経営者が持つべき4つの危機感とは?厚労・経産・文科の3省が「ものづくり白書」を公表

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5月29日、経済産業省・厚生労働省・文部科学省の3省で執筆された「平成29年度ものづくり基盤技術の振興施策」(「ものづくり白書」)が閣議決定され、国会に報告された。今回の白書では大規模な環境変化に伴い、経営者が持つべき4つの危機感を挙げ、課題と対応策を提言している。
経営者が持つべき4つの危機感とは?厚労・経産・文科の3省が「ものづくり白書」を公表

労働生産性の向上に向けた人材育成の取組と課題を分析

「ものづくり白書」は、「ものづくり基盤技術振興基本法」第8条に基づき国会に毎年報告する年次報告書だ。政府がものづくり基盤技術の振興に関して講じた施策を取りまとめている。この白書は、経済産業省、厚生労働省、文部科学省が連携して作成しており、平成13(2001)年の白書から、今回で18回目となる。

今回のポイントは、大規模な環境変化に伴い、経営者が持つべき4つの危機感を挙げ、その課題と対応策を提案していること。以下で詳しくみていこう。

人材の確保と付加価値の獲得が課題

まず、この白書では下記の4つを、「大規模な環境変化に伴う経営者が共通認識として持つべき危機感」として挙げている。

・人材の量的不足に加え質的な抜本変化に対応できていないおそれ
(例:人材スキル変化、デジタル人材不足、システム思考)

・従来「強み」と考えてきたものが、変革の足かせになるおそれ
(例:すり合わせ重視、取引先の意向偏重、品質への過信)

・ 経済社会のデジタル化などの大変革期を経営者が認識できていないおそれ
(例:ITブーム再来との誤解、足元での好調な受注)

・非連続的な変革が必要であることを認識できていないおそれ
(例:自前主義の限界、ボトムアップ経営依存)

また、これらの危機感を共有したうえで、取り組みが必要な主要課題として、現場力の維持・強化、デジタル人材などの人材育成・確保の必要性と、新たな環境変化に対応した付加価値獲得の必要性の2つを挙げている。

出典:「2018年版ものづくり白書「概要」」 経済産業省、厚生労働省、文部科学省

課題への対応は「現場力」と「Connected Industriesの推進」

課題の対応策として必要なのは、「現場力の維持・強化」と「Connected Industriesの推進」だという。Connected Industriesの推進とは、データを介して機械、技術、人などさまざまなものがつながることによる変革だ。

出典:「2018年版ものづくり白書「概要」」 経済産業省、厚生労働省、文部科学省

Connected Industriesとは、前述のようなさまざまものがつながることで、新たな付加価値を創出し、国民生活の向上を目指すという概念のことである。この白書ではConnected Industriesの先進事例をいくつか紹介している。

愛知県の自動車部品製造業である旭鉄工は、下請け製造への閉塞感からトップダウンで大きくビジネスモデルを転換している。センサーモニタリングシステムを安価なセンサーや既存のクラウドシステムなどを組み合わせて自社開発し、それを展開するソリューション会社を社長主導で設立したという。

このシステムは、生産設備につなぐことによって、部品製造プロセスの問題点を見える化を実現している。現在、国内のみならず、アジアでの展開を検討中だという。

現在、深刻な人手不足や新しいテクノロジーの出現など「ものづくり」は大変革期にあると言えるだろう。今回、白書が挙げた危機感を認識したうえで、新しいテクノロジーに対応できる組織づくりや人材育成で課題を解決することが大切だ。