建設業の働き方改革、国土交通省の新プログラムでテコ入れなるか

国土交通省は2018年3月20日、建設業における働き方改革を加速させるため、3つの分野における新たな施策をパッケージとしてまとめた「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定したと発表している。(初回掲載日:2018年3月29日)

建設業の働き方改革、国土交通省の新プログラムでテコ入れなるか

建設業の働き方改革、国土交通省「3つの施策」を発表

いま、国内では「働き方改革」が進められている。少子高齢化が進むなか、労働力人口の維持は、GDPや企業経営にとってだけではなく、わたしたちの働きやすさの向上やキャリア開発にとっても、無視できない問題だ。

大企業を中心に、長時間労働是正在宅勤務の許可など働きやすい環境づくりが進められているが、教員の過重労働や医療・福祉業界における人手不足など、働き方改革の手が及ばない業界も顕著になりつつある。

建設業界もそのひとつ。後述するように、建設業界では4週4休以下で就業する人も多く、若者の離職や人手不足の常態化に喘いでいる業界の代表ともいえる。

2018年3月30日、国土交通省では「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定し発表した。建設業界の働き方改革促進に向けて、今後は長時間労働の是正給与・社会保険生産性向上の3つの分野での取り組みを進めていくとの方針を明らかにした。

建設業界の「働き方改革」は進むのか

まず、建設業での働き方改革の現状をみてみよう。

出典:建設業における働き方改革 国土通産省

このグラフ「実労働時間及び出勤に数の推移」からもわかるように、建設業の年間労働時間は2016年度2,056時間、他産業は1,720時間と大幅に長いことがわかる。

出典:建設業における働き方改革 国土通産省

また、グラフ「建設業における休日の状況」をみると、建設工事全体では、約64%が4週4休以下で就業している状況がわかる。

このように建設業では、未だ働き方改革がほとんど進められていない状況にある。これを受け国土交通省が打ち出した「3つの施策」について、詳しくみて見よう。3つとは1.長時間労働の是正に関する取組、2.給与・社会保険に関する取組、3.生産性向上に関する取組、である。

建設業界の働き方改革1. 長時間労働の是正に関する取組

長時間労働の是正に関する取組として、「週休2日制の導入を後押しする」という。公共工事における週休2日工事を大幅に拡大するとともに、週休2日の実施に伴う必要経費を的確に計上するため、労務費などの補正の導入、共通仮設費、現場管理費の補正率の見直しを行う。

また、「各発注者の特性を踏まえた適正な工期設定を推進する」。これについては、長時間労働とならない適正な工期設定を推進するため、各発注工事の実情を踏まえて「適正な工期設定等のためのガイドライン」を改訂する方針だ。

建設業界の働き方改革2. 給与・社会保険に関する取組

給与・社会保険に関する取組については、「技能や経験にふさわしい処遇(給与)を実現する」方針だ。 技能者の資格や現場の就業履歴などを業界横断的に登録・蓄積する建設キャリアアップシステムの今秋の稼働と、おおむね5年でのすべての建設技能者(約330万人)の加入を推進する。

また、技能・経験にふさわしい処遇(給与)が実現するよう、建設技能者の能力評価制度を策定する。さらに、能力評価制度の検討結果を踏まえ、高い技能・経験を有する建設技能者に対する公共工事での評価や当該技能者を雇用する専門工事企業の施工能力などの見える化を検討するという。

さらに、「社会保険への加入を建設業を営む上でのミニマム・スタンダードにする」ことについても取り組む。社会保険に未加入の建設企業は、建設業の許可・更新を認めない仕組みを構築する。

建設業界の働き方改革3. 生産性向上に関する取組

これについては、「生産性の向上に取り組む建設企業を後押しする」ことに取り組む。中小の建設企業による積極的なICT活用を促すため、公共工事の積算基準などを改善する。

また、「仕事を効率化する」ことにも取り組む。工事書類の作成負担を軽減するため、公共工事における関係する基準類を改定するとともに、IoTや新技術の導入などにより、施工品質の向上と省力化を図る。

そして、「限られた人材・資機材の効率的な活用を促進する」取り組みについては、現場技術者の将来的な減少を見据え、技術者配置要件の合理化を検討する方針だ。