東京オリンピック、ボランティア募集要項炎上の2つの理由 | 本当に「やりがい搾取」か?

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3月28日に発表された東京オリンピックの募集要項案が、6月11日に正式発表された。大会運営に直接携わる「大会ボランティア」として80,000人を募集する予定だが、その活動内容が「やりがい搾取だ」と炎上した。その2つの理由と課題点について解説していく。
東京オリンピック、ボランティア募集要項炎上の2つの理由 | 本当に「やりがい搾取」か?

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は11日に、大会ボランティアの募集要項を正式に決定し、発表した。

3月に発表された募集要項案から変更されたのは以下の2点だ。

  • 1日の活動時間に「休憩・待機時間を含み」という文言の追加
  • 「交通費支給なし」から「滞在先から会場までの交通費相当として一定程度」支給へ

このオリンピック募集要項について「やりがい搾取だ」「ブラックボランティア」などの声が上がり炎上した。理由は以下の2つ。

  • 参加者の負担が大きい
  • 専門的なスキルが求められる活動内容

参加者の負担が大きい

まずは変更点を踏まえて現在の募集要項を見てみよう。

要項 詳細
活動日数目安 10日以上(連続での活動は5日以内)
1日の稼働時間 8時間(休憩含む)
応募期間 18年9月中旬〜12月上旬
その他 02年4月1日以前生まれ、かつ活動期間中において日本国籍または日本に滞在する在留資格を有する

一見すると炎上に至るほどではないように思えるが、交通費や宿泊費、事前の研修について注目すべき点がある。

事前にオリエンテーションと研修のそれぞれに1回ずつ参加が義務付けられている。その際の交通手段、宿泊については自己手配・自己負担だ。

また、活動期間中の滞在先の手配やそこまでの交通費も自己負担ということが記載されている。

公式Q&Aにはこんな記載も

Q:離島に住んでいますが、海外在住者と同様にテレビ電話でオリエンテーションや研修を受けられますか。
A:国内在住の方は、応募登録時に選択した会場でオリエンテーション・研修を受けていただきます。

このように、離島などに住んでいる方も研修やオリエンテーションの会場に実際に行く必要があるため、「負担が大きいのではないか」と炎上したようだ。

負担が大きく拘束時間も長いため「やりがい搾取」と言われてしまったのである。

専門的なスキルが求められる活動内容

炎上した2つ目のポイントとして「専門的なスキルが必要な活動内容なのではないか」ということが挙げられる。

  • 会場内等で観客およびオリンピック・パラリンピック関係者の案内、チケットチェック、セキュリティチェックサポート等を行います。
  • オリンピック・パラリンピック関係者が円滑に日本に入国・宿泊できるよう、空港やホテルでの案内を行います。
  • 海外要人等が快適に日本で生活できるよう接遇を行います。
  • 空港や会場等において、海外要人の接遇を行います。
  • 選手団が選手村に入る前から準備を行い、選手が快適な競技生活を送ることができるよう、外国語でのコミュニケーションサポート等を行います。
  • 競技を終えた選手がメディアからインタビューを受ける際に、外国語でのコミュニケーションサポート等を行います。

公式が発表する「積極的に応募していただきたい方」には「英語、その他言語および手話のスキルを活かしたい方」との記載はあるが、Q&Aを参照すると、

語学力が必要ない活動内容も多くあるため、語学に自信がない方でも、ボランティアとして活躍したいという熱意を持っている方には、積極的に応募いただきたいと考えています。(中略)外国語での挨拶や日常会話などができると、より楽しんで活動いただけるのではないかと考えています。

以上のように記載されているため語学力は必須でないものの、求められるスキルは高いのではないだろうか。

研修への参加が必須だとしても1回2〜4時間程度のため、本当に対応できるのか不安視する声がある。

日本財団ボランティアサポートセンター、応募促進のための動画を公開

この反響を受けて?かどうかはわからないが、東京オリンピック組織委員会と日本財団が設立した「日本財団ボランティアサポートセンター」は、応募促進ムービー「#2年後の夏」を12日に公開した。

高校生から社会人、車いすユーザーなど、ジェンダー、職業、カルチャーなど関係なくさまざまなボランティアが出演している。

「頼まれて行うもの」「受け身」といったボランティアの受動的なイメージを覆し、ボランティアはかっこいい、TOKYO 2020はボランティアが作るんだという意識を持ってもらいたい、と発表している。