「漫画村」サイトブロッキングが危険なワケ

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2018年4月無料の海賊版サイト「漫画村」のブロッキング問題がにわかに浮上した。海賊版サイトを遮断するための要請を政府がISP(インターネット接続業者)らに対して行うと新聞などが報じたためだ。サイトブロッキングの危険性や違法性、プロキシ、VPNなど回避方法がある現状、さらには出版社の在り方まで、本稿で状況を整理し考察してみたい。
「漫画村」サイトブロッキングが危険なワケ

※本件は現在でも議論が進行しており、状況は流動的だ。あくまで原稿執筆時(4月10日)、筆者が調査できた範囲での情報をベースにしている。

無料の「漫画村」とはどんなサイトなのか

漫画、雑誌記事、書籍の内容を違法にコピーして無料で読めるようにしているサイトが世界中にある。いわゆる海賊版だ。多くは草の根的に運営され摘発が難しい半面、サイトあたりの被害は小さい傾向がある。しかし中には月間UU数が数百万、数千万というサイトが存在し、海賊版による被害総額は2888億円(2014年:コンテンツ海外流通促進機構調べ)という調査もある。

いま話題となっている「漫画村」というサイト、UUは9千万とも1億以上ともいわれており、6万以上の漫画コンテンツが無料で読める。マンガ週刊誌の最新号の連載も閲覧可能だが、サイト側は「サーバーはベトナムにあり違法ではない」としている。(ベトナムが著作権に関するベルヌ条約に加盟していないことが根拠である。)

漫画村は、コンテンツの配信にCloudflareというCDNを利用している。さらに防弾ホスティングサーバーを利用しているともいわれている。Cloudflareは日本でも利用している企業が多いCDN事業者だが、キャッシュサーバーは国内にも持っているはずだ。

Cloudflareは、正規ビジネスを行う事業者だが、過去には同社が配信サーバーを提供していた科学論文の海賊版サイトが停止されたこともある。これは海賊版サイトが、裁判所の命令を無視し続けたための措置であり、防弾ホスティングは、そのような命令は無視すると宣言しているホスティング事業者のサーバーだ。ある分析によると、漫画村では違法コピーした漫画コンテンツのアップロード先に使われているという。

漫画村はCDNや防弾ホスティングサーバーなどを巧みに使っている。本当の運営主体やサーバーの所在地などは不明で、ベトナムの会社というのもおそらく本当ではない。なお、サイト運営者は日本人だと目されている。

違法/グレーな海賊版サイトはマルウェアの温床にもなる

漫画村の利用者の多くは中高生など未成年者であり、利用者側のモラルやリテラシーも問われている。漫画村はコンテンツを無料で閲覧させているが、主な収入は広告だ。手軽なアドネットワーク系の広告やアフィリエイト広告が多い。

漫画村側が広告の選別や管理を行っている形跡はなく、表示される広告は、ウイルス感染や攻撃サイトに誘導するもの、仮想通貨のマイニングを勝手に行うものなども含まれる。実際に、マルウェア、アドウェアによる被害が多数報告されている。あやしい広告ネットワークを放置している点も、運営側、利用者側ともに違法またはグレーである認識のもとに成立しているサイトといっていいだろう。

なお、現在漫画村のサイトはメンテナンス中と思わせる画面が表示されるだけになっている。一連の騒動から運営側が自主的にサイトをクローズさせたものと思われる。mangamura.orgというドメインはおそらくこのまま放置され、使えなくなる(ドメインの更新がされず解放される)だろうが、同様なサービスを準備している可能性が高い。