DXで日本企業が抱える3つの課題とは?IT活用力を高める鍵は「個」の成長 - ガートナー

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ガートナー ジャパンは5月22日、デジタル・トランスフォーメーション(DX)を実現するために必要となる全社員のIT活用力強化に向けた3つの施策を発表した。そして、 これを実現するためには、組織における「個」と「組織」の双方の力を高めることが必要不可欠だと提言している。

では、なぜそうなっているのだろうか。ガートナーでは日本の企業に共通する課題として次の3点を挙げた。

・エンドユーザーが教育されないまま、放置されている。
・慣れ親しんだIT環境を変えたくないエンドユーザーが存在する。
・そもそも、業務ITが使いにくい。

そして、これらの課題に対して3つの施策を提示している。以下で詳しくみていこう。

その1「ワークプレース・テクノロジに関する社員教育を新たなミッションに」

出典:プレスリリース

同社では、IT活用力が上がらない第1の理由として、個々の社員のITリテラシの低さを挙げている。ガートナーの調査では、ワークプレースにおけるソリューションについても、知識とスキルの習得はエンドユーザー個人やユーザー部門に一任されており、その結果、スキル習得に課題を持つエンドユーザーが放置されているという結果が出ているという。

また、ガートナーが2017年12月に日本で実施した調査では、ワークプレースのソリューションについて、企業としての公式な教育機会があるという回答は全体の19.1~23.4%で、大多数は「同じ部門やグループの先輩や同僚が教えている」状況であることが明らかになった。

さらに、ワークプレース・ソリューションのスキル習得に関しては、約5割が個人で「何となく」習得しており、IT担当者に聞きながらの習得は全体の1~3%と、極めて少数派であるという結果になった。

これについて、ガートナー ジャパン リサーチ&アドバイザリ部門 バイス プレジデント兼最上級アナリストの足立祐子氏はこう語っている。

「状況を打破するには、IT部門が教育と社員によるIT活用まで責任を持って支援する体制を構築することが肝要」とコメントしており、つまり、ワークプレース・テクノロジに関する社員教育を新たなミッションに据えることが大切だ」(足立氏)

その2「成功実例を示して全社員の意識を変える」

出典:プレスリリース

また、2番目の課題として、慣れ親しんだIT環境を変えたくない組織や社員の存在が挙げられるという。慣れ親しんだ電子メール、ファイル・サーバしか使わず、生産性が向上する革新的なツールを敬遠する組織や社員も多く存在するとしている。特にシニア層、上級職は慣れ親しんだ環境を変えることを好まない傾向があるようだ。

上の図を見ると、若い人たちが使いにくいと感じている業務ITも、年齢が上になるほど、慣れてしまうと不便だと思わなくなるユーザーの特性を示していることがわかる。

これについて、ガートナー ジャパン リサーチ&アドバイザリ部門バイス プレジデントの志賀嘉津士氏は、IT部門が主導し、成功事例を示していくべきだと指摘する。

その3「シャドーITの背景にある自発性に着目し社員の自主性を引き出す」

最後に、3番目の理由として、企業が提供している業務ITが使いにくいということを挙げている。2005年の個人情報保護法の施行のころより、コンプライアンスとガバナンスが重視され、業務システムについても、その背後のセキュリティに重きが置かれ、使いやすさは軽視されがちになった。

一方、社員は使いやすいプライベート用のテクノロジをビジネスでも使いたがる傾向が強くなっているという。特に若い世代にこの傾向が強く見られ、個人のスマートフォンの普及と相まって、LINE、Dropbox、宅ふぁいる便、Skypeなどが水面下で使われ、ワークプレース領域にシャドーITが多発している企業は少なくないという。

これについて、前出の志賀氏は以下のように述べている。

「シャドーITはIT管理者から見ると基本的には『負』の側面が強い。しかし、実は極めてユーザー目線の選択であり、自主性を伴っており、おのずと生産性も高くなる。ITリーダーは、シャドーITの背景にあるテクノロジ需要を正しく捉え、エンドユーザーのIT活用意欲を引き出すための施策を実行することが大事だ」(志賀氏)

同社の分析によると、現状では企業の目線は「組織」のみにあるようだ。これに「個」を加え、施策の両輪で進めることが重要だと結論している。