アマゾン「アレクサ」誤発注、言い間違えたら法的にどうなるのか?

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記事の情報は2018-07-01時点のものです。

普及が進むスマートスピーカー。話しかけるだけで、ネット通販を介して買い物までできてしまう。しかし、誤って注文してしまったら…? 米国では実際にトラブルも起きている。日本では法的にどう扱われるのだろうか。経済産業省が示した、スマートスピーカー経由の誤発注に対する指針をみていこう。
アマゾン「アレクサ」誤発注、言い間違えたら法的にどうなるのか?

アマゾンの「Amazon Echo」やグーグルの「Google Home」など、話しかけると音声で対応してくれるスマートスピーカー。利用者が増え、ニュースや音楽を聴くだけでなく、ネット通販に使う人も増えてきた。

ところが音声のやり取りだけで注文すると、言い間違えたり、誤認識されたりして、意図しない買い物をする心配がある。「タイヤ」を買うつもりで「ダイヤ」が届いたら、とても困る。そうした「誤発注」は取り消せるのだろうか。

経済産業省がこのほど、スマートスピーカーを利用した電子商取引の誤発注について、取り扱い指針を示した。どのような点に注意すべきか、ポイントを絞ってみていこう。

米国では「大人の5人に1人」がユーザー

アマゾンの「Amazon Echo」を筆頭に、スマートスピーカーを利用する人が急増している。アマゾンに続いてグーグルが「Google Home」、アップルが「HomePod」を出し、選択肢も増えた。

実際に使ったことのない人でも、テレビCMで「アレクサ(Alexa)」「ヘイ・シリ(Hey Siri)」「オーケー・グーグル(OK Google)」といった、スマートスピーカーを目覚めさせるための「ウェイクワード(wake word)」を耳にしたことがあるだろう。日本では、LINEが独自製品「Clova WAVE」を販売していることもあり、スマートスピーカーを目にする機会がますます増えるはずだ。

先行する米国市場の状況を、具体的にみてみよう。VoicebotとVoysisが調査したところ、2018年5月時点で何らかのスマートスピーカーを使っていた成人は5,440万人と推定され、大人の約5人に1人がユーザーだった。4か月前の結果と比べると、利用者の割合は15ポイント上昇し、普及が急速に進んでいることがうかがえる。

出典:Voicebot / Smart Speaker Users Pass 50 Million in U.S. for the First Time

また、機種別では、Amazon Echoなどのアマゾン製品がシェア61.9%でもっとも多い。ただし、1月時点でシェア18.4%だったグーグルは5月の調査では26.9%へと拡大し、アマゾンを急追。

出典:Voicebot / Smart Speaker Users Pass 50 Million in U.S. for the First Time

世界市場のデータなので単純に比較はできないが、Canalysの調べた2018年第1四半期の出荷台数は、グーグルが320万台で、初めてアマゾン(250万台)を上回ったという。スマートスピーカー市場は、アマゾン1強からアマゾンとグーグルの2強体制になりつつある。

「4人に1人」がスマートスピーカーで買い物

スマートスピーカーを何に使っているかというと、圧倒的に多いのは、ニュースや天気予報の確認、ストリーミング音楽再生、インターネット検索、タイマーやアラーム時計といった具合らしい。また、手がふさがっていても使えるため、料理レシピも人気コンテンツの1つだ。グーグルはこの機能をさらに利用してもらおうと、先日Google Home向け料理レシピの投稿ガイドラインを刷新した。

そうした使い方に比べて、絶対数は多くないが、今回はスマートスピーカー経由のネット通販に注目する。一体どの程度の人が、音声コマンドだけで買い物をしているのだろう。

やはり2018年5月時点の米国データだが、VoicebotとVoysisによると、音声コマンドによる買い物の経験者は、スマートスピーカー・ユーザー全体の26.1%。そして、1か月に少なくとも1回は買い物をする人は16.0%で、2018年1月時点の11.5%から増えている。

今のところ「誰もが利用している」という状況でないが、スマートスピーカーでショッピングする人は徐々に増えている。また、経験者の61.5%が買い物を習慣化させていることから、いずれ「ネット通販は音声で」が当たり前になるだろう。

出典:Voicebot / Monthly Voice Shoppers on Smart Speakers Rose Sharply in Early 2018