「不妊治療と仕事の両立」8割以上が難しいと回答、企業が今するべきこととは

少子化による働き手不足が深刻化する中、企業は育児を支援するための制度改正に着手しはじめている。しかし子育て以前の問題として、仕事をしながら出産を考えること自体が困難になっているという指摘もある。厚労省が発表した「不妊治療と仕事の両立」に関する調査結果から、その実態をみていこう。

「不妊治療と仕事の両立」8割以上が難しいと回答、企業が今するべきこととは

少子高齢化による労働力不足。企業の人材戦略においても、女性労働力は欠かせないものである。しかし以前の記事でも紹介したとおり、産休・育休の利用を促進する企業も増えてはいるものの、出産することで働けなくなる、と考えている女性は今も多い。

また厚労省によると、35歳以上のいわゆる高齢出産の割合は、ここ10年で倍増している。それに伴い、高齢による不妊のリスクも高まっているといわれている。

出産はあくまでも女性がどう生きるか、その選択肢のひとつであり、すべての女性が出産すべきだという考えは過去の遺物である。問題は、あくまでも出産したいと希望する女性にとって、今の企業や社会がどれだけ対応できているかということである。

そこで、不妊治療と仕事の両立に関する実態や問題点、企業における両立支援の状況などを把握するために行われた「不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査研究事業」(厚生労働省・3月16日発表)に注目したい。

不妊治療に関する企業側、労働者側両社の本音から、企業と労働者が今後どのようにコミュニケーションをとるべきか、考えていきたい。

企業側の「不妊治療」への問題意識はどの程度か

同調査は、企業アンケート、企業ヒアリング、労働者アンケートの3つをもとにまとめたもの。「女性の活躍推進企業データベース」においてデータ公表を行っている企業の中から779 社、一般の男女労働者2,060 人が回答している。

まずは企業側の回答をみていこう。

企業の7割近くが不妊治療をしている従業員を把握できていない

不妊治療を行っている従業員の把握状況を質問したところ、67%の企業が「わからない」と回答している。一方で「いる」「過去にいた」と回答した企業はあわせて15%。非常に個人的な問題であるが故に、企業側としても把握するのは難しいことがわかった。

「不妊治療」に関する制度や対策状況

不妊治療対策の制度があるか、という設問に対しては8割以上が不妊治療に特化した制度を設けていないという。また、不妊治療と仕事の両立のために、普及啓もう活動を実施している企業はわずか18%であった。そもそも問題として把握していない企業側が、対策をとらないのはある意味当然のことである。

しかしどちらが先かという問題で、制度がないから「言えない」という側面も、否定はできない。また、マネジメントする側と従業員とのコミュニケーションの問題も、そこにはあるだろう。不妊という非常にプライベートな問題について、信頼関係のない上司に果たして相談できるだろうか。

出典:同調査より「不妊治療のための制度導入数」

出典:同調査より「不妊治療と両立に関する普及啓もうの実施状況」