吉野家HD決算は売上高前期比105.2%の1,985億円、「AIでシフト管理」で注目【2018年最新版】

吉野家、はなまる、京樽などを展開する吉野家HDは4月11日、2018年2月期の決算を発表した。また同時に、AIを使ったシフト管理や自動食器洗浄などのテクノロジー戦略を明らかにした。

吉野家HD決算は売上高前期比105.2%の1,985億円、「AIでシフト管理」で注目【2018年最新版】

吉野家HDが2018年2月通期決算を発表

吉野家、はなまる、アークミール、京樽などを展開する吉野家ホールディングスは4月11日、2018年2月通期決算を発表した。売上高は前年比105.2%となる1,985億円、営業利益は前期比倍増の40億円だった。当期純利益も2億円増の14億円で、増収増益という好調な結果だ。21億円増を記録した営業利益は計画値は未達ながらも、約16億円の特別損益をカバーしつつ当期純利益増を確保した。

好調の要因には、吉野家、はなまる既存店の好調さが挙げられる。前年比で吉野家が+1.4%、はなまるが+2.9%と堅調に推移し、微減だったアークミール、京樽をカバーした格好だ。

もうひとつの要因として、47店舗の純増となったはなまる、88店舗の純増となった海外を含んだ、積極的な事業拡大も見逃せない。吉野家HDでは、この積極策を今後1年間で加速する予定であり、45店舗増で524店舗となるはなまる、139店舗増で960店舗を目指す海外を中心に、200店舗以上の新規出店が計画されている。

特に出店が加速される海外事業では、アセアン地区の収益向上に向けたシンガポールの直営化、ハラル認証を取得したマレーシアなどのほか、オーダーメイド方式のジャパニーズキッチンへの改装が進められるアメリカなど、国や地域にマッチしたサービスやメニュー開発を行い、新規開拓していく予定だ。

吉野家HD「AIでシフト管理」を発表、3つのテクノロジー戦略とは

積極的な事業拡大を計画する吉野家HDでは、持続した成長を遂げるための長期ビジョンに「ひと」「健康」「テクノロジー」という、3つのキーワードを掲げている。

効率的なオペレーションが必須となるビジネスモデルのため、同社では特にテクノロジー開発に力を入れているといえるだろう。

音声認識レジシステム

スタッフが装着する骨伝導イヤホンでオーダー内容を確認・復唱し、注文伝票の発行からキッチンディスプレイへの表示、バーコードによる会計までを行うシステムが「音声認識レジシステム」だ。クーポンやT-Pointなどにも対応している。

自動食器洗浄ライン

吉野家HDが、現在開発しているのが「自動食器洗浄ライン」だ。食器を洗浄して格納するまでは完了しており、今期は、食事後の食器をラインにセッティングするという課題を解決する。今期中に開発を完了し、来期には実店舗に導入する予定だ。

勤務スケジュール作成支援ソフト

ベテラン店長が経験値でさばいていた従業員のシフト管理を、AIを活用して置き換え、新人店長のシフト作成を支援するのが「勤務スケジュール作成支援ソフト」だ。

すでに実際のシフト調整を検証している段階だが、店舗拡大に人材育成が追いつかない可能性がある外食産業では、オペレーションの効率化に大きな意義がある。

まずは吉野家の導入から開始し、はなまるにも展開していく予定だが、吉野家HDではほかの外食産業にもニーズがあると見ており、外販も検討している。

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テクノロジーとの融合に積極的な吉野家HD

AIシフト管理でもわかるように、吉野家HDは、テクノロジーを巧みに取り入れてきた外食リーディングカンパニーでもある。

そのため、自社開発に限らず、活用できるテクノロジーはどん欲に採用してきた歴史を持つ。
そのいくつかの例を紹介しよう。

クラウド人事管理サービス「カオナビ」で人事システムを統合

吉野家HDでは、ホールディングス化をきっかけにグループ内の人材交流が活発化、各社で異なる人事情報を統合する必要性が高まっていたという。同時に、社長をはじめとした経営層が、現場社員の顔と名前を一致させることで、積極的で円滑なコミュニケーションを望んでいるという現状もあった。これを一気に解決するため、2016年に導入されたのが、クラウド人事管理サービス「カオナビ」だ。

カオナビは、顔写真によるわかりやすいインターフェースを持ち、人材の管理・育成・評価を行うタレントマネジメントシステムだ。一元化された人事情報をもとに、配置替え・組織変更のシミュレーションや人材のグルーピング・リストアップが可能、評価フォームの設計やカスタマイズ、基幹システムとの連携もできる。

これによって、時間と場所を問わず「社員の顔と名前を一致」できるだけでなく、各社の人事システムとカオナビを連携させることで、人事情報の統合というメリットも生み出した。細かな設定で、社員の小さなトピックや行動も登録できるため、埋もれてしまいそうな人材の登用が可能というメリットも大きいという。

このほかにも、店舗でアルバイト中の就活生とのコミュニケーションツールとして活用すれば、新卒社員の獲得率向上も狙える。

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自動食器洗浄ラインには協働ロボット「CORO(コロ)」を採用

すでに解説したが、吉野家HDが開発中の自動食器洗浄ラインでは、協働ロボット「CORO」が採用されている。少し補足しておこう。

洗浄ラインでは「食器を洗浄して格納するまで」は、開発が完了していることを紹介した。COROは、洗浄された食器をカメラで撮影することで識別し、種類別に食器を振り分けていくロボットだ。

1日あたり1,300個もの食器を洗浄する吉野家では、従業員の負担を減らし、生産性の向上とコア業務への集中が可能と見て、COROの採用にいたったという。実店舗への導入が待たれると同時に、テクノロジーを積極的に導入する同社の動きには注目だ。