野村総研「ITロードマップ2018版」を発表、AI進展には量子コンピューター技術が貢献

3月8日、野村総合研究所は情報通信関連の重要技術が、2018年以降どのように進展し実用化されるかを分析した「ITロードマップ」を発表した。AIやVR、セキュリティまで11の分野までを取りあげ、数年先の動向をまとめたというその内容を紹介しよう。

野村総研「ITロードマップ2018版」を発表、AI進展には量子コンピューター技術が貢献

5年後の近未来、IT技術はどう進化する?

国内ITサービス市場は2017年以降も低率ながら成長を継続し、2021年には5兆7,764億円になる見通しだといわれている。(※IDC「IT市場予測」より)

しかし「IT」と一言で言っても、その内容は多岐にわたり、すべてを把握するのが困難になっている。ロードマップを読むことで、多様化するITの全体像を把握し、自社の戦略には何が必要かを見極めるヒントを見つけられるだろう。

 「AI・チャット・VRとAR・量子コンピューター」がキーワード

今回同社が5年後の近未来の重要技術としてとりあげたのは、対象として取り合げたのは下記5つである。

●人口知能AI
●AIアシスタントデバイス
●エンタープライズ・チャットプラットフォーム
●VR(Virtual Reality:仮想現実)とAR(Augmented Reality:拡張現実)
●量子コンピュータ

さらに、技術の観点からではなく特定の業界に近いテーマとして、金融×AI(金融分野におけるAI活用)、ロボ・アドバイザー2.0.、マーケティング×AI(マーケティング分野におけるAI活用)をあげている。

近年対策の必要性がさらに高まっているセキュリティ分野については、IDと認証セキュリティ、APIセキュリティ、ブロックチェーンにおけるセキュリティの3つの項目で分析をしている。

2017年はAIによる音声認識やセキュリティ対策、自動運転技術など、生活の中にAIが活用されはじめた年でもあった。それにともない、AIアシスタントデバイスも実用化。アマゾンの「Alexa」や、Googleの「Google Home」なども急速に利用者が増加している。

AIは今後量子コンピューター技術の活用で、さらなる進化を遂げると同社は分析していおり、事項で詳しく説明する。

また社内コミュニケーションにチャットを活用する企業は少しずつ増えている。代表格はslackだ。しかし現在この分野はまだスタートしたばかり。大企業にも対応しうるエンタープライズ・チャットプラットフォームの創出が、2021年の普及期の基盤を作ると同社は分析している。


人気記事
資本主義から価値主義へ移行する社会
スマートコントラクトの仕組みとは?
アマゾン銀行業参入の脅威
メガバンクRPA導入で迫るリストラXデー
「サイバーセキュリティの5大トレンド」


量子コンピューター分野は未知の可能性を秘めている

今回同社があげた中で注目すべきは、AIの進展に大きく貢献すると見られる「量子コンピューター技術」である。近年国内外の研究機関やITベンダーが開発に乗り出してるのだという。

量子コンピューターとは量子力学に基づいたコンピューターシステムで、従来のコンピューターと比べてスピードが桁違いに早い。2015年にGoogleとNASAが「1,000個の変数を持つ組み合わせ最適化問題を、従来のコンピュータと比べて最大1億倍の速さで解いた」という研究成果を発表したことで、脚光を浴びているのだ。

出典:プレスリリース

2017年度に国内でも産学連携での開発がはじまっている。ロードマップによると、2018〜2022年度の黎明期に、量子コンピューターを活用したAI技術の進展があるという。

組み合わせ最適化問題の研修が進み、車の自動運転のための画像認識や渋滞予測のための経路最適化、消費者向けの広告配信に必要な属性分類の最適化をはじめとした研究の成果が出るのがこの時期だ。

同社は2020年以降には、IBM、Googleなどによる「量子ゲート型コンピュータ」のクラウドサービスが始まると予測している。欧米諸国はすでにこの分野に莫大な投資をしており、日本でも東京大学などで研究が進められている。

概念の難しさはあるが、量子コンピューターが作る未来には無限の可能性がありそうだ。技術をかけ合わせることでうまれるビジネス変革の時代が、すぐそこまできている。

企業は先を見据えたうえで戦略をたて、人材確保やプラットフォーム構築といった基盤を作るべき時なのだ。

今回のキーワードを関連記事でもチェック

2017年国内ITサービス市場は前年比1.4%増の5兆5,389億円、2018年以降の市場予測―IDC発表 | ボクシルマガジン
IT専門調査会社 IDC Japanは2月26日、国内ITサービス市場予測を発表した。これによると、国内ITサービ...
駒澤大学 井上智洋氏が指南「AIについて正しく知り、未来に備えよう」 | ボクシルマガジン
AI(人工知能)の進化は止められず、私たちの未来も確実に変わることになりますが、心の中のどこかで「まだ先のことだか...
ウェルスナビが総額45億円の資金調達を実施、資産運用ロボアドバイザー「WealthNavi」体制強化へ | ボクシルマガジン
5日、資産運用ロボアドバイザー「WealthNavi」を提供するウェルスナビは、経営基盤やマーケティングの強化など...