ゾゾタウン前澤社長が描く「未来の服づくり」3つの観点 ZOZOを世界へ

20周年を迎えた「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」。運営会社スタートトゥデイの前澤友作社長は7月3日、会見を開き、ビジネススーツの発売などを発表した。時代を先取りした戦略と綿密なショップ運営が功を奏し、順調に数を伸ばしているZOZOTOWN。会見で語られた内容を3つの観点から整理し、前澤氏が描く「未来の服づくり」をみてみよう。

ゾゾタウン前澤社長が描く「未来の服づくり」3つの観点 ZOZOを世界へ

ZOZOTOWN20周年

ファッションEC最大手として名を馳せる「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」。ZOZOTOWNではこれまで、ユニークなサービスが多数展開されてきた。直近だと、スタッフがコーディネートした服が届く「おまかせ定期便」や、まとめて後払いできる決済サービス「ツケ払い」などが、記憶に新しい。時代を先取りした戦略と綿密なショップ運営が功を奏し、年間購入者数は約722万人(2018年3月期)、商品取扱高は2,705億円(同)と、順調に数を伸ばしている。

そんなZOZOTOWNも20周年を迎え、運営会社スタートトゥデイの前澤友作社長は7月3日、会見を開いた。そこで語られた内容を3つの観点から整理し、前澤氏が描く「未来の服づくり」をみてみよう。

1. 日常に「あなた専用サイズ」を

まず会見で目玉として発表したのが、プライベートブランド(PB)『ZOZO』のラインナップ拡充だ。ビジネススーツをはじめとする、ビジネスウェアを発売することを明かした。

ビジネスウェアに参入

投入したのは、メンズのビジネススーツなど3商品。それも、「完全カスタムオーダー」だ。

ZOZOTOWNでビジネススーツ発売 完全カスタムオーダーなど「3つの特徴」 | ボクシルマガジン
ファッションEC大手「ZOZOTOWN」で、プライベートブランド『ZOZO』の一環として完全カスタムオーダーのビジ...

採寸には、2017年11月にリリースした採寸用ボディスーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」を活用する。着用してスマートフォンアプリと通信することで、身体のあらゆるか所を立体的に計測できる。

ZOZOは「人が服に合わせる時代から、服が人に合わせる時代へ。」をうたい、すでにゾゾスーツで採寸したサイズでつくるデニムパンツやTシャツなどを販売している。これらは、基本の型紙を個々人の体型にあわせて微調整していく「パターンオーダー」だ。

一方、ビジネススーツに取り入れる「完全カスタムオーダー」は、ゼロからつくりあげるフルオーダー。一人ひとりの体型に合わせて、体型のコンプレックスたり得る肩の傾斜や左右の体型差までも考慮、調整するという。

会見には、“ZOZOスーツ”を着用した社員16名も登壇。このうち「体型にコンプレックスを抱える」社員3名を代表で紹介した。

「異様に肩幅が狭い(前澤社長)」男性社員の場合、既成品だと襟が大きすぎたり、肩パッドに妙な張りが出てしまったりするそう。ZOZOのスーツでは肩の傾斜角や左右の骨格差なども考慮しているため、きれいに見せられるという。着用した社員は「ストレスがないのは初めて」とコメントした。

背が高く、お尻が大きいのが悩みという社員は、「パンツがぴったりで動きやすい」とZOZOのスーツを評価。また「体が大きく既成品だとフィットしない」と悩む男性社員は、何枚か買いたいと笑顔を見せた。

代表で登壇した社員の一人。ZOZOのスーツを着用し笑顔を見せた

このように悩みを持つすべての人が着用できるというのが、ZOZOのスーツだ。落ち込みの激しい紳士服業界にとって一つの希望であり、一方で既存の大手にとっては多大な脅威となるだろう。

ベーシックアイテムはすべてZOZOで

今回発売されたビジネスウェアは、多彩なバリエーションも特徴だ。加えて、Tシャツやデニムの新商品も発売し、ZOZO全体のラインナップ拡充を図っている。

まずビジネススーツは、全7種の生地から選べる。さらにポケットの形状、ボタンなどもカスタム可能。ドレスシャツは全14種類、8月上旬発売予定のネクタイにいたっては計36種類(16色×長さ6種類×幅6種類)と、幅広いラインナップを用意している。

さらにビジネスウェア以外のアイテムも拡充。レディースを中心に取り扱いアイテムを増やし、ベーシックラインを一通り揃えた。

2. 最新技術が「オーダーメイド×スピード生産」を可能にする

ZOZOでは完全カスタムメイドのビジネススーツですら、最短1〜2週間で届く。一般的には、フルオーダーだと最低でも1か月程度かかることが多い。比較すると脅威のスピードだ。

可能にしたのは、「体型データ×オンデマンド機器」と表現する、最新のテクノロジーだ。

体型を瞬時に計測

「体型データ」を取得するのはゾゾスーツ。ニュージーランドのソフトセンサー開発企業StretchSense Limited.と共同開発した。伸縮センサーが内蔵されており、スマートフォンアプリを介して体型を立体的に計測、アプリ内に保存できる。

データを再現する“洋服版3Dプリンタ”

製品化には、体型データを都度再現する「オンデマンド機器」も必要だ。ZOZOには、技術の進歩により登場したさまざまな機器が積極的に取り入れられている。

たとえば、島精機製作所のWHOLE GARMENT(ホールガーメント)という横編機がある。データで作成した「設計図」をもとに、無人でニットを丸ごと編みあげる機械だ。1着あたりの所要時間は40分。縫い目がないため肌を刺激しないメリットもある。このテクノロジーを活用したニットも秋口に投入予定とのこと。

ホールガーメントを活用したニットも発売予定

このほか、自動裁断機や自動縫製機といった最新機器を適宜取り入れていくという。技術のかけ合わせによって、オーダーメイドかつスピード生産という、服づくりの新しい形を生み出し続けているのだ。

3. 「Be unique. Be equal.」を世界に

さて、オーダーメイドのPBを立ち上げた理由の根幹には、前澤氏が抱えるコンプレックスがあったという。

前澤氏は会見で、「背も低いしスタイルも不格好」と自身のコンプレックスを告白。「(いまZOZOTOWNで販売している)65万点の商品のなかから探しても見つからないくらい、自分の体型に合う商品がなかった」と話した。

実店舗へ行って試着しても、丈をつめてもらうのが恥ずかしい。だんだんと足は遠のいていった――。そんな経験もあって、「一人ひとりにもっと合うものがあったらいいな」とカスタムオーダーの道を探り始める。着想から7〜8年を経て、商品化にいたったそうだ。

ZOZOのビジネススーツを着用して会見に臨んだ前澤氏

このZOZOを引っさげて、ZOZOTOWNは世界へ打って出る。会見では、72の国と地域へ展開することにも触れた。まずは、採寸用のゾゾスーツとZOZOのTシャツ、デニムパンツをセットにして、10万セットを無料配布する。

前澤氏は「ファッションは人と人とを結びつける、すごく重要な役割を担っているんじゃないか」という。そのうえで、「(サイズが合わないことで)洋服なんて嫌いって思ってしまっていた方々にも、勇気や選択肢を与えることによって、少しでも多くの方がファッションを楽しむ機会を提供したい」と話した。その思いを、「Be unique. Be equal.」――みんな違うけど、みんな一緒という、ZOZOのスローガンに込めている。