東大 松尾豊准教授らが日本のAI研究に警鐘、目を向けるべき「5つの事実」

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記事の情報は2018-06-29時点のものです。

ここ数年、AIやディープラーニングといった人工知能のテクノロジーが大きくビジネスを変える事例が生まれている。しかし、世界と比較して日本はAI研究やAI投資に遅れを取っている状況だ。AIを活用してグローバルで勝つためには何をすべきなのか?東京大学 松尾豊氏、クラウドワークス 吉田浩一郎氏、楽天 森正弥氏、ABEJA 岡田陽介氏らが激論を交わした。

4. 数億じゃなく数兆、海外のAI投資額は日本と3ケタ違い

吉田氏は、AI開発競争において「日本はどうやってオンリーワンやナンバーワンになれるのか?」と問いかけた。

岡田氏は「製造業や小売業とパートナーになっている。現実的には『AI予算をどこまでつけられるか』が重要。アマゾンは2.5兆、アリババも数兆円。数億で勝負して勝てるわけない。2、3ケタ違う状況だ」と、そもそもAIへの投資額の違いが競争力低下につながっていることを指摘する。

「さらに、日本はまだエコシステムが回ってない。DL系ベンチャーは大学でて3、4人でやっている状況だ。経営者やベンチャーキャピタルなどに、技術力を見極められる人がまだまだ少ない。日本が成長するには、エコシステムが重要。だから、松尾先生と日本ディープラーニング協会をつくった」(岡田氏)

5. 自動車立国だった日本をAI立国にしたいなら「AIを学べ」

さらに岡田氏は「シーメンスボッシュは昔からある企業。利益の再配分をしてAIに投資できた。日本はどうすればAIに投資できるか?なぜアロケーションできないかが謎だ」と断言した。

松尾氏は「まず、皆さんAIの勉強が足りていない。日本が自動車が普及してきたのはなぜか?自動車立国になるためには、自動車の仕組みをある程度知っておく必要がある。それと同様に、まず『ディープラーニング』のCouseraの授業を受けたほうが良い」と厳しく指摘した。

最後に登壇者たちは、「日本のAI研究やAI活用のためには、経営者のマインドを大きく変えなければならない」と自戒を込めてメッセージを送り、講演を締めくくった。

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