行動ファイナンスとは | 理論・具体例・おすすめ本3選!恋愛に応用可能

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2017年のノーベル経済学賞を、行動経済学(行動ファイナンス)の発展に寄与したとして、米国リチャード・セイラー博士が受賞しました。行動ファイナンス(理論)は人間の行動を読み解く重要な経済用語です。ビジネスや投資運用に行動ファイナンス理論その意味や具体例を解説し、おすすめの書籍を解説します。
行動ファイナンスとは | 理論・具体例・おすすめ本3選!恋愛に応用可能

2017年、「行動経済学(行動ファイナンス)」の発展に寄与したとして、米国リチャード・セイラー博士がノーベル経済学賞を受賞しました。これを受けて、行動経済学・行動ファイナンスという言葉が再び注目されています。

行動ファイナンス理論とは何か?

伝統的かつスタンダードな経済学では、「人間は合理的な行動・選択をする」という考え方が前提です。一方、行動ファイナンスでは、人間の心理状態や感情を考慮し「人間の非合理性」に着目した投資理論といえます。

たびたび注目される、行動ファイナンス

行動ファイナンスに関する研究や理論は、ノーベル賞の舞台にもたびたび登場しています。とりわけ、2002年にノーベル経済学賞を受賞したプリンストン大学のダニエル・カーネマン博士らが展開した「プロスペクト理論」が知られています。

投資やビジネスの分野では、理論上は正しいはずなのに、どうしてもそのとおりの結果が得られないという事態に陥ることがあります。

たとえば、投資やビジネスにおいては、人間はさまざまな心理に左右されます。そのため、常に合理的な行動・選択をするとは限りません。また、理屈では正しくない感情的な行動でも、その数が多ければ市場や価格に大きな影響を与えます。

この矛盾を解決するヒントが「行動ファイナンス」にあります。

行動ファイナンスのポイント5つ・具体例

行動ファイナンスには主に5つのポイントがあります。具体例とともに見ていきましょう。

(1)ギャンブラーの誤謬(ごびゅう)

少し難しい単語ですが「誤謬(ごびゅう)」とは、考えや知識などのあやまりのことです。

ギャンブラーはときに「今まで価格が下がり続けているから、今度はあがるはずだ」といった非合理的な判断を下しがちです。

たとえばコイントスであれば、10回連続裏が出現したとしても、11回目に表がでる確率は「2分の1」です。

しかし、ギャンブラーの誤謬に陥ると、これまでの傾向が次の結果に影響すると思い込んでしまうのです。こういった非合理的な行動が市場に影響を与えると考えられています。

(2)気質効果(プライド効果)

気質効果とは「後悔をおそれ、プライドを保とうとする」心理作用のことです。投資では「利益」が「損失」を上回れば、とりあえずは成功といえるわけです。そのためには「損小利大」を心がける必要があります。

しかし実際には、購入した株式の値が下がっても保有し続け、少しでも購入時の価格を上回ると売却してしまうことがあります。これは、「損失を出したくない=後悔したくない、プライドを保ちたい」という心理が働くからです。

気質効果が働くと、値上がり時にはすぐに売却し、値下がり時の損切りが遅れるという「損大利小」に陥りがちなのです。

(3)現状維持バイアス

現状維持バイアスは「変化や未知を避けて、今までどおりの状態を維持したくなる」という心理作用を表します。今までの状態を変えて何かを失うことに対する不安が大きいあまり、変化や未知を避けてしまうのです。

この現状維持バイアスは、投資以外のさまざまな場面で人間の行動を左右します。たとえば、今まで使っていたサービス(携帯電話やインターネット回線)よりも、新しいサービスのほうが明らかに優れているとしましょう。

それでも人間は「長く使っていたから」「実績があるから」と自分を納得させ、新しいサービスを拒否することがあります。

このベースにあるのが、現状維持バイアスだといわれています。

(4)合同バイアス

合同バイアスは「2つの選択肢のうち、片方の情報は積極的に集めるが、もう片方については無視する」心理作用です。

これは現状維持バイアスとつながりがあります。「自分はこれで良いのだ」と思い込むことで重要な情報を無視してしまうのです。

自分が持っているモノ(株式や使っているサービス)のネガティブ情報を無視し、新しく有益な情報に目を向けないという行動につながります。

(5)鏡映効果

鏡映効果は「損失が出ているときにはリスクを好み、利益が出ているときにはリスクを嫌う」心理作用です。

たとえばある株式を購入したとき、利益が出続ける(値上がりしつづける)状態ならば、より長く保有すべきです。また、逆ならば一刻も早く売却すべきでしょう。

しかし人間は利益による満足感よりも損失による悲しみのほうが大きいため、逆の行動をとってしまいがちです。

つまり、利益が出たらすぐに売り、損失が出ても保有し続けてしまうわけですね。

これが鏡映効果で、気質効果と同様「損大利小」に陥りやすい心理作用といえます。また、「得をする可能性が高いものに投資しない」という非合理性も、鏡映効果の結果といわれています。

行動ファイナンスを活用できるビジネスシーン

ではこういった「人間の非合理性」を理解することで、役立つ場面を考えてみましょう。

(1)株式、不動産、FXなどの投資

行動ファイナンスはもともと投資理論の一部ですから、やはり投資には役立ちます。

特に市場のトレンドにのまれ、売却のタイミングを逃しがちなときには、行動ファイナンスを思い出すと良いでしょう。

さまざまな心理作用が、冷静な判断のさまたげになっているのです。

(2)サービスの売り込みや交渉など

ライバル企業よりも明らかに自社のサービスが優れていても、なかなか契約を検討してくれない……。と悩むビジネスマンは多いはずです。

これは、上で紹介したような「現状維持バイアス」や「合同バイアス」が働いていると考えられるでしょう。

これらは、相手に近しい人間からのアドバイスや客観的な視点によって解除されることが多いです。

直接営業をかけずにあえてツテを使った迂回(口コミや紹介)を試したり、図や表で視覚的に差を説明したりといった方法が有効かもしれません。

(3)ときには恋愛にも役立つ

行動ファイナンスは、ときに恋愛にも役立つといわれています。人間は恋愛を始めると、感情の動きが大きくなり、さまざまな心理作用の虜になるものです。

恋愛に悩んだときは、行動ファイナンスを思い出して冷静になってみてはいかがでしょうか。

行動ファイナンス理論おすすめ書籍3選

行動ファイナンスは本来、専門的かつ難しい理論です。そこで、より深く体系的に学ぶための書籍を紹介します。

1. 図解でわかる行動ファイナンス入門 岡田 克彦 著

岡田 克彦
秀和システム
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行動ファイナンスを手っ取り早く理解したいならば、こちらがおすすめです。
図解入りの書籍で、経済学の素養がなくても行動ファイナンスを理解しやすいでしょう。

2. 行動経済学~経済は「感情」で動いている~

行動経済学 経済は「感情」で動いている (光文社新書)
友野 典男
光文社
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行動ファイナンスを含めた行動経済学全体の要素を、さまざまな事例で解説してくれる入門書です。

3. 図解でわかる ランダムウォーク&行動ファイナンス理論のすべて

田渕 直也
日本実業出版社
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初心者にはやや読みにくいかもしれませんが、行動ファイナンスの基礎がしっかりと学べる基本書です。最初から内容をすべて理解しようとせず、まずは手元において少しずつ読み進めるのが良いでしょう。

行動ファイナンスはビジネスだけでなく、就職・転職・恋愛にも応用可能

行動ファイナンスは投資理論として、プロスペクト理論や行動経済学とともに紹介されています。しかし、投資以外のシーンでも役立つことは、本稿でも述べたとおりです。

ビジネスや恋愛における「なぜ?」を解決するヒントが詰め込まれているため、仕事・恋愛・転職などに役立ててみてください。