今こそ必要な地震保険。入らない選択肢はない?

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災害による損害を保障してくれる地震保険に注目が集まっています。本記事では、具体的な補償内容や金額、加入する際に考慮すべきポイントなど詳しく解説します。地震のような災害には事前の備えこそ重要ですから、ぜひこの機会に地震保険への加入も検討してみましょう。
今こそ必要な地震保険。入らない選択肢はない?

相次ぐ大地震と地震保険

平成28年の熊本地震、23年の東日本大震災、19年の新潟県中越地震、17年の福岡県西方沖の地震、そして平成7年の阪神淡路大震災…というように、日本全国で定期的に大きな地震が相次いでいます。さらに、今後も同じ規模の地震が東京を中心とした大都市圏で起こる可能性が指摘されています。

そんな状況で、地震による損害を補償してくれる地震保険に加入する人が年々増え続けており、特に阪神淡路大震災や東日本大震災の後は加入者が一気に増加しています。

具体的には、阪神淡路大震災発生前の地震保険の全国平均の世帯加入率は約10%程度だったのに対し、平成28年度末における加入者数は全国平均で30.5%にまで増え、特に東日本大震災で大きな被害を被った宮城県では51.8%と高い水準となっています。

また、火災保険と地震保険がセットされた付帯率も全国平均62.1%(2016年時点)と東日本大震災以降、年々増加傾向にあります。

地震保険とは

地震保険とは、地震や火山の噴火、それに伴う津波を原因とする損害(火災・破壊・埋没・流失)を受けた建物と家財を対象とする保険のことをいいます。火災保険に付帯して提供されるのが一般的で、本来は火災保険の対象外である地震による火災や倒壊といった損害を補償するために提供されます。

今回の大阪における地震でも4件の火災が報告されていますが、地震によって引き起こされた火災や家屋の倒壊などは通常の火災保険ではカバーされません。そのため地震による具体的な損害に備えるためには、地震保険が付帯された火災保険への加入が必要となります。

ましてや、今後は南海トラフ巨大地震が発生する可能性が指摘されており、その確率は30年以内に、70%程度と非常に高くなっています。

気象庁によると、今回の地震に関しては南海トラフ巨大地震との関係は今のところ考えられないとしています。しかし、過去の地震の発生状況などを振り返ると、特に該当する地域に住んでいる人は、地震保険をはじめとした対策を真剣に考える必要があるでしょう。

地震保険の特徴

地震保険で補償の対象となるのは、居住用の建物と生活用の家財です。それぞれ建物と家財に分けて加入する必要があり、補償金額は以下のようになっています。

  • 居住用建物:火災保険の30〜50%で、5,000万円が上限。

  • 生活用家財:火災保険の30〜50%で、1,000万円が上限。

上述のように、地震保険は単体での加入はできず、必ず火災保険とセットで入る必要があります。また、補償金額は購入時のものではなく、あくまでも損害時点での時価を基準に支払われる点に注意しましょう。

また、たとえ建物や家財が全壊や全焼してしまっても、最大で半分しか補償されない点も知っておく必要があります。全く同じ家財を購入したり、家屋を建築したりできないのが前提となっています。

地震保険の意義とは

このように地震保険単体で、被った損害の全額を補償することはできません。それでも地震保険は被災者にとって、それまでの生活を再建するための資金が提供されることに変わりはありません。

特に損害が認定されて保険金を受け取ることになれば、当面の生活費や怪我の治療費、引越しのための資金などさまざまな用途に使えます。これは、地震保険はあくまでも被災者の生活を再建する目的があり、被災者の裁量で必要な費用に充てられるようにしているためです。

補償が不十分ということで加入に二の足を踏んでいる方も多いようですが、上記のようなメリットがあることは知っておきましょう。

地震保険加入の必要性はココで見極めよう

地震保険の概要について説明してきましたが、以下で加入の必要性を判断する際に検討すべきポイントを紹介します。

地震保険加入の是非を決める3つのポイント

  • 住宅ローンの有無
  • ローン残高の金額
  • 貯蓄

家を新築したばかりで住宅ローンの残高が残っているような方や、自宅を店舗化していたり、他の場所では代替が難しいオフィスとして使っていたりする人は、地震保険が必要でしょう。また、貯蓄額が少なく、他に頼れるあてのない人も加入すべきといえます。

こういった人は地震によって被る損害が大きくなるリスクをもっているため、万が一に備えて地震保険の加入を検討してみましょう。

賃貸でも地震保険に加入すべき?

一軒家の場合は地震保険への加入が推奨されますが、賃貸住宅に住んでいる場合はどうでしょうか?

賃貸物件の場合、賃借人に建物への補償は必要なく、自身の所有物である家財の補償範囲が問題となります。現状では火災保険と比べ、地震の発生するリスクに比較して保険料の支払いが割高であることは否めないでしょう。加えて、火災保険の金額を上限1,000万円まで設定していても、家財の全損によって500万円までしか地震保険で補償されません。

このように、いかなるケースであっても地震保険への加入がプラスになるかといえば、必ずしもそうではないのが実態です。しかし、それでも賃貸物件に住んでいる人の間で地震保険の加入は増え続けており、付帯率も上がり続けています。

最終的には、現在の貯蓄状況や仕事の状況などに照らし合わせて、加入するかどうか判断するしかありません。賃貸の場合は家財の補償だけを考えればよいため、万が一被災しても、持ち家よりは大きな負担とはなりにくいという面もあります。  

   

地震保険の負担を軽減するには

地震保険の概要を説明したところで、実際に地震保険に加入する際の負担を少しでも減らす方法について紹介します。

割引制度を利用する

現状、地震保険には以下の4つの割引制度を利用できます。割引を受けるために必要な書類などに関しては、国交省や各保険会社のホームページなどに記載されていますから、ぜひチェックしてみてください。

建築年割引

対象とする建物が昭和56年6月1日以降に新築されたものである場合、10%の割引を受けられます。

耐震等級割引

対象となる建物が
住宅の品質確保の促進等に関する法律内の基準として定められた耐震等級、あるいは国交省の耐震診断による耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)の評価指針に規定された耐震等級を有する場合に適用されます。具体的な割引率は以下のとおりです。(2014年7月1日以降始期契約の場合)

  • 耐震等級1:10%
  • 耐震等級2:30%
  • 耐震等級3:50%

免震建築物割引

対象物件が住宅の品質確保の促進等に関する法律に規定された免震建築物である場合には50%の割引が受けられます。(2014年7月1日以降始期契約の場合)

耐震診断割引

地方公共団体などによる耐震診断または耐震改修の結果、昭和56年6月1日に改正された建築基準法における新耐震基準を満たす建物に適用できます。割引率は10%です。

このほか、地震保険は契約の期間が長ければ長いほど保険料を安く抑えられます。将来にわたっての支払い計画が立てられるならば、できるだけ長期契約を結ぶとよいでしょう。1年から5年で1年単位での契約が可能です。また、月払い、年払い、一括払いの順で保険料が安くなることも覚えておきましょう。

なお、地震保険は将来発生し得る被害状況の想定をもとに算出されるため、改定される可能性もありますから、定期的にチェックしましょう。

地震保険で「備えあれば憂いなし」

本記事では、地震による被害が相次ぐなか、年々加入世帯が増加し続けている地震保険の概要を説明してきました。

「備えあれば憂いなし」との考えから前向きに加入を検討している人もいれば、地震の生起確率に対して保険料が割高であるという理由などから、加入に二の足を踏んでしまっている人もいるでしょう。自分の貯蓄状況や住環境、仕事の状況を考えたうえで、慎重に判断することは重要なことです。

ただし、文部科学省の発表によれば、今後30年以内にM7クラスの首都圏直下型地震が起こる確率は70%と高い確率になっていることに加え、保険会社のなかには、地震の発生確率が高い地域での加入に関しては将来的に保険料の値上げを行うことも考えられます。保険の内容を確認したうえで、早めに検討する必要があります。

地震のような突発的な災害から身を守るためには、事前の備えこそ重要となります。地震への対策に注目が集まっている今こそ、地震保険について見直す良いタイミングではないでしょうか。