MBO(目標管理制度)とは|人事評価手法・目的・メリット・導入手順・注意点を解説

「MBO(目標管理制度)」は、ピーター・F・ドラッカーが提唱した人事用語です。経営陣やマネジメント層が知っておくべき人事評価手法、MBOとは何か?また、MBOの導入目的やメリット・デメリット、MBOを正しく導入する手順や注意点などのポイントを解説します。

MBO(目標管理制度)とは|人事評価手法・目的・メリット・導入手順・注意点を解説

人事評価手法「MBO(目標管理制度)」とは

人事評価や業績評価は、企業の経営陣やマネジメント層にとって欠かせません。日本企業の場合、その多くがMBOを利用しているケースが多いようです。

日ごろ人事に関わらない方には、なじみの薄い言葉かもしれません。MBOは、マネジメントの父ともいわれる、経営学者「ピーター・F・ドラッカー」の提唱した考え方です。

MBO(Management by Objectives and Self control)とは「目標管理制度」のことです。簡単にいえば、個人または組織で目標を設定し、達成度にしたがって評価を決める手法です。各従業員の目標を組織の目標とリンクさせて、生産性向上、業績アップを目指します。

近年は、MBOに代わる評価手法として「OKR」も注目されています。OKRについては次の記事で詳細を解説しています。

OKRとは?KPIやMBOとの違いやメリット、設定方法と運用のポイントを解説 | ボクシルマガジン
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MBOと成果主義の違い

日本にMBOが導入されたのは、いわゆるバブル期の終わり(1991~1993年ごろ)とされています。この時期は、景気が大幅に後退したので、企業はそれまでの成長が見込めず、体制を見直さざるを得なくなりました。いわゆる年功序列や終身雇用制度に、陰りがさしたのもこの時期です。

多くの企業は、所属年数に応じた評価から、成果に応じた評価へと変更しはじめました。これが成果主義です。その評価尺度として取り入れられたのがMBOといわれています。

ただし、成果主義 = MBOではありません。本来、MBOは人事評価のツールではなく、上司が部下を評価する指標をもち、部下が自らの行動を管理するための人事評価手法といえます。

MBOには、主に2つの目的があります。

MBOの目的

MBOの主な目的は、(1)自力で目標達成するための指標を設定することと、(2)個人の目標を組織の目標と関連づけることの2つです。

目標達成で注意したい点は、数値を達成するだけではあまり意味がないということです。具体的には次のことが重要です。

  • 組織全体の目標と個人の目標を関連づける
  • 自主的に目標管理するよう催促する
  • 上司は、部下の目標適性を確認する

単なる数値の管理ではなく、上司と部下が目標の管理という意識をもって、個人と組織、双方の目標を管理するのがポイントです。

MBOを導入する2つのメリット

MBOを適切に導入すると、2つのメリットを得られます。

能力開発・向上

自ら目標を立て管理することで、自己統制力の上昇、創意工夫による生産性の向上を図れます。人に頼らず、スキルアップできるので、成長スピードも加速します。

適切な目標を設定すれば、試行錯誤しながら目標達成する習慣も生まれます。これにより、セルフマネジメント能力が高まります。

モチベーションの向上

自主的な目標設定と創意工夫の余地は、従業員のモチベーションアップにつながり、自主性を高めます。

自分で目標を設定することで、強制的に与えられた仕事をこなすのではなく、自らの裁量で組織に貢献するという意識が芽生え、自主性やモチベーションにつながるのです。

MBOを導入する2つのデメリット

一方、MBOにはデメリットがあるともいわれています。

公平な評価が困難

MBOでは、目標は人それぞれ違うため、評価を平等にくだすのが難しいです。部門によっては明確な目標設定は困難なケースもあります。また、評価には管理者の能力が必要で、その点も問題を深刻化する原因になります。

評価者を増やして、なるべく多角的な評価を行う工夫が必要です。主観による偏りを防ぎましょう。

ノルマ管理ツール化の恐れ

冒頭でも述べたように、MBOは成果主義を実践する尺度として、取り入れられてきた側面があります。そのため、ノルマ達成を管理するツールとして位置づけられがちです。つまり、人事考課のためだけに利用されるツールになる可能性があります。

これらのデメリットは、MBOという制度が問題ではなく、間違った運用によって引き起こされることが問題です。組織全体で、MBOの仕組みやメリット・デメリットを理解し、正しく運用できるように制度を見直しましょう。

MBOの導入手順・運用の流れ

これまでの説明を踏まえて、MBOの導入手順と運用の流れについて解説します。基本的に、目標達成までのプロセスは、「PDCAサイクル」で管理します。

設定した目標(Plan)を実行(Do)して、定期的にその達成度合いを確認(Check)します。当初の目標が実行できていたか、成果に結びついたのかを検証し、評価しましょう。そのうえで、明らかになった課題や問題点の改善策を検討、改善(Action)するで、次の目標につなげます。

目標設定

まずはMBOに必要な「目標」の設定から始めます。経営戦略をもとにした組織目標と、それに整合する個人目標を明らかにします。

公正な評価のためには、各々の目標を正しく設定しなければなりません。目標が簡単すぎないか、難しすぎないかのチェックは重要です。

組織全体の目標を共有することで、社員を一体化するという狙いもあります。

計画・実行

設定した目標に向けて行動します。計画どおりに行動できないことも多いので、目標とのズレを認識したら、適宜行動を修正しましょう。

進捗確認

定期的に進捗状況を確認します。管理者は、部下に定期的な面談で直接報告してもらったり、日報を確認したりすることで、設定された目標と現状に大きなズレがないかチェックしましょう。行動の振り返りを促すことも重要です。

評価・評価後のフォロー

毎期ごとに目標の達成について自己評価させ、その後、事前に決めてあった評価基準によって上司が評定します。あくまでも「目標達成度」という客観的な評価が必要で、事前にどういう基準で評価されるのかを明確にしておきましょう。

目標を達成できなかった場合は、その原因を洗い出してもらい、上司は課題の解消をサポートします。

MBO導入の注意点や課題

政府の働き方改革をはじめ、生産性向上の施策を求められる昨今、MBOも正しい運用を求められています。しかし、上述のように、MBOがたんなる成果主義のための「ノルマ管理ツール」として捉えられているケースはけっして少なくありません。

成果にばかり焦点を当ててしまうと、従業員のモチベーションに悪影響を与え、かえって生産性が低下します。

目標の達成度合いを確認し、評価するだけではなく、継続してフォローアップしたり、評価者の研修を実施したりする必要があります。