ガートナー「ワークプレースに関する実態調査」ITスキル向上意欲がG7で日本最下位

ガートナー ジャパンは3月12日、主要先進国7カ国で実施したデジタル・ワークプレースに関する調査結果を発表した。それによると、 日本の従業員は、他の先進国に比べてITスキルが低く、IT装備が古いなど、働き方改革を実現していくうえで、さまざまな問題があることが明らかになった。

ガートナー「ワークプレースに関する実態調査」ITスキル向上意欲がG7で日本最下位

ITを十分活用しきれていない日本の従業員

最近、「働き方改革」という言葉をよく耳にする。安倍晋三首相も2016年9月、内閣官房に「働き方改革実現推進室」を設置し、働き方改革の取り組みを提唱している。その目的とするところは、「一億総活躍社会」の実現である。

具体的には、労働時間や残業時間の削減や休み方を変革し、働き手それぞれのライフスタイルに合った働き方を推進しこうというものである。現在、各企業などではすでにこの変革を進めているが、もちろん課題もある。

ガートナーが、2017年4月に実施したデジタル・ワークプレースに関する7か国(日本、シンガポール、オーストラリア、米国、英国、フランス、ドイツ)の国際比較調査の結果、日本の従業員は、他の先進国に比べてITスキルが低く、IT装備が古いという結果が出た。これは、働き方改革を実現していくうえで、さまざまな障害となるという。今回は、その調査結果を紹介する。

日本は業務用途デジタル・テクノロジのスキルの自己評価が最低

まず、業務用途のデジタル・テクノロジのスキルに関する自己評価、つまり自身のスキル・レベルをどう捉えているかを比較した。その結果、日本は自分を「素人」ないし「中程度」のレベルと考える従業員が6割近くを占め、調査した7か国中、もっとも自己評価が低い結果となった。

逆に、高かったのは米国だった。米国は「熟練」「エキスパート」の合計値が77% (熟練61%、エキスパート16%) ともっとも高かった。

出典:プレスリリース

IT装備ももっとも低い日本

また、日常的に業務で利用しているPC、スマートフォンを含む携帯電話、業務用アプリケーションなどについて、どれくらい新しいものを使っているのかを尋ねた結果、日本は「かなり古い」と「2~3世代遅れ」を合わせた回答率 (36%)が他国と比べてもっとも高い結果となった。

一方、最新の装備を利用している割合が高い国はフランス (43%)、次いでシンガポール (38%)だった。


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ITスキルの向上に消極的な日本の従業員

この調査結果で注目すべきは、デジタル・スキルを習得するための手段と機会に「関心なし」と答えた割合が、日本がもっとも高いという点だ。ITスキルの向上に初めから消極的な従業員の割合が16%と7か国の中で群を抜いて高いのだ。ちなみにシンガポールは2%、アメリカは3%と極めて低い。

これでは、働き方改革は進まない。こうした従業員は、トップダウンでITによる改革をいくら進めても、自己の流儀を変えようとしない人々である可能性が高くそれを解決することは困難な問題だとしている。

対策は成功の効果を示すこととデジタル・ワークプレース・リーダーの任命

ガートナー ジャパンのソーシャル・ソフトウェア&コラボレーション バイス プレジデントである志賀嘉津士氏は、これらの課題について、「デジタル・スキルを向上させるためには、2つの工夫が有効である。1つ目は、エリート・チームの編成。まずはITの活用による成功の効果を示し、次第に全体を巻き込む戦術だ。2つ目は、デジタル・ワークプレース・リーダーの任命。ビジネス部門でITに強い人や、IT部門でビジネスに関心のある人を選び、デジタル・ワークプレース・リーダーとして組織内に一定の割合で分散的に配置させる。ボトムアップの意思決定プロセスに慣れた日本には向いている手法といえる」とコメントしている。