高度プロフェッショナル制度(高プロ)とは?年収や対象職種、反対意見をわかりやすく解説

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記事の情報は2018-06-29時点のものです。

高度プロフェッショナル制度(高プロ)とは、対象業務や年収ほか一定要件をクリアすれば残業代の支払いが不要になる制度です。働き方改革関連法のひとつで、年収1075万円以上の労働者を対象となります。残業代ゼロ制度、働かせ放題、過労死を加速するなど根強い反対を押し切り2019年4月1日より施行。対象職種の拡大も懸念される本制度について解説します。
高度プロフェッショナル制度(高プロ)とは?年収や対象職種、反対意見をわかりやすく解説

高度プロフェッショナル制度(高プロ)とは?

高度プロフェッショナル制度(高プロ)とは、一言で説明すると「対象業務と年収要件、健康確保のための一定要件をクリアすれば残業代の支払が不要になる制度」です。最大の特徴は、時間外・休日労働のほか深夜残業も残業代支払いの対象外となる点。管理監督者や裁量労働制とは異なる扱いとなります。残業という考え方自体が適用されないため、残業時間の上限規制の対象からも外れます。

引用:「労働基準法等の一部を改正する法律案」資料No2

高度プロフェッショナル制度(高プロ)のポイント
・制度を適用するには、労働者の個別合意が必要
・残業代は対象外でも、会社には正確な労働時間を把握する義務がある
・時間無制限で働くためのしくみではない

高度プロフェッショナル制度(高プロ)「反対」の歴史と背景

高度プロフェショナル制度(高プロ)の前身は、2007年に第一次安倍内閣が打ち出した「ホワイトカラー・エグゼンプション」です。この制度は、アメリカで用いられているエグゼンプト(ホワイトカラーの労働者)を対象としたしくみに影響を受けています。

結果的に「過労死を招く」といった強い反発を受けてホワイトカラー・エグゼンプションは国会に提出されずじまいでしたが、内容は現在の高プロと大きく変わりありません。

反対意見のあおりをうけて年収要件が引き上げられたため、直近での対象者は少数派ですが、参考元のアメリカの制度では年収要件が500万円以上とされています。日本の高度プロフェッショナル制度においても、制度成立後に段階的に年収要件が引き下げられるのでは?と噂されています。

他方、高プロを「残業代ゼロ法案」と揶揄するケースもあります。長時間労働を促進する制度では?残業代を払いたくない経営者のための制度では?といった根強い反発があるなかで成立したことは事実です。

高プロが「悪法」だとは断言できない理由

長時間労働の温床となると誤認されることも多い高度プロフェッショナル制度(高プロ)ですが、会社には、残業代を払う義務はなくなっても、健康を確保する義務は変わらず課せられています。むしろ、裁量労働制よりも健康確保については具体的な措置の実施と報告が求められているので、そういう意味では働く時間のコントロールは今より必要になる制度とも言えるでしょう。