企業の平均寿命は23.5年、「みんな転職する」時代が到来

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だれでも一生に一度は転職を経験するといわれる時代になった昨今、汎用性の高いポータブルスキルを磨くことが求められていることをご存じでしょうか?本記事では、企業の短命化とともに、特に転職市場で重要性を増しているポータブルスキルについて解説していきます。
企業の平均寿命は23.5年、「みんな転職する」時代が到来

東京商工リサーチによると、2017年に倒産した企業の平均寿命は23.5年となっており、業歴が判明している約7,000社のうちで、30年以上の歴史がある企業の約2,200社以上が倒産しているそうです。3年ぶりに倒産企業数の平均が低下し、とりわけ東北や四国では老舗企業の倒産が目立っています。

こういった厳しい環境のなかで、時代への即応が求められるのは企業ばかりではありません。そこで働く従業員も、自分の将来のキャリアについて真剣に考え、いざという際の備えをしておく必要があるでしょう。

「大学を卒業して企業に入社すれば一生安泰」という時代はすでに過去のもの。転職が悪いという日本にありがちだったイメージはもはや時代遅れで、だれもが転職について考えなければならない時代にあるということです。

今回は、誰しもが転職する時代に役立つ「ポータブルスキル」について解説します。

転職をみすえたスキル構築が必要な時代

転職についてネガティブなイメージをもっている人は、転職それ自体がリスクであると考える傾向にあります。しかし上述のリサーチをはじめ、さまざまな企業の状況をみる限り、すでにほとんどの人が人生で一度は転職をする時代となっていることがわかります。

転職という選択肢を常に頭に入れつつ、いつでも転職活動を始められてかつ有利に進めるためには、転職をみすえたスキルの構築が必要です。そういった状況のなか、最近では転職に必須のスキルとして「ポータブルスキル」が注目されています。

業界・業種や職種の垣根を越えて重要な汎用性の高いスキルとされ、転職採用の際にもっとも重要な判断材料とされるのが、このポータブルスキルであるともいわれているのです。

ポータブルスキルとは

ポータブルスキルとは、その人の経験や有している資格といった表面的な情報だけでは測れない能力を評価するための基準であり、特定の業種・職種に囚われない能力のこと。本人の真面目さや几帳面さ、人当たりのよさといった性格や人柄についてまで含まれます。

ポータブルとは持ち運びできる、という意味。業種や職種に関わりなく活用できる汎用性の高いスキルをさしており、ビジネスパーソンとしての素養や基礎力をさすともいえるでしょう。

社会人経験を積んだ人材に対する評価項目として重きを置かれるようになってきています。

テクニカルスキルとの違い

よくポータブルスキルと比較される能力にテクニカルスキルがあります。

これは「技術的な能力」のことで、特定の業界・業種で身に着ける必要のある知識や技能をいい、たとえばWebサイトなどのデザインやコーディングのスキル、プログラミング、マーケティングに関するスキルなどが当てはまります。

つまり専門職としてすぐに現場に立てるスキルであり、転職においてはポータブルスキルとの違いをよく理解しておかなければいけません。ポータブルスキルは万能的なスキルであり、テクニカルスキルはあくまでも専門分野に関する知識や技能です。

ポータブルスキルが必要な理由

特に35歳以上のある程度社会人経験を積んだ人材の転職では、テクニカルスキルよりもポータブルスキルの方が重視される傾向にあります。

なぜならば、その業界でだれでも一定期間仕事をすれば身につけられるスキルではなく、どんな分野でも等しく価値を提供できるスキルの方が能力を発揮できる仕事に制限がないため、企業が積極的に求めるようになっているからです。テクノロジーの進化により多くのデジタル変革が進められている時代背景もあります。

特に別業界への転職の際にはポータブルスキルが重要であるといわれており、成長の意欲がある人材の評価が高いことは覚えておく必要があります。

ポータブルスキルの3つの種類

ポータブルスキルはその人の性格や強み、資質に関するものですから、具体的にどういう能力かを詳細に定義するのは難しいといえます。しかし一般的には、その能力の種類に応じて以下の3つに分類が可能です。

対人力

対人力は、他者とスムーズにコミュニケーションをとる能力のことです。組織のなかで周囲と協調して働けるかどうかがわかり、「主張力」「否定力」「説得力」「統率力」「傾聴力」「受容力」「支援力」「協調力」の8つのスキルに細分化されます。

  • 主張力:周囲に自分の考えを発信できる力
  • 否定力:相手(の主張)に対して指摘や否定をする力
  • 説得力:相手に自分の考えを理解してもらう力
  • 統率力:集団をまとめあげる力
  • 傾聴力:相手の意見に耳を傾ける力
  • 受容力:相手に共感し、受け入れる力
  • 支援力:相手に気を配り、サポートできる力
  • 協調力:周囲と調和し、物事を進める力

上から順番に「主張力」から「統率力」までは、自らの主張を説得によって広めていくタイプであり、「傾聴力」から「協調力」までは、相手の意見に柔軟に合わせるタイプといえます。

対課題力

対課題力とは、主に仕事上の課題や問題を解決する能力のことです。どんな分野でも仕事をするうえで課題の解決は必要となりますから、仕事を素早く処理し、高いクオリティを維持するスキルは非常に重要です。具体的には、以下の8つのスキルに細分化されます。

  • 試行力:自ら試行錯誤をして物事を進めていく力
  • 変革力:新しいものを取り入れ、状況を変えていく力
  • 機動力:機転をきかせて臨機応変に判断し、行動できる力
  • 発想力:既成概念や固定観念に囚われずに物事を考える力
  • 計画力:情報を整理し、段取りよく物事を進める力
  • 推進力:目的意識をもってゴールへと進む力
  • 確動力:計画を着実に実行できる力
  • 分析力:本質を捉えるために物事を深く掘り下げる力

上から順に「試行力」から「発想力」がまでが、いわゆる「クリエイティブ」なタイプであり、「計画力」から「分析力」までは、物事を筋道立てて考える論理的なタイプといえます。

対自分力

対自分力とは、自分の行動や考え方をコントロールするスキルのことをいいます。一度決めたらやり抜く力や、重要な物事に集中するスキルなどです。自分自身を律する力といえるでしょう。以下の8つのスキルに細分化できます。

  • 決断力:一度決めたことを貫く力
  • 曖昧力:曖昧な物事をありのまま受け入れる力
  • 瞬発力:重要な物事に集中し、かつ臨機応変に対応する力
  • 冒険力:新しいことを恐れず挑戦する力
  • 忍耐力:苦しい状況や辛さを受け入れる力
  • 規律力:秩序やルールにしたがって物事を進める力
  • 持続力:長い間継続的にひとつの物事に取り組む力
  • 慎重力:注意深く丁寧に物事を進める力

上から順に「決断力」から「冒険力」が、物事を即決し一度決めたことを曲げずに進むタイプであり、「忍耐力」から「慎重力」までは物事を観察し、じっくりと検討したうえで慎重に行動するタイプといえます。対人力・対課題力と同様に、前者と後者では対照的な考え方、価値観で行動します。

ポータブルスキルを磨く5つのポイント

最後に、ポータブルスキルを磨くための5つのポイントを説明します。

1. キャリアプランを明確にする

上述のように、一口にポータブルスキルといってもさまざまなスキルがあり、自分の特性に合ったものとそうではないものがあります。そのため、どういうスキルを重点的に伸ばしていくかを考えるうえでは、まず自分のキャリアプランを明確にしておかなければなりません。

希望する業種・職種でどういうスキルがとりわけ重視されるのか、どういうスキルを身につけることが自分の将来にプラスになるのかをを考慮し、しっかりと情報収集しておく必要があります。

2. プロジェクトの進捗管理役を務める

プロジェクトマネジメント力をつけたい人は、率先してプロジェクトの進捗管理約を務めることをおすすめします。

これは仕事上のプロジェクトに限らず、副業やボランティアといった方法でも磨くことが可能です。特に社外のこれまでとは違う環境でメンバーをまとめ上げる経験は、ポータブルスキルを総合的に高めるよい方法です。

3. 社外の人との関わりを意識する

積極的に社外の人と関わりをもってみることも重要です。自分の業界・業種以外の人々の仕事の進め方や考え方に触れる機会をもち、視野を広げておくことで転職の際に柔軟な考え方ができるようになります。

どういったポータブルスキルが求められているのか情報収集するうえでも役立ちますし、自分の市場価値を図るためにも社外の人との情報交換は大切です。

4. 外部の研修システムを活用する

ポータブルスキルが注目されるなか、最近は国や一般企業がポータブルスキルを向上させるための研修を開くことも増えてきました。

たとえば、厚生労働省は「ポータブルスキル活用研修」を実施し、仕事における課題の解決や、具体的なプランの実行方法、適切なコミュニケーション術に関してなど、さまざまなノウハウの提供をはじめています。

こういった外部の研修システムを積極的に活用して、チームや個人のポータブルスキルを上げることも視野に入れてみましょう。

5. 副業やボランティアにチャレンジする

本業だけではなく、副業やボランティアに積極的にチャレンジしてみることも重要です。

本業で身につけた専門スキルを活かして副業をする場合は、自社以外でも通用するレベルにスキルを向上させられるだけでなく、自分自身の強みについても理解できるようになります。本業とは違う業務領域にチャレンジする場合は、ポータブルスキルの幅を広げるのに有効です。

今後のキャリアプランから必要なポータブルスキルを逆算する

だれでも一生に一度は転職を経験する時代になってきたことから、専門的なテクニカルスキル以上に汎用性のあるポータブルスキルが求められるようになってきました。

特に30代以上の転職では、それまでの仕事の経験以上に「対人力」「対課題力」、そして「対自分力」が重視されるようになります。まずは自らのキャリアプランを明確にし、どういうポータブルスキルを向上させるべきかを考えてみてはいかがでしょうか。将来の転職や独立の際に必ず役立つはずです。