フリーランスの中でも「副業」「複業」系は多数
同調査では、フリーランスを4タイプに分類している。これによると、フリーランスの41%が副業として収入を得る「副業系すきまワーカー」であり、26%が複数の仕事を持つ複業系パラレルワーカーであることがわかった。また昨年比では、複業系パラレルワーカーが増加傾向だという。
また個人収入に占めるフリー収入の割合をみると、副業系すきまワーカーは個人収入の17%がフリー収入(副業)で得ているという結果になった。この層にとって副業収入は、あくまでも小遣い稼ぎとなっていると思われる。
「自分の能力をいかせる」ことが仕事の満足度をあげる
同調査では、仕事の満足度をあげることについても質問している。これによると、もっとも多い回答は「自分の能力がいかせている」ことであった。裏を返すと、回答者の6割を占める副業・複業ワーカーたちにとっては、本業の職場、組織では出せない自分らしさを出せる場になっているともいえる。
また、フリーランスの仕事の大半は、人脈(知人の紹介含む)からはじまっていることもわかった。本業の仕事のつながりを広げて、副業へ。それがまた本業での深いコミュニケーションにつながるケースもある。
副業には、単なるお小遣い稼ぎ以上の意義があること証明されつつあるのではないだろうか。「普段の業務では関わりのない他社と仕事をして得た報酬や評価から、労働市場における自分の価値を確かめる」という副業ワーカーも増えている。
企業にとって副業・複業のメリットとは
社会的に副業が広まることは、企業にとってのメリットも大きい。高齢化による労働力人口の減少で、人材確保は企業にとっては重要課題となっている。副業・複業のワーカーによる労働力循環がなければ、日本経済は立ち行かなくなる時がくるだろう。
人材の異業種間コミュニケーションがうまれることは、ビジネスの活性化にもつながるし、そもそもイノベーションを起こすためには全く違う背景をもつもの同士の掛け合わせが必要だ。
それでも、不安を抱える企業が多い。「副業を許可したら、自社の機密情報が漏れるのではないか」「自社にフルコミットしてもらわないと、業績が下がるのでは」など悩みは尽きない模様。
しかし、退社した人間が転職先で全く機密情報を漏らしていないと言い切れるのだろうか? ルールをしっかりと決めて、優秀な人材を自社で雇いながら副業を許可したほうが、きっちりと機密情報を守られるばかりではなく、人材育成や外部人脈構築など有益な結果につながるのではないか。
企業は、人を縛り付けるのではなく自由にさせて、労働者との信頼関係をどう築いていくのかについて真摯に向き合うべきだろう。副業・複業に柔軟に対応していくことをきっかけに、雇用や働き方の在り方を刷新して行ければ、採用力強化にもつながるだろう。
人生100年時代、生きがいをどこに求めるか
好きなことを仕事にし、成功できる人は一握りである。ほんの少し前の時代であれば、仕事は仕事、好きなことは趣味で、というのが当たり前だった。
しかしいま「副業」という新しい働き方がスタンダードになりつつある。趣味だけでは得られないやりがいや、評価、そして収入が副業にはある。また、"働きながらでも続けられるほど好きなこと"を見つけられることは、いうまでもなく人生の財産になる。
また、メンタル面での健康が生産性を高めるともいわれており、副業での充実が、本業にも好循環を生む可能性もあるだろう。多様な働き方、生き方を選べる時代。あなたはどんな生き方を選びますか。