ストレージ市場の日米最新動向、コグニティブ・AI、IoT時代の「データマネジメント変革」とは

デジタルデータの生成が爆発的に急増している。2020年のワールドワイドのデータ生成量は44ZB(Zetta Bytes)との予測だが、IDCは「さらに2025年に4倍近い163ZBになる」と予測を更新した。同社の鈴木康介氏は、「自動運転や健康情報モニタリング、スマートグリッド、スマートメータ、HEMSなど、新規分野のデータが増えるペースが速い。データが増加すれば、ストレージベンダーのチャンスも広がる」と強調する。

ストレージ市場の日米最新動向、コグニティブ・AI、IoT時代の「データマネジメント変革」とは

コグニティブ・AIシステムの利用がストレージの需要を喚起

まず需要面での日米比較を見ると、コグニティブ・AIシステムの利用率は、ワールドワイド(以下、WW)で4割に近づいており、この2年以内の利用予定を含めると8割に達する。

コグニティブ・AIシステムの利用率

2年以内の利用予定を含めると8割というのは、いかに注目度が高いのか分かる結果である。

「これは非常に速いスピードだ。ただし国内市場だと重要度の認識はそこまでのレベルにはなく、温度差がある。機械学習の中でもディープラーニングは、学習データ量と共に精度がよくなるため、データを多く持ちたいというリクエストがくる。容量効率の良いストレージの重要性は増してくるだろう」(鈴木氏)

一方、IoTについても「デジタルツイン」からデータを活用し、イノベーションを進めていく流れが加速中だ。IDCの予測によれば、2020年までにForbes Global 2000企業の30%がデジタルツインで強化を図り、利益を向上させると予測しているという。

ちなみにデジタルツインとは、工場や出荷製品など、物理世界のモノをデジタル的にリアルタイムシミュレーションし、管理と制御に活用する手法だ。

「デジタルツインはGEなどの製造業から利用が始まったが、最近ではコンビニ店舗の空調のエネルギー制御や物流の最適化にも使われている。製造業のみならず、いろいろな分野で使われるようになるだろう。日本でも、国が“IoT投資減税”(Connected Industries税制)を後押しており、センサーやカメラなどの設備も含めて今後の投資活発化が見込まれる」(鈴木氏)

このようにIoTが急拡大すると、IoTプラットフォームの整備が肝要になる。そのような状況でストレージの需要にも期待が高まる。

日米ともに急増するAFAの選定基準は、信頼性からパフォーマンスに

次に鈴木氏は、ストレージ別の導入状況と選択理由について具体的に紹介した。まずオールフラッシュアレイ(以下、AFA)のWWでの導入率は、2016年から1年半の間に大幅に上昇し、本番環境では15%から29%と2倍に伸びている。

オールフラッシュアレイ(以下、AFA)のワールドワイドでの導入率

一方、日本国内では、本番環境の使用はAFAが17%ほどで、ハイブリッドフラッシュアレイ(以下、HFA)の20%に肉薄している。一年以内の利用計画まで含めると、AFAは37%となり、HFAの35%を抜く勢いだ。

「AFAの選定基準は、信頼性からパフォーマンスと移りつつあり、パフォーマンス面での一貫性の保証が注目されている。AFAは、使い始めは抜群に書き込みが速い。しかし利用が進んで書き換え動作の比率が上がると遅くなる。フラッシュメモリは上書きができず、一度更地化して(データをクリアして)使い直す必要がある。これを懸念した結果だろう」(鈴木氏)

現時点でAFAの国内ユーザーの割合は低いものの、米国ではTCO(人件費、電力コスト、スペース代)を考慮するとメリットが高いと捉えており、AFA導入によって成果をアピールするために使われることが多いそうだ。

SDSによるストレージ利用も伸びているが、日米では2年の開き

続いて同氏は、最近のストレージ市場を牽引するSDS(Software-Defined Storage)についても触れた。SDSを簡単に説明すると、ソフトウェアにより安い汎用サーバーを利用し、ストレージとして提供する技術だ。

仮想化が進む次世代データセンターや次世代アプリケーションの需要によってSDS市場が拡大している。ハイパーコンバージドインフラ(以下、HCI)市場でも成長中だ。WWでは本番利用が15%、PoCで検証中が23%で、1年未満に導入するを含めると、約半数のSDS導入が見込まれる。

「ただし日本ではSDSの導入率に関して、まだ2年の開きがある。国内の導入率は8%で、1年以内に利用を計画していると回答が2割程度となっている」(鈴木氏)

SDS不採用の主な理由は、以前の調査ではハードウェアコストとの回答が多かったが、直近の調査ではソフトウェアのコストが高いとする回答が増えたという。

日本ではSDSの導入率に関して、WWと比較して2年の開きがある

利用率の高いSDSの製品タイプとしては、大手ベンダーの商用SDSソフトウェア、HCIのSDSアプライアンス、スタートアップの商用SDSソフトウェアと続く。オープンソースのSDSは利用率に比較して今後の利用意向が低い傾向が見られる。

またSDSを不採用とするケースでは、パフォーマンスを理由とするものが多い。一方で、品質改善での不満は軒並み下がっており、市場での信頼感が醸成されつつある。

HCIの需要を加速するSCM(Storage Class Memory)の存在

またHyper-Converged Infrastructure(以下、HCI)のストレージ利用も見逃せない点だろう。WW調査では、導入理由として、運用効率の改善が上位に挙げられている。

「もともとHCIは、システムの運用効率を上げる目的で開発されたので、納得のいくアンケート結果といえるだろう。グローバルでは運用効率が非常に重視されている一方、国内ではコスト削減が効率よりも上位の理由に入っており、捉え方に差があるようだ」(鈴木氏)

また今後、SSDデバイスのハイエンドな接続規格として期待されるNVMeの接続をストレージネットワークに拡張する「NVMe Express over Fabrics 1.0」が規格として正式発表されており、HCIにも取り入れようという動きがある。

その背後にある次世代不揮発性メモリ「SCM」(Storage Class Memory)の存在も大きい。DRAMとフラッシュメモリの速度の隙間を埋める製品として期待されている。インテルやサムスンが発表し、不揮発性メモリの「3D Xpoint」や「Z-NAND」に採用中だ。


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