戦略的インバウンドへのカギは「おもてなし精神」頼みからの脱却

観光庁が1月に出した速報値では、2015年の外国人旅行者消費額は3兆円を超え、今やインバウンド消費は無視できない存在である。2020年東京オリンピックイヤーにむけて、企業の対策はどうなっているのか。「インバウンド意識調査」などから解説する。

戦略的インバウンドへのカギは「おもてなし精神」頼みからの脱却

インバウンド市場は拡大、2020年までに年間4,000万人へ

JINT(日本政府観光局)によると、2月の訪日客数は250万9,000人。前年同月比 23.3%増となり、2月としては過去最高を記録した。政府は2020年に訪日外国人旅行者数4,000万人、訪日外国人旅行消費額8兆円という目標を掲げており、今後もインバウンドには力を入れていく方針だ。

出典:観光白書平成29年版 「訪日外国人旅行者数の推移」

日本経済において訪日外国人の消費額は無視できない

観光庁が2018年1月に出した速報値では、2015年の外国人旅行者消費額は3兆4,771億円。年間値で初めて3兆円を突破し、前年比はなんと71.5%増であった。また旅行者1人当たり旅行支出は17万6,168円で、これも前年比16.5%増となった。

国別にみると、中国が1兆4,000万円を超えて全体の4割を占め、次いで台湾、韓国となっている。消費額は2020年までにさらに拡大すると予想され、インバウンドによる経済波及効果は無視できない。

出典:観光白書平成29年版 「訪日外国人旅行者による消費の推移」


ビヨンド(Beyond)人気コンテンツ
中国「最強のユニコーン企業」10社
みずほ次期システム開発炎上のワケ
DMM亀山会長に聞くアカデミーの実態
ソフトバンク副業解禁の背景
もしアマゾンがトイザらスを買収したら?


インバウンド意識調査からみる、受け入れ体制の課題とは?

この状況に対し、受け入れ体制はどうなっているのか。意識調査や企業の取り組みなどからみていこう。

受け入れには前向きだが予算はない!「インバウンド意識調査」より

インバウンドニュース配信サイト「訪日ラボ」を運営するmovは、WEBサイト読者・訪日ラボメールマガジンユーザーを対象に調査を実施した。(回答158人)

これによると、社内全体でインバウンドには積極的ムードと回答した人は41.77%、まあまあ積極的なムード 48.73%と合わせると9割近くが前向きな雰囲気であることがわかった。

またインバウンド対策をやったことがあるかという問いには、75.32%があると回答している。対策の種類としては、WEB・ホームページの多言語化 68.07%、SNS運用 52.10%、メニュー・案内など多言語化 51.26%が上位となっている。

しかしインバウンド関連予算については、「ある」43.7%、「特にない」56.3%となっている。対策を前向きに考えている一方で、予算をとるほど本腰を入れておらず、社内でやれる人がやれる範囲でといった企業が多いようだ。

「ある」と答えた企業の6割が2016年から2017年にかけて予算が増えたと回答していることから、力を入れている企業とそうでない企業の差はさらに広がっていくことが予想される。

この予算投入の差が、今後の勝敗を左右する可能性は多いにあるだろう。日本の「おもてなし」文化は世界からも評価されるものであるが、現場のおもてなし精神だけに頼る戦略では、年々増加する外国人観光客を満足させることはできないだろう。

出典:プレスリリース