採用条件を緩和したものの、思うように採用が進んでいない。その結果、57.4%の企業でそのしわ寄せが社員に行き、残業など負担がかかっていると回答した。
生産性の低さ、人手不足。単純作業の削減はまさに待ったなしの段階になっており、その打開策としてRPAが期待されているのだ。