マイクロソフトも注目するインド「アンドラ・プラデシュ州」とは?

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マイクロソフトは6月29日、「アジアにおいてAI が大きな成果を挙げている5つの分野」についてを発表した。同社はインド、アンドラ・プラデシュ州政府と協力して教育系アプリ開発したという。また日本政府も、同州への投資を行っており、日本企業の進出を進めている。注目が集まる「アンドラ・プラデシュ州」とは、一体どんな場所なのだろうか。
マイクロソフトも注目するインド「アンドラ・プラデシュ州」とは?

インド「アンドラ・プラデシュ州」とは

南インドに位置するアンドラ・プラデシュ州は、人口約5,000万人。政府が2024年の完成にむけ、アマラディ新州都構想を進めている真っ最中だ。州開発に必要な投資総額は2029年までに累計90兆ルピー、ドル換算では1兆4,000億ドルとも試算(※)されているという。

インド洋に面しており、ミャンマーやタイなどASEAN各国とのアクセスが良いこと。すぐ南には自動車産業が盛んなチェンナイ(旧マドラス)があることも、インド巨大マーケットの窓口として戦略的に位置づけられた要因である。

また同構想を進めるナイディ首相は、第一期政権時代(1995~2004年)にインド第2のIT都市ハイデラバード(アンドラ・プラデシュ州の現州都)を作った実績の持ち主。モディ首相(現インド中央政府)もその手法をまねしたといわれており、そのリーダーシップにも注目が集まっている。

※一般財団法人海外投融資情報財団(JOI)機関誌「海外投融資」2017年5月号に掲載の「新州都構想で熱気を帯びるインドアンドラプラデシュ州」より引用

出典:経済産業省HPより

マイクロソフトも教育系AI開発でアンドラ・プラデシュへ

マイクロソフトが6月29日発表した「アジアにおいてAIが大きな成果を挙げている5つの分野」によると、アジアにおいてすでにAIが大きな成果をあげている分野は以下の5つである。

1.アクセシビリティ
2.農業
3.気候変動
4.教育
5.ヘルスケア

この中で、教育分野においてアンドラ・プラデシュ州政府に協力を得ているという。開発したのは、学校からドロップアウトする可能性が高い学生を予測する新しいアプリである。

アプリで学生のデータ(入学時の情報、成績、性別、社会経済的特性)や、学校環境のデータなど(インフラ、教師のスキルなど)の複雑なデータ収集し、機械学習・AI 機能・クラウドを活用し分析。行政と学校の担当者がリスクが高い学生を早期に特定し、ドロップアウトを防ぐためのプログラムやカウンセリングを提供できるという。

現在アンドラ・プラデーシュ州の1万校以上の学校でこのアプリが使用され、2017年時点で500万人以上の学生が対象になっているという。

学校現場単体での利用ではなく、行政を挙げてこのアプリの活用を進めている点が「アンドラ・プラデシュ州」が選ばれた理由のひとつだろう。

企業の海外進出において、その地域・政府が熱心かどうかという点は事業のスピードを大きく左右する。アンドラ・プラデシュ州は、都市としての徹底した成長戦略を、企業誘致にもアウトプットしている。


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政府の用意したインセンティブがすごい

海外からの企業誘致に積極的な同州政府は、進出する企業に対しインセンティブを与えている。

フード産業の誘致のために作られた同州の日本語版パンフレットによると、さまざまな税制優遇や認可手続きの短縮、インフラ支援、現地従業員の教育にかかる費用の5割を負担する、安価での土地のリースなどがあるという。

また2014年の来日時、ナイディ首相は、日本向けの対策として州内に「日本デスク」を設置し、さまざまな手続きを一元化、プロジェクトごとに日本語を話す担当官をつけるとも語っていた。

日本語版パンフレットには、各分野の担当ごとの連絡先が書かれており、進出企業へのおもてなしも行き届いているように感じる。

海外進出を進める企業の障壁をクリアにし、本気で誘致するための施策は、日本もお手本とすべき点は多いだろう。

日本政府も投資を継続

同州は日本とのつながりも深い。はじまりは2014年。日本の経済産業大臣とアンドラ・プラデシュ州は協力覚書を締結。安倍総理にも協力要請があった。

これは新州都開発プロジェクトにおける都市交通、スマートシティ、湾港などのインフラ整備、日本企業による投資に高い関心を持つ同州政府からのアプローチだった。

2015年2月、日本政府は「AP州への投資促進に関するタスクフォース」を、2016年3月には経済産業省とジェトロが「AP州官民協議会」を立ち上げ、同州に関心がある日本企業向けにビジネスに役立つ情報などをタイムリーに発信している。

また、農林水産省も2018年2月、同州政府との間で、コールドチェーン構築のためのマスター・プラン策定に係る協力覚書への署名を行った。

みずほ銀行、ソフトバンクグループなど日本企業も続々

ジェトロによると、2017年10月時点でインドには1,350社以上の日系企業が進出しており、アンドラ・プラデシュ州の主な進出先であるスリシティーでは17社が操業している。また経産省によると、州全体では2015年時点で110社であり、主な日系企業はいすゞ、コベルコ建機、ユニチャーム、豊通レアアース、エーザイなどとなっているという。

最近では、みずほ銀行が2018年2月、アンドラ・プラデシュ州経済開発庁との間で業務協力覚書を締結。同州の経済発展のために貢献することを発表している。

また2017年4月には、ソフトバンクグループ、バーティ・エンタープライゼズ・リミティッド、フォックスコン・テクノロジー・グループの 3 社による合弁会社であるSB Energy Holdings Limitedが、同州におけるメガソーラー発電所の運転を開始した。

2018年6月15日にジェトロが開催した「アンドラ・プラデシュ州」への投資セミナーでは、150名の定員を超える応募があり、日本企業からの関心の高さがうかがえる。

州都完成にむけ、日本のみならず世界の企業誘致を狙うアンドラ・プラデシュ州。ここが巨大マーケットをかかえるインドのビジネス拠点になるのか。世界が注目している。